今季からスタートした独立リーグ
今年は20日(木)に開催される『プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD』。
徐々にドラフト関連の話題が増えはじめると、注目選手とともに“隠し玉”も取り上げられるようになってくる。
今年からスタートした独立リーグの「日本海オセアンリーグ」。新興リーグではあるが、昨年までBCリーグに所属していた富山・石川・福井・滋賀の4球団(福井は経営母体が変わり新球団として再スタート)で構成されていることもあり、所属している選手のレベルは決して低くない。
そんな日本海オセアンリーグに所属する選手にとって、大きなアピールの場となったのが9月14日に富山市民球場で行われた選抜チームと日本ハム二軍との交流戦だ。
今回はその試合で目立った選手についてピックアップして紹介したい。
投手で注目される選手は…?
まず投手で高い注目を集めていたのが、ともに富山に所属している松原快と松向輝だ。
松原は今年で23歳、松向が24歳になる。所属チームだけでなく、高校から社会人に進み、今年新加入したところも共通点で、野球に集中できる独立リーグという環境で今年大きく成長を見せている。
7回からマウンドに上がった松原は、先頭打者に四球を与え、ワンアウトをとった後に片岡奨人に二塁打を浴びて1点を失ったものの、選抜リーグで登板した7人の投手の中で最速となる149キロをマークするなど、力のあるボールでアピールした。
フォームはスリークォーターに近いサイドスローで、躍動感溢れるフォームから投げ込むストレートは数字以上の勢いが感じられる。日本ハムの二軍も150キロを超える投手はいたが、バックネット裏から見ている限り打者の手元でのボールの強さは松原の方が上に見えた。
先頭打者への四球も決してストライクゾーンを大きく外れたものではなく、内角の厳しいコースに腕を振って速いボールを投げ込める点も大きな持ち味だ。
リーグ戦での防御率は4点台と少し安定感には欠くとはいえ、41回を投げて55奪三振をマークしているのも魅力だ。変則の本格派は貴重なだけに、リリーフタイプとして面白いだろう。
松原の後にマウンドに上がった松向は、先頭打者にいきなりストレートの四球を与えたものの、味方の捕手が盗塁を刺したこともあって、打者3人を無失点と結果を残した。
フォームは、松原とは全く違う真上から腕を振り下ろすタイプのサウスポーで、特長はボールの角度だ。
社会人時代に何度かピッチングを見たことがあったが、ストレートの力強さは明らかにアップしたように見え、この日も最速は148キロをマークしている。
ボールに力のあるサウスポーはどこも欲しいだけに、ドラフトの指名リストにアップしている球団もあるはずだ。
東海大甲府出身の野手にプロから“熱い視線”
一方の野手で最も高い注目を集めていたのが、福井の濱将乃介だ。今年で22歳となる。高校時代から運動能力の高い外野手として、山梨県内で評判の選手だった。
昨年までの3年間は四国アイランドリーグの高知でプレー。この日は残念ながら4打数無安打とバッティングでは結果を残すことができなかったが、一塁到達タイムは流しながらもコンスタントに4.2秒前後を記録し、守備でもショートとセンターでいずれも好プレーを見せた。
投手としても150キロ近いボールを投げる強肩で、センターから見せたバックホームは迫力十分。さらにリーグ戦では58試合で3割を超える打率を残し、37盗塁をマークと、万能タイプの選手として面白い存在になるだろう。
打撃と足でアピールしたのが富山の矢野広将だ。こちらは今年で24歳の外野手。
第1打席で池田隆英からセンター前へ先制適時打を放つと、第4打席にはショートへの内野安打でマルチヒットを記録した。ちなみに、この日の選抜チームは3安打に抑え込まれており、そのうちの2本を矢野が打ったことになる。
リストが強く、踏み込みもしっかりしており、センター中心に鋭い当たりを放つ。また、内野安打の一塁到達タイムは4.09秒と、右打者としてはかなり高水準のタイムだった。
スタンドには多くのスカウトが集結し、今回の記事で紹介した選手がプレーする際には、わざわざ前の席に移動して映像を撮る姿が見られた。10月20日のドラフト会議で、ここで挙げた選手の名前が呼ばれる可能性は決して低くないだろう。
また、「日本海オセアンリーグ」は、昨年までDeNAでスカウトを務めていた武居邦生氏を運営事務局スカウト統括部長として招聘。精力的に高校・大学の現場に足を運ぶなど、新たな選手の発掘に力を入れている。
今後、四国アイランドリーグやBCリーグと並び、新たなNPBへの選手供給源となることも十分に期待できそうだ。
☆記事提供:プロアマ野球研究所