コラム 2022.11.04. 07:08

大阪桐蔭のエースも…この秋のプロ入りが叶わなかった高校生の逸材たち

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大阪桐蔭・川原嗣貴 [写真提供=プロアマ野球研究所]

まさかの“指名漏れ”


 今年は10月20日に開催されたプロ野球のドラフト会議。

 育成ドラフトを含めて126名が指名を受け、夢へのスタートラインに立った。




 その一方で、指名が有力視されていながら、見送られた選手も少なくない。

 ここでは、今年のドラフトでは縁がなかった有望選手にフォーカス。今回は高校生編だ。


“順位縛り”はなかったが…


 投手で最も驚きだったのが、大阪桐蔭のエース・川原嗣貴だ。

 春夏の甲子園だけでなく、その後に行われたU-18・W杯でも好投を見せており、190センチ近い長身ということもあって高く評価する声も多かったが、蓋を開けてみれば指名がなかった。

 関係者の話を総合すると、何位以下ならプロ入りせずに進学するといういわゆる“順位縛り”もなかったとのことで、めぐり合わせの問題だったと考えられる。

 ピッチングにまとまりがあるため、逆に将来性に対する評価が低くなったとも言われている。ただ、昨年秋から比較すると最終学年での成長は見事で、体格的なことを考えても、まだまだこれから伸びていく投手のように見える。

 大学や社会人で川原を欲しいチームは多いと予想される。数年後には再び、ドラフトの有力候補に浮上してくることも十分期待できるだろう。


高校球界を代表する実力派右腕


 このほかの投手では、金子翔柾(花咲徳栄)や榎谷礼央(山梨学院)、米田天翼(市和歌山)の実力派右腕も指名がなかった。

 金子は層の厚い投手陣の中で2年生の頃からマウンドを任されており、140キロ台中盤のストレートと鋭く変化するスライダーは高校生では上位のレベルにある。昨年秋の関東大会は腰を痛め、不本意な投球に終わったものの、春から夏にかけて見せた投球は見事だった。

 榎谷は春夏連続で甲子園のマウンドに立った右腕。昨年秋からもうひとつスピードが上がらず、最後の夏はエースの座を譲ったが、それでも癖のないフォームは目立ち、まだまだ球速が上がりそうな雰囲気は十分だ。

 米田はレベルの高い近畿でも屈指の好投手。選抜では花巻東や明秀日立の強力打線を抑え込み、夏には150キロもマークしている。

 3人とも比較的オーソドックスな右投手で、いずれも上背がないことから、高校からのプロ入りはならなかったとはいえ、実力は申し分ない。それだけに、大学野球や社会人野球で結果を残せば、再びプロから注目される可能性は高そうだ。


外野手の指名漏れは“市場”の問題が影響…?


 続いては野手。ともに侍ジャパンU-18代表に選ばれた海老根優大(大阪桐蔭)や黒田義信(九州国際大付)を筆頭に、田中多聞(呉港)や前田一輝(鳴門)と、外野手の指名漏れが目立った。

 海老根は入学前から評判だった選手で、特にセンターから見せる返球の勢いはアマチュア全体でトップクラスだ。たくましい体格でも脚力は十分で、積極的な走塁が光る。打撃の確実性が今後のカギとなりそうだ。

 一方、黒田は圧倒的なスピードとパンチ力が光る左打者。夏の甲子園は不発に終わったが、選抜では3試合で5割を超える打率を残している。まだ体つきが細いだけに、スピードを残したままパワーをつけられるかに注目だ。

 田中は中国地区を代表する左のスラッガー。遠くへ飛ばす力と強肩は定評がある。また、前田は日本人離れした体格で、パワーと強肩が持ち味。海老根と同様にミート力を上げられるかが重要になるだろう。

 4人とも能力と将来性は申し分ないだけに、本人の問題というよりも、今年は外野手に有力候補が多かったという“市場”の問題が大きく影響しているように感じられる。

 支配下だけで見ても、指名された外野手は11人。そのうち社会人は1人も指名されていないのを見ても、高校生と大学生の外野手が豊作だったことがよく分かるだろう。


 捕手では、ともに甲子園で活躍した高山維月(浦和学院)と片野優羽(市船橋)。内野手では、強打が魅力の坪井蒼汰(山村学園・三塁手)や、ヤクルト・村上宗隆の弟として話題を呼んだ村上慶太(九州学院・一塁手)らも指名がなかった。

 打撃に関してはいずれも魅力がある選手たちだけに、打つ以外のプレーがレベルアップしてくれば、将来的に面白い存在となりそうだ。


 思えば、日本ハムにドラフト1位で指名された矢沢宏太(日本体育大)も高校時代は指名がなく、大学の4年間で大きく力をつけて最高評価を得た。過去にもそのような選手は少なくない。

 今回紹介した選手たちも、今年の悔しさをバネにして、次のステージでさらにレベルアップした姿を見せてくれることに期待したい。


☆記事提供:プロアマ野球研究所



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