コラム 2022.12.02. 06:29

現代野球にそぐわない?今季はセ・パで19人「規定投球回」に見直す余地あり

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オリックス・山本由伸は「193回」 (C) Kyodo News

規定投球回=143イニング


 先日開催された2022年のプロ野球年間表彰『NPB AWARDS 2022』。パ・リーグの最優秀選手(MVP)には2年連続でオリックスの山本由伸が選ばれた。

 山本は昨季に続き、先発投手の主なタイトル4つ(最多勝・最優秀防御率・最高勝率・最多奪三振)をすべて獲得。先だって発表されていた沢村賞も2年連続で受賞しており、名実ともにNPB現役最高投手としてその名を轟かせている。


 今季は日本シリーズこそ左わき腹のアクシデントに見舞われて1試合のみの登板に終わったが、レギュラーシーズンでは開幕から年間を通して“平常運転”の投球を続けた。

 登板した26試合のうち完投は4試合に留まったが、6回を持たずに降板したのは僅か2試合だけ。シーズン投球回数は両リーグ断トツの193回にも上った。

 これは最優秀防御率を獲得するのに必要な規定投球回(143回)を大幅に上回っていたが、今季のパ・リーグで規定をクリアした投手は山本を含めて9人だけ。セ・リーグはそれより1人多い10人だった。


「中6日」×「100球」ではギリギリの水準?


 セ・パ合わせて19人という数字は、ここ数年ではかなり多い部類といえるだろう。

 それでも、19人のうち7人はシーズン最後の登板でようやく規定に乗せたというギリギリの達成。近年は規定をクリアする投手が各リーグで10人にも満たない状況が続いているのも事実だ。


 背景には、この十数年で投手の分業制が確立されたことが大きい。

 それに加えて、日本では先発投手の登板間隔が週1回(中6日)というケースがほとんど。開幕からシーズン終了までが27週間ほどだった今季の場合、たとえフル稼働しても27登板が先発投手の上限値ということになる。実際、今季これを達成したのはちょうど27試合に登板した森下暢仁(広島)だけだった。

 また、仮に27試合に登板したとしても、規定投球回に達するには1登板当たり5回1/3を投げる必要がある。

 メジャーリーグに倣って、先発投手は100球前後で降板というシーンも増えた昨今、6回を投げ切れば合格点という考え方も浸透しつつある。これでは、規定投球回をクリアする投手の数が減りはしても増えていくイメージは湧かない。


 そのため、「チーム試合数×1」という規定投球回の見直しの声も一部で聞かれる。

 ちなみに、二軍では「チーム試合数×0.8」で運用されており、もしこれを今季の一軍に当てはめれば、両リーグ合わせて40人ほどが防御率ランキングに顔を出していたことになる。仮に「チーム試合数×0.9」でも、29人が規定をクリア。今後、規定投球回をクリアする投手が減っていくようなら、実情に見合った“緩和”が検討されてもいいだろう。

 時代の移り変わりで各球団に複数人はいた先発完投型が絶滅危惧種となった今、規定投球回の見直し議論はいつ活発化してもおかしくない。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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