救援防御率はトップからワーストへ
2022年、新庄剛志新監督のもとでチーム再建を図った日本ハムだったが、その就任1年目は2013年以来9年ぶりの最下位という厳しいものになった。
シーズンを通じて多くの課題が噴出。「中継ぎ陣の整備」もそのひとつだ。
先発投手が好投しても、中継ぎ陣が失点を重ねて試合を落とすことも目立ち、終わってみれば救援防御率3.83は12球団ワースト。2021年と比べても、リーグ3位だった3.14から大きく悪化している。
2016年以来、リーグ優勝を果たせていない日本ハムだが、日本一に輝いた2016年の救援防御率2.67は逆に12球団トップであった。近年の「投高打低」が進むなかでの変化ということを考えると、その悪化の度合は数字以上と見ることもできる。
では、2016年と2022年、日本ハムの中継ぎ陣はどんな投手たちがどんな成績を残していたのか。それぞれ20試合以上に救援登板を果たした選手のシーズン成績を振り返る。
▼ 日本ハム・中継ぎ陣の成績比較
※救援登板20試合以上の投手が対象
<2016年>
・谷元圭介
58試(50.1回)3勝2敗28H・3S 防2.32
・宮西尚生
58試(47.1回)3勝1敗39H・2S 防1.52
・マーティン
52試(50.2回)2勝0敗19H・21S 防1.07
・鍵谷陽平
48試(44.2回)5勝3敗3H・3S 防4.23
・井口和朋
37試(42回)0勝1敗4H・0S 防3.86
・高梨裕稔
37試(109.2回)10勝2敗1H・0S 防2.38
※先発14試合
・バース
37試(103.2回)8勝8敗6H・0S 防3.65
※先発14試合
・石井裕也
22試(16.1回)0勝0敗12H・0S 防1.65
・増井浩俊
30試(81回)10勝3敗1H・10S 防2.44
※先発8試合
・白村明弘
22試(24回)3勝1敗1H・0S 防2.63
<2022年>
・北山亘基
55試合(51.1回)3勝5敗16H・9S 防3.51
※先発1試合
・玉井大翔
50試(37.2回)1勝1敗19H・0S 防3.35
・吉田輝星
51試合(63.1回)2勝3敗5H・0S 防4.26
※先発4試合
・堀瑞輝
41試(34回)1勝5敗11H・5S 防5.82
※先発1試合
・石川直也
36試合(32回)2勝2敗8H・6S 防3.94
・古川侑利
34試合(35.1回)0勝1敗3H・0S 防4.08
・宮西尚生
24試合(20.2回)0勝3敗7H・1S 防5.66
・井口和朋
23試(24.1回)2勝0敗6H・1S 防5.18
・ロドリゲス
22試(16.1回)3勝2敗8H・0S 防2.20
首脳陣の投手運用も問われる新シーズン
2016年は宮西尚生やシーズン途中からクローザーに抜擢されたクリス・マーティンが防御率1点台、宮西と並んでチームトップの58試合に登板した谷元圭介が防御率2.32と、中継ぎ陣の中心選手がしっかりと結果を残していた。
一方、昨季は一見して厳しい数字が並んでいることがわかる。ロドリゲス以外の8人は防御率が3点以上であり、4点台や5点台の選手も少なくない。
6年もたてばメンバーは様変わりしているが、変わらず投げているのが宮西だ。昨季はその宮西や、2021年に最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した堀瑞輝がそろって防御率5点台と、期待する働きをできなかったこともチームとしては痛かったところだろう。
また、クローザーを固定できなかったことも課題だ。
ルーキーながら開幕投手を任され、その後はクローザーとして期待された北山亘基は、5月24日・25日のヤクルト戦で2試合続けてサヨナラ負けを喫したのちに配置転換。シーズン最終盤には伊藤大海がクローザーに起用されたものの、本人は先発志向が強いといわれる。
このオフに阪神からトレードで入団した齋藤友貴哉がクローザー候補だと目されるともいわれるが、今季も誰が守護神を務めるのかは不明瞭なままだ。
昨季は新庄監督の公言どおり、チーム内における「トライアウト」に位置づけられた1年だった。一方で、迎えた2年目の今季は勝負をかけるシーズンになる。
チーム全体としての課題も多いなかで、近年重要度が増している中継ぎ陣の整備、そして首脳陣の投手運用の手腕も問われることとなりそうだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)