コラム 2023.02.16. 07:08

6年ぶりセンバツ出場・報徳学園に“超高校級”強肩捕手 堀柊那がドラフト上位指名に名乗りを上げる!

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報徳学園・堀柊那 [写真提供=プロアマ野球研究所]

今年も高校生捕手のドラ1指名はあるか


 3月18日に開幕する『第95回記念選抜高等学校野球大会』。今年は“記念大会”ということで、一般選考枠が4校増えて全36チームが参加。1月27日には選考委員会が行われ、出場校が出揃った。


 今大会に出場する選手の中には、もちろんスカウト陣が注目する今秋のドラフト候補もいる。そこで今回からは、春のセンバツに出場する高校生の有望株たちの実力を診断していきたい。

 一昨年は松川虎生(市和歌山→ロッテ)、昨年は松尾汐恩(大阪桐蔭→DeNA)と、2年続けてドラフト1位指名を受けているのが“高校生捕手”。今年もプロから熱い視線を浴びる楽しみなキャッチャーがいる。報徳学園の堀柊那だ。


▼ 堀 柊那(報徳学園) 
・捕手 
・179センチ/77キロ 
・右投右打

<秋季近畿大会成績>
4試 率.588(17-10) 本0 点3
打席19 二塁打3 三塁打0 盗塁3 犠打1 四球1
出塁率.611 長打率.765 OPS1.376

<二塁送球ベストタイム>
1.78秒

<各塁へのベスト到達タイム>
一塁到達:4.50秒
二塁到達:8.52秒


際立った守備力の高さ


 筆者(野球ライター・西尾典文)が初めて堀のプレーを見たのは、昨年5月4日に行われた春の兵庫県大会・社戦だった。

 「3番・投手」で先発した榊原七斗(明治大に進学予定)などがお目当てで、正直なところ堀(当時は2年生)については試合前の時点ではさほど注目していなかった。だが、シートノックのボール回しから、1人だけ投げるボールの勢いが全く違っていた。

 この前に行われていた試合は、東洋大姫路と滝川二の試合。兵庫県内の強豪が揃う日だった中、堀の動きと送球の速さは際立っており、メンバー表を確認するまでは完全に3年生だと思っていたほどだった。


 この試合では、6度イニング間の「セカンド送球タイム」を計測することができた。

 2.00秒を切れば“強肩”と言われるところを、堀はなんと3度も1.8秒台(1.86秒/1.82秒/1.88秒)をマークしている。

 守備と比べると打撃ではそこまで目立たなかったものの、それでも2安打を放ち、チームの勝利に貢献している。


驚異の「1.7秒台」に到達


 そして、攻守にわたってさらなる成長を見せたのが、秋の近畿大会・箕面学園戦だった。

 計測できた5度の「セカンド送球のタイム」は1.82秒、1.81秒、1.86秒、1.91秒、1.78秒となっている。

 ちなみに、筆者は20年以上アマチュア野球を取材しているが、「1.7秒台」をマークした高校生捕手は、昨年夏の甲子園の松尾汐恩と、3年夏の炭谷銀仁朗(現・楽天)の2人だけ。ともに高校からドラフト1位でプロ入りを果たしている(※炭谷は高校生ドラフトの1巡目)。


 もちろん、キャッチャーのスローイングは「セカンド送球タイム」だけが全てではないが、堀の投げるボールは軌道やコントロールが安定しており、ただ速いだけでなく“刺せる肩”であることは間違いない。

 また、キャッチングやブロッキングといったスローイング以外の守備も安定しており、この試合では7回コールドながら継投でのノーヒットノーランに尽力した。

 積極的に投手や他の野手に指示する姿も見られ、プレー以外でチームを引っ張ることができる点も魅力である。


打撃面も成長…センバツで活躍すれば上位指名も


 この試合ではバッティングでも春からの成長を見せつけることになる。

 第1打席はセンターへ、第2打席はレフトへ、いずれも二塁打を放ってチャンスメイクすると、第3打席には貴重な追加点となる適時打。第4打席は引っ掛けて三ゴロに倒れたが、最終の第5打席では、サードを強襲する内野安打を放って4安打の大暴れを見せたのだ。

 テイクバックで少しヘッドが中に入るのは気になるものの、春に比べて下半身をしっかりと使って振れるようになっており、スムーズにセンター中心に弾き返すことができている。

 結局、秋の近畿大会では4試合で6割近い打率を残し、打撃でもチームを準優勝に導く活躍を見せた。


 松川や松尾に比べると長打力では少し劣るものの、2年秋時点での守備力は堀が上回っているように見える。

 選抜では持ち前の守備力を発揮しつつ、打撃でも近畿大会のような活躍を見せることができれば、上位指名でのプロ入りも見えてくるだろう。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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