コラム 2023.03.08. 07:08

「自分に参加資格があることも知りませんでした」…中国代表・真砂勇介が明かした胸の内

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中国代表・真砂勇介 [写真=阿佐智]

将来を嘱望された「ミギータ」


 「まさか自分に声がかかるとは思ってなかった」と真砂勇介は言う。

 2012年のドラフト4位でソフトバンクから指名を受け、飛び込んだプロの世界。4位という指名順位は、高校生としては決して悪くはなかった。


 入団と同時にブレイクした先輩スラッガー・柳田悠岐にあやかって「ミギータ」というニックネームを授かったのも、その将来が嘱望されていたことの証だろう。球団の期待は、2度にわたり国外のウインターリーグに派遣されたところにも表れている。

 入団2年目のオフ、台湾で開催されたウインターリーグ。ホスト国・台湾や韓国、そしてヨーロッパの有望株による選抜軍と戦ったのが国際デビューだが、本人は「もう覚えていない」と言う。


 毎年のように育成選手を含む新人を大量に獲り、その育成選手が数年後には主力選手となる“下剋上”が当たり前の福岡ソフトバンクホークスという強豪チームの中では、生き残るのが精いっぱいだった。

 WBCのような国際大会は夢のまた夢。自分にはあまりに遠い話で、その舞台に立つ自分を想像したこともなかった。

 しかし、皮肉なことに、プロの舞台から去る決断をしたとたんに、その夢の舞台は向こうからやって来た。


「参加資格があることも知りませんでした」


 真砂の両親は中国生まれだった。と言っても、真砂自身は日本生まれの日本人として育った。中国語も話せない。

 WBCには「両親のどちらかが当該国で出生」というナショナルチームへの参加資格があるが、そもそも自分に縁のないことだと思っていたので、そんなことを確認することもなかった。

 「そもそも自分に参加資格があることも知りませんでした」

 そんな真砂のもとに、両親の母国である中国からWBC代表チーム参加の打診があったのは、年が明けてずいぶん経ってからのこと。昨年限りで退団したソフトバンクの関係者からの連絡だった。

 この時にはすでに社会人野球チームをもつ日立製作所でのプレーが決まり、社業に従事しながらアマチュアとして野球を続けようとしていた真砂にとっては、まさに青天の霹靂だった。真砂はいったん返答を保留した。

 「もう会社の人間ですし、まずは許可獲らないと」

 会社は、まだ入社したばかりの真砂を快く送り出してくれた。


自らの“経験”を若手に伝授する役割も


 中国野球のイメージは全くなかった。正直なところ、中国に野球リーグがあることも知らなかったし、どんな選手がいるのかも知らなかった。

 代表チームは2月20日に来日。成田空港に到着すると、その足でキャンプ地の鹿児島に移動。県内各地でキャンプを張るアマチュアチームとのテストマッチに臨むことになった。


 真砂も、チームがキャンプを張る日置市湯之元に馳せ参じた。「若くて元気がいい」というのが第一印象だった。

 ひたむきな野球に対する姿勢については、真砂だけでなく、中国代表チームのプレーを見た者が口をそろえることだ。

 「まだまだ発展途上ではありますけど、これから強くなっていくと思います」

 彼らの向上心は、日本のトッププロリーグでプレーしていた真砂に教えを乞うことにも表れている。真砂自身、自らの経験を彼らに伝授することも自分の役割であることも理解している。


 「僕がチームリーダーなんてことはないですよ。ちゃんと主将もいますし。僕自身、元プロとかそういう意識は持たずに、みんなと一緒に目標に向かってやっていくだけです。もちろん選手たちからいろいろ尋ねられることはあります。でも、教えるというより、自分の経験を話す感じですね。自分はこうしてるよと話はしますが、押しつけたりはしません」

 試合前にも、試合中も、真砂は若い選手に身振り手振りで自らの技術を伝えていた。

 チームには日本生まれの選手が2人いるが、試合中のベンチでは、彼らに他の選手がフィールドに放つ言葉を尋ねては、自分も他の選手に混じって中国語で声を放つなど、チームになじもうとしている。

 その姿からは、決して“助っ人”などではなく、中国代表チームの一員としてWBCに臨もうとする覚悟がうかがえた。


日本戦へ意気込み「自分は全力を尽くすだけ」


 本番はもう目前に迫っている。両親の母国のユニフォームに袖を通してのWBCの舞台には、複雑な心境だと言う。

 「変な意味はないんですけど、ずっと日本で暮らしていたのにな……とは思います。不思議な気持ちって言った方がいいかな。とにかく、選手としては、注目度の高い場でもう一度プレーできるのはうれしいことですね。日本にとっても中国にとってもお互いリスペクトのあるゲームにしたいです。自分は全力を尽くすだけです」


 初戦は、真砂も楽しみにしているという日本戦。ある意味怖いもの知らずの若い選手たちは、全試合勝つつもりでいる。同じプールNo.1の強豪・侍ジャパン相手にも堂々と渡り合うつもりだ。

 しかし、日本野球のレベルの高さを嫌というほど知っている真砂は、初戦の日本戦に慎重な姿勢を崩さない。

 「まあ、僕なんかよりよっぽど素晴らしい選手が揃っていますから。胸を借りるつもりですよ。とにかくピッチャーも含めて守りをしっかりしないとね。まだまだそこが課題ですから。そっちでミスが出なければ、打つ方はやってみないとわからない部分がありますから」

 1次ラウンド・プールBの初戦、日本-中国の一戦は3月9日(木)の東京ドームで19時にプレイボール。侍ジャパンに挑む真砂勇介にも注目だ。


文=阿佐智(あさ・さとし)



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