メジャーに続いて3A、2Aも開幕
メジャーリーグが開幕してちょうど1週間。現地時間4日に始まった3Aに続き、同6日には2Aも開幕した。
12試合が予定されていたこの日は、雨天中止の1試合を除く11試合が開催。そのうちの1試合が、パイレーツ傘下アルトゥーナ・カーブがブルージェイズ傘下ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツを本拠地に迎え入れての一戦だった。
試合に勝利したのは、ビジターのフィッシャーキャッツの方。先発した21歳の右腕セム・ロバースが1失点の力投を見せると、打線の大量援護もあって、8-2で今季初戦を快勝した。
2Aの試合ということで、両チームのベンチ内にいたほとんどが20代前半の若手。将来メジャーの大舞台で活躍することを夢見る選手たちで占められていた。
そんな中、地元カーブの28人の中にいたのが33歳のドリュー・マッジという内野手だ。
“オールドルーキー”としてのメジャーデビューを目指して
2010年のドラフトでパイレーツから15巡目で指名され、プロとしてのキャリアをスタートさせたマッジ。シュアな打撃を武器に、ゆっくりとではあったが着実にマイナーリーグの階段を上っていった。
27歳で3Aに初昇格を果たすと、内外野どこでも守れるユーティリティープレーヤーとして定着。メジャー昇格はもう手の届くところまで来ていた。
しかし、コロナ禍の2020年にはマイナーリーグ自体が“全休”となり、丸1年間プレー機会を奪われるなどの足踏みもあった。
それでも、そこで腐らなかったマッジは21年に自己ベストを更新する16本塁打を放ち、9月中旬に待ち焦がれた“メジャー昇格”の報を受け取った。
当時32歳のマッジは、所属していたツインズにすぐさま合流。ベンチで“その時”が来るのを待った。
ところが、2試合でベンチ入りをするも、どちらの試合でも監督に名前を呼ばれることはなかった。結局、昇格から2日後にはマイナーへの降格を言い渡される。
年齢的には現役引退の選択肢も頭をよぎっただろう。しかし、マッジは現役続行を決意。22年はフィリーズ傘下の3Aでプレーしたが、前年に16本塁打を放ったパワーは影を潜めた。
シーズンを通してついに一発は出ず。8月にはキャリアの出発点パイレーツ傘下に移籍したが、十分な出場機会も与えられるも、結果を出すことはできなかった。
そして迎えたプロ14年目の今季は、2Aからの再出発。メジャーでプレーする夢は大きく遠のいたが、年齢がひと回り以上も下の若手に交じって汗をかいている。
マイナー通算1146試合に出場し、972安打を記録したマッジも来月には34歳となる。マイナーでは“大ベテラン”と呼ばれる存在だが、いつの日かメジャーの檜舞台で“オールドルーキー”として暴れ回る姿を見せてくれるだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)