新ルールの影響?平均打率が上昇中
メジャーリーグは開幕から1か月が経過し、全30チームが30試合以上を消化した。
今季はピッチクロックの導入など様々なルール変更があったが、選手に小さくない影響を与えているのが「極端な守備シフトの禁止」だ。
昨季までなら一二塁間に内野手が3人いる光景も当たり前だったが、今季はそれが禁じられている。
新ルールの影響もあってか、今季のメジャー平均打率はジワリ上昇。2020年から「.245」→「.244」→「.243」と下降していたが、今季は「.247」まで回復している(数字は全て現地時間4日現在)。
3割打者の人数を見ても、昨季は両リーグで11人しかいなかったが、今季はここまで27人に増加。まだシーズン序盤とはいえ、守備シフトが厳しくなった今季は3割打者の数が増えるのは確実だろう。
首位打者争いの“異変”
そして、両リーグの首位打者争いにも“異変”が起こっている。
ア・リーグで打率トップに立っているのはマット・チャプマン(ブルージェイズ)。これまでのシーズン最高打率はメジャー2年目の18年にマークした打率.278という30歳の中堅選手だ。
19年以降は一度も.250を上回ったことがないどころか、昨季はア・リーグで規定に到達した65人中57位の.229。アスレティックスに所属していた2年前は70人中69位の.210という低打率にあえいでいた。
それがブルージェイズで2年目を迎えた今季は、開幕から5試合中3試合で3安打を放つなど絶好調。4月中旬までは打率4割台をキープしていた。直近の2試合は無安打に終わり、打率.351まで下げたが、それでもリーグトップの座を守っている。
2年前にリーグワースト2位の打率だった男は、このまま首位打者争いに加わっていけるだろうか。
一方、ナ・リーグで打率トップを走るのは26歳のルイス・アラエス(マーリンズ)。今季先発出場した試合で無安打に終わったのは3試合だけで、こちらはいまも打率4割台を維持している(.424)。
実はアラエスは、ツインズに在籍していた昨季もア・リーグで首位打者を獲得している現役屈指のヒットメーカーでもある。昨季はオールスターにも選出されるなど、ツインズの顔ともいえる選手だったが、オフにまさかのトレードで放出され、マイアミへとやってきた。新天地では初のナ・リーグにもしっかり対応し、昨季以上のペースで安打を量産中だ。
もしアラエスが両リーグで首位打者を獲得すれば、DJ・ラメーヒュー(ヤンキース)以来で史上2人目。もちろん、リーグをまたぐ2年連続での獲得は前例がない。
シーズンはまだ1か月が経ったところで、タイトル争いの話は時期尚早だ。ただ、今季の首位打者争いは両リーグでかつてない異例の事態になっているのは間違いない。
MLB・両リーグの打率ランキング
(現地時間5月4日現在)▼ ア・リーグ
1位 .351 マット・チャプマン(ブルージェイズ)
2位 .331 ボー・ビシェット(ブルージェイズ)
3位 .327 ヤンディ・ディアス(レイズ)
4位 .325 ランディ・アロザレーナ(レイズ)
5位 .321 ホルヘ・マテオ(オリオールズ)
▼ ナ・リーグ
1位 .424 ルイス・アラエス(マーリンズ)
2位 .355 ロナルド・アクーニャ(ブレーブス)
3位 .342 タイロ・エストラダ(ジャイアンツ)
4位 .337 エリアス・ディアス(ロッキーズ)
5位 .326 ブランドン・マーシュ(フィリーズ)
文=八木遊(やぎ・ゆう)