大谷は別格も全員が奮闘中
今季から吉田正尚(レッドソックス)が活躍の場をメジャーに移して奮闘中。現在MLBでレギュラーとしてプレーする日本人打者は3人となった。
残る2人は言わずもがな、“二刀流”の大谷翔平(エンゼルス)と鈴木誠也(カブス)。全員が打線の中で欠かせない存在感を放っている。
まずは3人それぞれの今季打撃成績を改めて振り返っておこう。
▼ 日本人打者の主要打撃成績
(現地時間6月22日現在)
・大谷翔平
74試 率.292 本24 点58
・吉田正尚
66試 率.304 本8 点39
・鈴木誠也
59試 率.269 本6 点25
ア・リーグの本塁打と打点の2部門でトップの数字を誇る大谷。その成績があまりにも飛び抜けているため、こうして数字を並べるとどうしても見劣りしてしまうが、吉田の成績も“ルーキー”としては及第点以上と言える。
その一方で、カープ時代を知るファンとしては、鈴木の成績にやや物足りなさを覚えるのも事実だろう。
シーズンはまもなく折り返し地点に差し掛かるが、後半戦に最も成績を伸ばしそうな日本人打者は一体誰か──。
「BABIP」という指標を用いると、3人の中では大谷が最も成績を伸ばす可能性が高そうだ。
最も“幸運”だった鈴木誠也
BABIPとは「Batting Average on Balls In Play」の略で、本塁打を除くインプレーの打球のうち安打となった割合を表す指標のことである。
BABIPが極端に高い打者は運がいいとされ、逆に低い打者は運が悪いとされる。サンプル数(打席数)が多くなるにつれ、BABIPはおおむね平均値の3割前後に落ち着くと言われており、実際に今季のメジャー平均は.297となっている。
そこで、日本人打者3人の今季のBABIPを紹介しよう。
最も高いのは鈴木の「.344」で、吉田の「.320」、そして大谷の「.309」と続く。3人のBABIPはいずれも3割を超えており、言い換えれば、3人はリーグ平均よりも運が良かったということになる。
特にインプレーの打球が安打になる確率が最も高かった鈴木は、かなり幸運だったといえるだろう。
リーグ平均から5分近くの乖離がある鈴木。後半戦に打率を上昇させるには、前半戦以上の運を味方につける必要がある。鈴木ほどではないが、吉田も同様だろう。
一方で、大谷のBABIPはリーグ平均との乖離がわずかだったため、大きく成績を落とす可能性は極めて低いといえそうだ。
いずれにしても、3人にはいい意味で期待を大きく裏切る活躍を見せてほしいところだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)