昨年の全体1位指名選手の現在地
メジャーリーグのドラフト会議が7月9日から11日にかけて開催される。
特に上位指名の権利を持つチームにとっては、スター候補を獲得するチャンスであると同時に、チームの将来を左右する一大イベントでもある。
ちょうど1年前のドラフト会議で、ボルチモア・オリオールズから全体1位指名を受けたのがジャクソン・ホリデーという18歳の遊撃手だった。
父マットは外野手として18年までメジャーでプレー。ロッキーズやカージナルスなど4チームを渡り歩き、15年間で通算316本塁打を記録した右打ちの大砲だ。
左打ちのジャクソンは三拍子そろったタイプで、すでにマイナーでは素質の高さを垣間見せており、MLB公式サイトのプロスペクトランキングでも堂々の1位に支持されている。
昨季はマイナー(ルーキーリーグと1A)で合計20試合に出場。打率.297に1本・9打点で4盗塁をマーク。三振12個に対して、四球は25個と選球眼の良さが光った。
今季は1Aで開幕を迎えたが、4月下旬には1A+(上級1A)に昇格。2リーグ合計で64試合に出場し、打率325で7本・47打点に20盗塁と、いつ2Aに呼ばれてもおかしくない成績を残している(現地27日現在)。
全体2位は日本でもお馴染み“レジェンド”の息子
メジャー昇格へ向けて順調な滑り出しを見せたジャクソン・ホリデーに対し、やや出遅れたのが昨年のドラフト1巡目全体2位でアリゾナ・ダイヤモンドバックスから指名を受けた右打ちのドリュー・ジョーンズだ。
ホリデーと同じく高卒18歳でプロとしてのキャリアをスタートさせたジョーンズもまた、父が元メジャーリーガーである。
父の名前はアンドリュー・ジョーンズ。アトランタ・ブレーブス在籍時の2005年にナ・リーグで本塁打王と打点王の二冠を獲得したスーパースターで、13~14年には楽天でもプレー。日本のファンにもお馴染みの存在だろう。
メジャー通算434本塁打を放ったようにパワフルな打撃を持ち味としていたが、スピードなど全てを兼ね備えた5ツールプレーヤーとしても知られた。
父と同じ外野手として大きな期待を背負ってプロ入りしたドリュー。ところが昨季は、デビュー前の打撃練習中に左肩を負傷し、その打棒をお披露目するのは今季に持ち越しとなっていた。
満を持してマイナーデビューを飾ったのは、今年の4月上旬だった。1Aからスタートし、4月は打率.175(40打数7安打)と大不振。同月中旬には足の肉離れを発症し、戦列を離れていたが、今月中旬にようやくルーキーリーグで実戦に復帰を果たした。ところが、4試合に出場しただけで再び戦列を離れている。
ドリュー・ジョーンズの今季成績は、合計14試合に出場して打率.173。長打は二塁打が1本だけ。ケガがあったとはいえ、まだプロの環境にアジャストできないでいる。
昨年のドラフトで全体1位と2位指名を受けた2世選手の2人。今のところ明暗を分ける形にはなっているが、遅かれ早かれメジャーの大舞台で相まみえる日は来るだろう。今後も2人の出世争いには注目しておきたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)