コラム 2023.07.11. 06:14

7月14日開幕「都市対抗野球」 プロ最注目・度会隆輝をはじめ野手のドラフト候補を一挙紹介

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度会隆輝(ENEOS) [写真提供=プロアマ野球研究所]

元ヤクルト選手を父に持つ“野球一家”の出身


 7月14日に開幕する『第94回都市対抗野球大会』。社会人野球最大の大会であり、プロのスカウト陣が注目するドラフト候補も数多く出場する。

 秋に向けて存在をアピールする選手がどれだけ出てくるか。今回は特に注目を集めそうな野手をピックアップして紹介したい。

 投手・野手を含め、今年の社会人球界で最注目といえば、やはり度会隆輝(ENEOS・外野手)になるだろう。


 ヤクルトでユーティリティプレーヤーとして活躍した博文氏を父に持ち、兄の基輝も社会人野球のJPアセット証券でプレーする野球一家の出身で、早くからその打撃センスにはスカウト陣の注目が集まっていた。

 横浜高校では3年時にコロナ禍もあってアピール不足に終わり、プロ志望届を提出しながら指名漏れとなったが、社会人野球の名門であるENEOSでは1年目からレギュラーを獲得した。

 すると、昨年の都市対抗では5試合の出場で4本塁打・11打点の大活躍。チームを優勝に導き、MVPにあたる橋戸賞も受賞した。


 バットを高く上げる大きな構えでゆったりとタイミングをとることができ、巧みなバットコントロールでどのコースもスムーズに振り出して芯でとらえる。

 フォローの大きいスイングの軌道も理想的で、引っ張るだけでなく、センター方向にも放り込めるパワーも備えている。

 確実性と長打力を兼ね備えているという点では、大学生も含めても今年のドラフト候補ではNo.1と言えるだろう。さらに社会人で守備と走塁に対する意識、能力も大きくアップしたのもプラス要因だ。

 6月28日に行われた巨人二軍とのプロ・アマ交流戦ではライトから見事な返球を見せ、全力疾走も目立った。昨年の大活躍もあって厳しいマークにあうことが予想されるが、その中でどんなプレーを見せてくれるかに注目だ。


「4人の遊撃手」に注目!


 プロから需要の高いショートでは、峯村貴希(Honda)や中川拓紀(Honda鈴鹿/トヨタ自動車の補強選手で出場)、泉口友汰(NTT西日本)、武田登生(日本新薬/パナソニックの補強選手として出場)の4人の注目度が高い。

 なかでも、日本大出身の峯村と中央大出身の中川、青山学院大出身の泉口は東都大学野球でしのぎを削っており、社会人でも早くから定位置を獲得した。


 峯村は190センチ近い長身の大型選手で、スケールの大きさが魅力。打撃は大学時代から調子の波が大きいものの長打力も備えており、今年は公式戦で3本の本塁打を放っている。課題だったスローイングにも強さが出てきた。

 中川は抜群の脚力と守備範囲の広さが魅力。4.00秒を切れば俊足と言われる一塁到達タイムはコンスタントに3.90秒前後をマークし、全力疾走を怠らない姿勢が目立つ。また、深い位置からも正確に強く投げられるスローイングも持ち味だ。打撃の非力さは否めないが、一芸ではなく「守備と脚力」という“二芸”を持つことは大きな強みである。

 泉口は大阪桐蔭出身のショートらしく、攻守にプレーの形の良さが光る。派手なプレーをするわけではないが、堅実さは社会人でも上位で、広角に打ち分ける打撃も魅力だ。


 そして今年、前出の3人に引けを取らないプレーを見せているのが武田だ。

 中央学院大では4年秋に明治神宮大会優勝に大きく貢献。日本新薬でも1年目からショートのレギュラーをつかんでいる。

 今年の都市対抗予選は不振だったものの、4月に行われた『JABA岡山大会』と『JABA京都大会』ではいずれも2番打者として見事な活躍を見せた。

 小柄だがスピードと堅実さを備えた守備は一級品で、打撃もパンチ力が光る。大学4年秋と同様に、全国の大舞台での活躍に期待だ。


外野手は「右の強打者」がずらり


 度会以外の外野手では、山内慧(JR東日本)や若林将平(日本新薬/NTT西日本の補強選手として出場)、猪原隆雅(ミキハウス)と右の強打者が揃った。

 この中でも長打力で一歩リードしている印象を受けるのが若林だ。慶応大では4年間でリーグ戦通算0本塁打に終わったものの、社会人では1年目から都市対抗本選、日本選手権でいずれもホームランを放つなど活躍を見せた。

 2年目の今年も『JABA岡山大会』では4試合で打率.500・3本塁打・7打点、『JABA京都大会』でも4試合で打率.438・1本塁打・4打点と4番としての役割を見事に果たしている。守備と走塁はあまり目立たないが、貴重な右の強打者だけに注目している球団はあるはずだ。


 その他には、度会と同じ高校卒3年目で不動の4番として活躍する三塁手の大西蓮(JR東日本東北)、5月に行われた『JABAベーブルース杯』で5打席連続本塁打を放った強打の捕手である城野達哉(西濃運輸)らも面白い存在である。

 度会以外は指名が確実視される選手は不在という印象だが、今年は福永裕基(日本新薬→中日7位)がいきなり一軍の戦力として活躍しており、プロ側に社会人の野手を見直そうという動きが出てくることも十分に考えられる。

 福永のように“指名解禁”の年を過ぎた選手からも強烈なインパクトを残す選手が出てくることも期待したい。


文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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