迫るMLBのトレード期限
メジャーリーグ(MLB)のトレード期限が約10日後に迫っている。現地で最もヒートアップしている話題はもちろん、エンゼルスが大谷翔平をトレードするかどうかだろう。
MLB公式サイトでも、大谷の移籍に関する特集記事が後を絶たない状況だ。日本時間21日に掲載された「Brainstorming 9 potential Deadline deals for Ohtani(大谷の移籍の可能性を9つ挙げてみた)」と題した記事では、大谷の獲得に動きそうな9チームの名前を挙げ、交換相手になり得る選手も紹介している。
例えばレイズなら、“若手の有望株5人をセットにしてエンゼルスにトレードを提案するだろう”といった具合だ。
9チームの内訳は、レイズやヤンキースなどア・リーグが6チーム、ドジャースやパドレスなどナ・リーグが3チーム。
大谷が渡米した頃とは違い、今はナ・リーグでも指名打者制が導入されているため、大げさに言えば全30球団が“二刀流”大谷翔平を受け入れる体制を採れるようになっている。
仮に8月1日の期限までにエンゼルスが大谷放出に踏み切った場合、相手チームの所属リーグによっては大谷のタイトル争いにも大きな影響が出そうだ。
三冠王にも手が届く勢いだが…?
もし移籍先がエンゼルスと同じア・リーグのチームなら、今季の成績はそのまま残るため、大きな問題とはならない。
ところが、ナ・リーグのチームへ移籍が決まれば、大谷はナ・リーグの選手として“ゼロからの再出発”となる。つまり、エンゼルスの一員として残した成績はそこでストップ。たとえシーズン合計で60本塁打を放ったとしても、個人タイトルを獲得することはほぼ不可能ということになる。
現在両リーグトップの35本塁打を放ち、日本人として初の本塁打王だけでなく、打率と打点も合わせた三冠王にも手が届く勢いの大谷。もしナ・リーグへの移籍が決まれば、その時点でほぼ“無冠”が確定してしまう。
MLBではトップクラスの選手がシーズン中にトレードで移籍することも珍しくない。もし大谷が放出されるなら、ア・リーグ所属のチームがいいと思っているファンは決して少なくないだろう。
今後10日以内に大谷はエンゼルス以外のユニホームに袖を通しているのか。全米の野球ファンがエンゼルスの決断に注目している。
文=八木遊(やぎ・ゆう)