コラム 2023.08.03. 07:04

組み合わせ抽選会は本日開催!夏の甲子園・過去大会で実現した“初戦の好カード”4選

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夏の甲子園 (C) Kyodo News

「夏の甲子園」今年は8月6日に開幕


 今月6日に開幕する『第105回全国高等学校野球選手権記念大会』。今夏は各地区の予選で強豪校が次々と敗退したことも話題となり、戦前から混戦ムードが漂っている。

 近年稀に見る酷暑も心配される中、2週間以上に及ぶトーナメントを勝ち抜くのは一体どの高校になるのか。本日3日には大阪市内のホールで組み合わせ抽選会が行われ、3回戦までの対戦カードが決定する。

 当然ながら本大会はシードを採用していないため、初戦から優勝候補が激突することも珍しくない。今回は運命の抽選会を前に、筆者が本格的に高校野球を見始めた1984年以降の夏の甲子園大会から、特に記憶に残っている“初戦屈指の好カード”を幾つかピックアップして紹介していきたい。


2007年:広陵(広島) 5-4 駒大苫小牧(南北海道)


 史上初「4年連続決勝進出」を狙う南北海道代表の駒大苫小牧が大会4日目に登場。広島代表の広陵と対戦した。

 実はこの年から組み合わせ抽選の方式が変更され、それまでの「東西対抗」から「全地区フリー抽選」へと変貌を遂げていた。初戦から隣接県同士の対戦も可能性として浮上した中、“初戦屈指の好カード”として注目されたのがこの一戦だった。


 試合は2回に駒大苫小牧が2点を先制すると、終始リードを保ち試合を優位に進めていく。しかし、対する広陵が2点ビハインドで迎えた土壇場9回に猛攻。相手の守備の乱れもあって一挙3得点で逆転に成功すると、裏の駒大苫小牧の反撃を1点にとどめ、5-4で広陵が接戦を制した。

 野村祐輔(広島)や小林誠司(巨人)など、のちにプロ入りした選手が4人もスタメンに名を連ねていた広陵はその後も勢いに乗って勝ち進んだが、佐賀北(佐賀)との決勝戦でよもやの逆転負け。悔しい準優勝に終わっている。


2006年:大阪桐蔭(大阪) 11-6 横浜(神奈川)


 06年のセンバツを圧倒的な強さで制した横浜が、激戦の神奈川を順当に突破。2年ぶりの夏甲子園に優勝候補の筆頭として出場した。

 そこで対戦したのが、前年夏の4強・大阪桐蔭。事実上の決勝戦とも言われた“初戦屈指の好カード”は、6回を終えて2-2の大接戦となる。

 ところが、大阪桐蔭が7回裏に4点、8回に5点を追加すると、9回表の横浜の反撃をしのぎ、終わってみれば11-6で快勝。横浜の春夏連覇の夢を打ち砕いた。

 優勝候補を破った大阪桐蔭はそのまま勝ち進むかと思われたが、2回戦で斎藤佑樹を擁する早稲田実(西東京)に2-11で敗戦。結局、大阪桐蔭を下した早稲田実がその夏のチャンピオンに輝いた。


2021年:大阪桐蔭(大阪) 7-4 東海大菅生(西東京)/降雨コールド


 2年ぶりの開催となった2021年。“初戦屈指の好カード”と言われたのは、ともに同年のセンバツにも出場した実力校の大阪桐蔭と東海大菅生による一戦だった。

 試合は序盤から大阪桐蔭がリードする展開。一時は4点差をつけたが、7回表に東海大菅生が3点を挙げ1点差に詰め寄った。

 それでも、その裏に大阪桐蔭が2点を追加すると、東海大菅生は残り2イニングに勝負を懸けたが、8回表一死の場面で無念の降雨コールドが告げられ、大阪桐蔭が初戦を突破した。

 ところが、初戦を突破した大阪桐蔭は続く2回戦で近江(滋賀)に4-0からまさかの逆転負けを喫し、3年ぶりの夏制覇はならず。大会を制したのは、同じ近畿の強豪・智弁和歌山(和歌山)だった。


1997年:秋田商(秋田) 4-3 浜田(島根)


 遡ること1997年。その夏は智弁和歌山(和歌山)が選手権大会初制覇を遂げた年でもある。

 この年、“結果的に初戦屈指の好カード”となったのは、小兵左腕・石川雅規(ヤクルト)を擁する秋田商と、2年生エース・和田毅(ソフトバンク)擁する浜田の一戦だった。


 試合は左腕2人の投げ合い。9回表を終えて浜田が3-1と2点をリードしていたが、9回裏に秋田商が怒涛の反撃で一気に3点を挙げ、逆転サヨナラ勝ちを収めた。奇しくも、和田からサヨナラ押し出し四球を選んだのが石川だった。

 26年前に見事な投手戦を演じた2人だが、ご存知の通り40歳を過ぎた現在も現役選手としてプロの一線級で投げ続けている。

 果たして、今年の夏も初戦から優勝候補同士の対戦は見られるのか。運命の組み合わせ抽選会は3日14時から行われる。


文=八木遊(やぎ・ゆう)
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