広陵の2年生エース・高尾響に注目
8月6日に開幕する『第105回全国高等学校野球選手権記念大会』。3日には組み合わせ抽選会が行われ、各校初戦の対戦カードが決定した。
今年のドラフト候補といえば、佐々木麟太郎(花巻東/一塁手)や真鍋慧(広陵/一塁手)をはじめ、佐倉侠史朗(九州国際大付/一塁手)や仲田侑仁(沖縄尚学/一塁手)、山田脩也(仙台育英/遊撃手)、横山聖哉(上田西/遊撃手)、百崎蒼生(東海大熊本星翔/遊撃手)など、野手の注目選手が多い。投手の有力候補は地方大会で敗退したケースが多く、今大会は“打高投低”の傾向が強いというのがもっぱらの評判だ。
しかし、その一方で下級生に目を移してみると、来年以降のドラフト戦線に浮上する可能性が高い楽しみな投手は非常に多い。
ここまでの実績で頭一つ抜けているのが高尾響(広陵)だ。
強豪の広陵で1年夏から背番号1を背負い、昨年秋は少し調子を落としたものの、選抜でもチームをベスト4進出に導く原動力となっている。
夏の広島大会では、5試合に先発し34回1/3を投げてわずか2失点と見事な投球を見せた。
身長は170センチ台前半で上背はないものの、コンスタントに140キロ台中盤をマークするストレートと抜群のコントロールはとても2年生とは思えないレベルにあり、試合を作る能力が高い。
広陵の選手は大学に進学するケースが多いものの、本人が強いプロ志望となれば、当然来年のドラフトで有力候補となるだろう。
八戸学院光星には注目のサウスポーが2人
春以降に素晴らしい成績を残したのが、八戸学院光星の洗平比呂と岡本琉奨のサウスポー2人だ。
元中日投手の洗平竜也を父に持つ洗平は、昨年夏の甲子園でも1年生ながら先発を任された。
チームは敗れたものの、5回を1失点(自責点0)と好投。この時の最速は140キロだったが、現在では140キロ台中盤までスピードアップし、順調な成長を見せている。
長いリーチを生かした豪快な腕の振りは一級品で、最近では珍しい大きいカーブも面白いボールだ。春の東北大会では決勝で仙台育英を抑え込んだほか、夏の青森大会では4試合に登板して防御率0.46という見事な成績を残した。
その洗平を抑えて、春・夏の青森大会でいずれも背番号1を背負ったのが岡本だ。
少し体が左右に振れるフォームでばらつきがあるのは課題だが、躍動感あふれるフォームから投げ込むストレートは140キロ台中盤をマークする。鋭く変化するスライダーとチェンジアップも武器で、夏の青森大会ではイニング数を大きく上回る三振を奪った。
洗平、岡本ともにプロから人気になりやすいサウスポーだけに、今後も高い注目を集めることは間違いない。
190センチ超の大型投手も登場
スケールが魅力の大型投手としては、清水大暉(前橋商)や十川奨己(立命館宇治)の名前が挙がる。ともに190センチ以上の長身で、高い位置から投げ下ろすボールが大きな魅力だ。
清水は夏の群馬大会ではリリーフで短いイニングでの登板だったが、140キロ台後半のスピードをマークしており、指にかかった時のボールは目を見張るものがある。
準々決勝では前橋育英を相手に2イニングをパーフェクト、3奪三振。決勝の桐生第一戦も2イニングを被安打1、3奪三振と見事なピッチングを見せ、いずれも1点差勝利に大きく貢献した。エースの坂部羽汰(3年)も安定感があるだけに、清水は甲子園でもリリーフでの起用が予想される。
一方の十川は、スピードこそまだ140キロ台前半ながら良い意味でまとまりがあり、安定感が光る。
夏の京都大会では準決勝で龍谷大平安を完封。決勝も京都翔英に6失点(自責点5)ながら9回を1人で投げ抜いてチームを甲子園出場に導いた。
指先の感覚が良く、軽く投げているようでもボールに勢いがあり、変化球も器用に操ることができる。2人とも長身に見合うだけの筋力がついてくれば、来年のドラフトで目玉候補になる可能性もあるだろう。
他にも、小松龍一(花巻東)や武藤陽世(仙台育英)、堀江正太郎(文星芸大付)、梅沢翔大(専大松戸)、小宅雅己(慶応)、伊東尚輝、大泉塁翔(ともに愛工大名電)らも既に140キロ台中盤のスピードをマークしており、レベルの高い投手が揃っている。
3年生の強打者を相手に、ここで挙げた投手たちが好投を見せて一気にその名を全国に轟かせる。そんな展開となることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所