「一番助かってますね」と指揮官も称えるタフさ
首位を独走するタイガースにまた頼りになるタフネスリリーバーが誕生の予感だ。
10連勝をかけた13日のスワローズ戦。1点優勢の6回から2番手登板した2年目の桐敷拓馬は、任された1回2/3を1安打無失点に封じて仕事を果たした。
先発の伊藤将司が5回までに3失点。試合前の時点で9戦連続クオリティースタート(QS)を記録し、QS未達はここまで1度だけの左腕が珍しく安定感を欠いていた。首脳陣も勝利投手の権利を得たところで早期の降板を決断。チームにとっての1つの誤算を埋めたのが、桐敷だった。
試合後、岡田彰布監督もバトンをつないだ救援陣を称えながら「桐敷が一番大きいですね。タフだしね。イニングまたぎもいけるんで。一番助かってますね」と目を細めた。
この日は2連投目で、複数イニングも2日連続。5月26日のジィアンツ戦では7回1失点の快投でプロ初勝利を挙げたように本来は先発要員だが、7月下旬からブルペンに配置転換され一軍で居場所をつかみつつある。
「チームに貢献できていることはすごく嬉しい」
24歳の若虎も意気に感じている。
「自分はイニングをまたいだりとか、そういうところが役割だと思っているのでそれをゼロで抑えるっていうところを意識してます」
リリーフ転向でプラスの面も生まれており「中継ぎは1球、1球という感じで投球の間とかも意識してできている」と適応にも手応えを口にする。
キャリアでこれだけ一定期間、ブルペン待機するのは初めてではあるが、周囲には百戦錬磨の先輩たちが控えている。
「ちゃんとこうやって(長い期間)中継ぎにいるのは初めてなので。岩崎さん、加治屋さん、島本さんとかみんなでコミュニケーションを取れてます」
登板前には守護神の岩崎、ピンチで起用され好救援を続ける島本ら経験豊富な同じサウスポーから自身が対戦する可能性のある打者の傾向や特徴をヒアリングしてイメージを高める。
これ以上ない“予備知識”を携えてマウンドに上がれることも快投を続ける要因だ。
1イニングやワンポイントのスペシャリストは他にもいる中で、ロングリリーフも可能な点はリーグ屈指の安定感を誇る救援陣の中でも桐敷のストロングポイントになっている。
「チームに貢献できていることはすごく嬉しいし、自分の役割は分かっているのでこれからもしっかり抑えられるように」
タフな起用に結果で答える若虎が好調なチームの“飛び道具”になっている。
文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)