コラム 2023.08.24. 18:41

独走・阪神を許したライバルたちの現況【波乱含み? セの優勝争いの行方を占う】

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DeNA・三浦監督 (C) Kyodo News
 岡田阪神に新たな快記録が加わった。

 23日の中日戦に勝利して、京セラドームでは今季無傷の8連勝。球団初の快挙だ。

 かつて、本拠地・甲子園を高校野球に明け渡す8月は「死のロード」と呼ばれた。しかし、近年は大阪にある京セラドームを活用すれば自宅からでも通える。

 さらに巨人戦や中日戦はドーム球場だから、灼熱の甲子園より疲労度は軽減される。快適なホテル生活もプラスに作用すれば、メリットの方が大きい。

 かくして試練の8月は、10連勝の快進撃も加えて16勝4敗の驚異的な数字が残る。(23日現在、以下同じ)ちなみに、同月の成績を見ると広島が9勝9敗2分けなら、巨人が9勝10敗、DeNAが8勝11敗。これでは、優勝争いも“周回遅れ”の感がある。


阪神の対抗馬だったDeNAが夏場に急失速


 ペナントレースも残り30試合程度。白熱の度を増す時期になっても、追いかけるチームの台所は依然苦しい。

 広島は主砲の秋山翔吾選手が今月11日の中日戦で右ふくらはぎを痛めて戦列離脱なら、巨人は守護神の大勢が6月下旬に右上肢コンディション不良で一軍から消えて以来、勝ちパターンの継投策を未だ模索している。さらに、ここへ来て、最も気になるのがDeNAの変調だ。

 18日から横浜に阪神、広島を迎え撃つ6連戦は、再浮上することが出来るか試金石となる戦いだったが、阪神との初戦に勝ったものの、その後は4連敗。23日には3位の座を巨人に明け渡してBクラスに転落してしまった。

 ベイスターズもまた、目下、首位打者の宮﨑敏郎選手が左肋間筋炎症で欠場中。その影響もあって、8月の19試合中11ゲームが2得点以下の貧打にあえいでいる。4番を打つ牧秀悟選手以外は計算が立たないのが現状だ。

 昨年はヤクルトに次いで2位に躍進、今季こそは25年ぶりの優勝を狙えると下馬評も高かった。事実、春先には三浦大輔監督の下では初の首位に躍り出ると交流戦でも優勝するなど絶好のスタートを切った。

 佐野恵太と関根大気両選手で組む1、2番から宮﨑、牧、ネフタリ・ソトらの中軸も破壊力があり「ニューマシンガン打線」は躍動した。投手陣では侍ジャパンの左腕エース、今永昇太を筆頭に、超大物助っ人トレバー・バウアーと東克樹の先発三本柱も充実。戦力的には阪神より上と見る評論家も多かった。

 最大の誤算は夏場に訪れる。絶対的な守護神である山﨑康晃が打ち込まれて中継ぎに降格。このあたりからチームの勢いは失われて行った。

 本拠地のハマスタで無敵の13連勝を飾ったかと思えば、同じホーム球場で8連敗を喫するなど、強さと弱さが同居する。そこに山﨑や宮﨑など看板選手の変調が加わると、歯止めが利かない。

 23日の広島戦でも勝負所でミスが出ると、先発の濵口遥大が押し出し四球で自滅。ベンチの用兵、采配を含めて厳しさが足りないと欠点を指摘する声も目立ってきた。

 チームが好循環で回っている時は、多少の誤算も気にならない。阪神が不振の主砲・佐藤輝明選手を先発から外して、ファームから昇格させたばかりの小野寺暖選手を3番で起用しても活躍して穴を埋める。主戦捕手の梅野隆太郎選手を骨折で欠いても坂本誠志郎選手が遜色ない働きを見せる。戦力層ではライバル球団に劣る広島は全員野球でしのいでいる。

 長丁場のペナントレースに故障や誤算はつきもの。有事の際にどう、しのいで戦力を建て直していくのか? そこが上位チームと巨人やDeNAとの差に表れている。

 今季、今永(7勝3敗)バウアー(9勝4敗)東(10勝2敗)と「三本柱」に限れば貯金17を稼ぎ出している。クライマックスシリーズなどの短期決戦を考えれば強力な武器になる。後はミスをなくして、時には少ない安打でもそつなく得点できればまだまだ浮上の目はある。

 残り1カ月超。三浦監督の手腕に命運が託される。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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