リーグ優勝の地に降臨
「カモンローズ、ビクトリー!」。偉大なるレジェンド助っ人のテーマが、いつもより大きく、そして誇らしげに甲子園にこだました。
ベイスターズ史上最強外国人ボビー・ローズ氏が関東からファンを引き連れてDeNAを応援する『ボビー・ローズと行く23 甲子園応援ツアー』を敢行。レフトのビジター応援シートから古巣にパワーを送り続けた熱意が実り、チームも劇的な勝利を納めることに成功。ローズ氏も家族も、ファンとともに歓喜の拳を何度も天に突き上げた。
試合観戦前にはツアー参加者と交流会が行われ、妻のミッシェルさんと、娘のリアンナさんとともに今回の企画の趣旨を説明。
ローズ曰く、交流戦での『GET THE FLAG SERIES』イベントで来日した際「今年6月、ベイスターズのお招きで谷繁(元信)さんと権藤(博)さんが中日にいた時以来、12年振りに帰ることができました。12年間の間にはコロナもあり、谷繁さんとか大魔神(佐々木主浩氏)、佐伯(貴弘)さんと会えるのを楽しみに帰ってきました」と旧友との再会をメインに捉えていたと第一声。
さらに「ファンは誰も俺の事など覚えていないだろうと、あまり期待せずにいました」とその時の素直な気持ちを明かした。
だがファンの声援は熱く「トークショーでは多くの皆さんがローズ23のタオルなどを掲げて下さり、ほんとに感極まってしまいました」と感涙を流してしまったと告白し「あの西武戦を含めた4日間、多くの方々が自分がファンだったころの写真を見せてくれて、さらに自分の息子や娘を連れて『そのころ私はあなたのファンでしたが、いまはこんなに大きな子どもがいます』と言ってくださいました」と感激。
「このようにジェネレーションを超えたコミュニケーションをしてくれました。野球というスポーツが世代を、そして国を、言葉の壁を超えて結びつけてくれるということを体感でしました」と心を揺さぶられ「これは俺が日本、そして横浜のファンの皆さんに感謝しなければならない」と決意が今回の再来日に繋がったとコメントした。
また「現役時代8年間日本でプレーしたのですが、いくつか後悔しています。あれだけの戦力を持ちながらなぜもう一度優勝出来なかったのかとか、2000年にチームを離れる時も、もう少し我慢すればもう1、2年はプレー出来たのでは」と野球では2つの悔いがあるとした。また「その時日本語を勉強しなかったこともその中の一つです。いまになって勉強しているので、いつかファンの皆さんと日本語で直接コミュニケーションが取れると思います」とこれから日本のファンと積極的に交流すると宣言した。
初のスタンド応援
そして「スタンド観戦は初」と心弾みながらリーグ優勝を決めた思い出の地・甲子園のレフトスタンド最上段に陣取ったローズ氏は、真剣な眼差しで観戦。時に流れる自身の現役時代のテーマが流れると「鳥肌が立つ気分だよ」と笑顔を見せた。
試合は0-2の劣勢で迎えた最終回に、佐野恵太と牧秀悟の連続ホームランで大逆転勝利を飾り、スタンドは蜂の巣をつついたような大騒ぎになると、ローズ氏も大興奮で周囲とハイタッチ。
同じ4番・セカンドの牧秀悟がお立ち台に上がると「感動で泣きそうだよ」と目に手を付ける仕草で喜びを表現し「ベストゲーム! ベリーグッド!」とサムズアップで総括。
「信じられないゲームを見られました。今日1日でファンとしての経験を十分積めたので、これからは堂々とベイスターズファンを名乗れます」と興奮気味に話した。
最後にはベイスターズファンからテーマで祝福され「ラブ!」を何度も繰り返しながら手を振り続けたローズ氏は、また帰ってくることを約束しつつ思い出の地、甲子園を後にした。
勝運を持つローズ氏の後押しもあり快勝した三浦ベイスターズ。98年を知る監督やコーチの心にも、レジェンド助っ人の魂が伝わったに違いない。
取材・文=萩原孝弘