データで振り返る!メジャー日本人選手の2023年:第2回・鈴木誠也
広島時代に2度、首位打者に輝き、2022年にメジャー挑戦を果たした鈴木誠也。2年目の今季はほとんどの打撃部門で成績アップに成功した。
111試合に出場し、打率.262、14本、46打点……。カブスでの1年目は期待外れといえる成績だったが、今季は138試合で、打率.285、20本、74打点と成績を伸ばした。
ただ、1年間を通じて順調だったわけではない。3月に左脇腹を負傷し、ワールドベースボールクラシック(WBC)の出場を辞退。レギュラーシーズン開幕にも間に合わず、負傷者リスト(IL)でスタートし、自身の開幕戦を迎えたのは約2週間遅れの4月14日だった。
4月から7月にかけての月間打率は順に、.254→.319→.177→.240。8月上旬までは、1年目を下回る.250付近を彷徨っていた。それまでクリーンアップを担っていた鈴木だが、8月中旬には8番に降格する屈辱も味わった。
しかし、これに発奮したのか、その頃から徐々に本来の力を発揮。結局、後半戦は打率.313、13本、46打点の大爆発で、ポストシーズン争いを繰り広げたチームに大きく貢献した。
5番以下の打順で持ち味を発揮
特に9月以降は打率.370、7本、19打点と、ナ・リーグ月間MVPに輝いたブレーブスのロナルド・アクーニャJr.(打率.340、11本、23打点)と遜色ない数字を残した。
8番への降格が起爆剤となった形の鈴木だが、今季の打順別起用回数を見ると、4番が最多。次いで5番、6番、2番、3番、8番、7番となっている。
いわゆる中軸と呼ばれる2~4番を打った時は、いずれも打率2割台(合算で.249)だったが、5番以下の時は.329と高打率を残している。上位を打つよりも、5番以下のやや気楽な打順で持ち味を発揮していた印象だ。
またチームの勝利に貢献する試合も1年目から大幅に増えた。チームの勝ち試合と負け試合それぞれの成績を比較すると、昨季は勝ち試合で打率.277、8本、30打点、負け試合で打率.250、6本、16打点と大きく変わらなかった。ところが、今季は勝ち試合で打率.333、12本、51打点。一方で、負け試合は、打率.234、8本、23打点と、打率はほぼ1割の差があった。
チームも鈴木の活躍と連動するように成績を伸ばした。昨季74勝88敗だった若手主体のカブスは、今季83勝79敗。ナ・リーグ覇者となるダイヤモンドバックスに僅か1ゲーム差で及ばず、ポストシーズン進出を逃したが、ファンに希望を抱かせるシーズンとなった。
来季が5年契約の3年目となる鈴木。今季を上回る成績を残して2020年以来となるチームのポストシーズン進出に貢献したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)