データで振り返る!メジャー日本人選手の2023年:第4回・大谷翔平(打者)
今季がメジャーに移籍後、6年目だった大谷翔平。2位に大差をつけて本塁打王に輝くなど、自慢の打棒が爆発して2年ぶりにMVPを受賞した。2年前に続く2度目の満票選出は史上初というオマケ付きだった。
常勝軍団ドジャースへの移籍も決まり、来季は心機一転、青いユニホームを身に纏ってメジャーでの第二章が幕を開ける。
今や日本だけでなく、現地アメリカでもスーパースターの座に上り詰めた大谷。今季は残念ながらシーズン終盤に戦列を離れ、9月以降はほぼ出場の機会がなかった。
それでも最終的に打者として、135試合、打率.304、44本塁打、95打点という圧巻の数字を残した。出塁率と長打率を足したOPSも自身初の1.000超えとなる1.066をマークした。
投手としても23試合に登板して、10勝を挙げたが、やはり今季は打者としての活躍がより際立った。勝利の貢献度を測るWAR(Fangraphs版)を投手と打者のそれぞれで算出すると、投手の2.4に対して、打者は6.6。2年前の投手3.0、打者5.1と比べても、打者としての活躍が目立っていたことが分かるだろう。
本塁打数こそ2年前の46本から44本に減少したが、もし1か月の戦線離脱がなければ、間違いなく50本塁打は突破していたはずだ。
また、今季は本塁打に加えて打率も自身初の3割台に乗せることに成功した。2年前は.257で、リーグ45位だった打率ランキングは、今季リーグ4位の.304にアップ。打点と合わせて一時は三冠王も射程に入るほどだった。
左投手を打ち崩せれば三冠王も見えてくる
打者として完成の域に達した大谷だが、数少ない改善点をあえて挙げるとすれば、サウスポーをやや打ちあぐねていたことだろう。
ルーキーイヤーの2018年は左投手に対して打率.222、2本塁打と苦しんだが、2年目以降は克服していた。ところが今季は対右投手の.327、33本塁打に対して、対左投手は.245、11本塁打。来季は引き続き右投手を“カモ”にしつつ、昨季以前の水準で左投手を打ち崩すことができれば、おのずと三冠王も見えてくるだろう。
今季はワールドベースボールクラシックで侍ジャパンを3大会ぶりの優勝に導き、低迷するエンゼルスも同じように牽引することが期待された。大谷自身は孤軍奮闘の働きで、申し分のない活躍を見せたが、チームは夏以降に急失速。トレード期限間際の補強も失敗に終わった。
ドジャースで迎えるメジャー7年目は打者に専念することが分かっている。果たしてどんなモンスター級の成績を残すことができるか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)