データで振り返る!メジャー日本人選手の2023年:第6回・ダルビッシュ有
日本ハムで7年、メジャーではレンジャーズ、ドジャース、カブス、そして現在所属するパドレスの4球団を渡り歩き、計12年を過ごしたダルビッシュ有。来季はプロ通算20年目という節目のシーズンを迎える。
これまで積み重ねた勝利数は日米で合わせて「196」。今季開幕前はシーズン中の200勝達成が期待されていたが、前年の16勝から半減となる8勝(10敗)に終わり、大台到達は来季へ持ち越しとなった。
ダルビッシュがシーズン負け越しを喫したのは5度目だったが、そのすべてが2017年以降の過去8年でのもの。また、敗戦数は自身3度目の2桁に達し、エースとしての役割を果たせたとは言い難い。
今季の防御率4.56は8試合の登板に終わった18年の4.95を除けば自己ワースト。今季開幕前に、パドレスと6年総額1億800万ドル(当時のレートで約142億円)の再契約を結んでいたが、期待を裏切ったと言わざるを得ないだろう。
新ルールの導入と不運な面が重なり…
ダルビッシュが前年から大きく成績を落とした要因の一つが、新ルール“ピッチクロック”の導入ではないだろうか。
ルール適応前の昨季は走者なし時の投球間の間隔が、シーズン2000球以上投じた60投手中59位。走者あり時は同条件で49位と、リーグでもかなり間合いを取る投手の一人だった。
ところが今季は新ルールの導入で、本人も「きつくなるだろうなとは思っていた」とコメントしていたように、苦戦が予想された。実際、特にシーズン序盤はピッチクロックに戸惑うシーンもあり、これが成績悪化の遠因だったといえる。
ただ、今季のダルビッシュは不運な面もあった。本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合を示すBABIPは.319で、これは130投球回以上を投げたメジャー87投手の中でワースト8位だった。
ちなみに前年のBABIPが.251だったので、打ち取ったはずの当たりが安打になるといった場面は前年に比べてかなり多かったことになる。
さらに、球威の衰えも気になる年齢に差し掛かったダルビッシュだが、奪三振率は前年の9.11から9.31と微増。今年8月に37歳になったが、球の勢い自体は全盛期と比べても遜色はなかった。
シーズン後半は右肘の炎症で負傷者リスト(IL)入り。8月下旬の登板を最後に結局、復帰できないままプロ生活19シーズン目を終えた。
ただ、オフに肘にメスを入れるという最悪の事態は回避しており、来季は開幕からフル回転でチームに貢献することが求められる。かつての輝きを取り戻し、パドレスを悲願の世界一に導くことができるのか。来季もダルビッシュから目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)