2023年シーズンのプロ野球で起きた珍プレーや珍事を振り返る「プロ野球B級ニュース事件簿2023」。第1回は、「岡本和真編」と銘打ち、過去にも記憶に残る珍プレーを連発した巨人の主砲・岡本和真の2023年版最新珍プレーを紹介する。
打席で14球も粘った末に、まさかの三振ゲッツーを喫してしまったのが、4月1日の中日戦だ。
2-0とリードの8回裏、巨人は先頭の吉川尚輝が中前安打で出塁。丸佳浩が右飛に倒れたあと、一死一塁で4番・岡本に打順が回ってきた。岡本は初球から6球連続ファウルと粘り、1ボール後も2球連続ファウル。さらに2球連続ボールでフルカウントになると、2球続けてランエンドヒットでいずれもファウルになった。
だが、山本拓実の14球目、外角寄りの121キロカーブを見逃し、三振に倒れた。この時点で一塁走者・吉川がスタートしていたが、直後、何とも間の悪いハプニングが起きる。
なんと、一塁ベンチに戻ろうと歩きかけた岡本が、本塁付近で二塁に送球しようとした捕手・木下拓哉と交錯し、送球できなくなったため、守備妨害をとられてしまったのだ。
想定外の三振ゲッツーで追加点を挙げることができなかった巨人だが、そのまま2-0で逃げ切ったのは何よりだった。
フェンス直撃のライトゴロの珍事が起きたのが、4月28日の広島戦だ。
2回に1点を先行された巨人はその裏、先頭の岡本が右前安打を放ち、反撃の狼煙を上げる。一死後、大城卓三の当たりは右翼フェンス直撃の長打コース。チャンスが広がったかに見えたが、フェンス際でジャンプしたライト・野間峻祥が直接捕球したように見えたことが、思わぬ珍プレーを誘発する。実は、打球は野間のグラブに入る前にフェンスに当たっていた。
ところが、一・二塁間で打球の行方を見守っていた一塁走者・岡本は、直接捕球かどうか判断がつかず、立ち往生。インプレーと知ると、慌てて二塁に向かい、ヘッドスライディングしたものの、時すでに遅し。野間からセカンドに送球され、二封アウトになってしまった……。
その後、坂本勇人の安打で二死一・二塁としたものの、結局、無得点に終わり、ベンチの原辰徳監督も苦虫を噛み潰したような表情だった。それでも、試合は終わってみれば、5-4で巨人の勝利だった。
“珍プレーの帝王”ルイス・ブリンソンと掛け合い漫才よろしくダブル珍プレーを演じたのが、5月5日の中日戦だ。
初回に広岡大志の先頭打者弾となる左越えソロで1点を先制した巨人は、4回にも小笠原慎之介の制球の乱れに乗じ、岡本、丸の連続四球で無死一・二塁と追加点のチャンス。
だが、次打者・ブリンソンはカウント1-1から送りバントを試み、後方に小飛球を打ち上げてしまう。最初からバントの構えをしていたのに、バットから目線が離れており、これではバントを決めろと言うのが無理というもの。捕手・木下拓哉が素早く反応し、ジャンピングキャッチ、一死となった。
ところが、二塁走者・岡本は、バントの瞬間からスタートを切っており、すでに二・三塁間の中間地点まで達していた。木下が直接捕球したのに気づくと、慌てて戻ろうとしたが、当然間に合わない。ダブルプレーになり、二死一塁から中山礼都も遊飛に倒れて無得点。試合も3-8と逆転負けした。
ネット上では、不器用なブリンソンにあえてバントを命じた原采配に疑問を呈する声が相次ぎ、野球解説者で元中日監督の谷繁元信氏も「走塁ミスも重なって、おまけにダブルプレーも取れた。相手からすると打ちに来たほうが嫌だったと思います」とバント失敗に端を発したダブルミスに首をかしげていた。
そのブリンソンに守備中の岡本が注意を受ける珍風景が見られたのが、5月25日のDeNA戦だ。
中田翔の負傷離脱により、2019年8月9日のヤクルト戦以来、1385日ぶりにレフトを守った岡本だったが、長いブランクの影響と思われる不可解なプレーが見られたのが、1-1の同点で迎えた2回の守備だった。
先発・山崎伊織がソトのソロで1点を勝ち越され、なおも一死二塁のピンチで、岡本は山本祐大の左中間への大飛球をキャッチ。ここまでは良かったが、まだ二死なのにすぐに内野に送球する構えを見せることなく、モタモタしていた。アウトカウントを間違えていたのかもしれない。
直後、センターのブリンソンに注意されて、慌ててショート・坂本勇人に送球したが、この“ロスタイム”の隙をついて、二塁走者・京田陽太は余裕で三塁へ。注意深く打球の行方を追っていた京田は、岡本が送球態勢を取らないのを見て、すぐさまタッチアップしていた。記録には残らないが、これはボーンヘッドと言われても仕方がない。
こんなときは得てして流れが悪くなるもの。二死三塁から山崎は、投手の東克樹に右前タイムリーを許し、3点目を失ってしまった。
試合は5-4で勝ったものの、岡本は4打数無安打1三振に終わり、5月21日の中日戦から記録していた連続試合本塁打も「3」でストップ。不慣れなポジションでの“うっかり”は、打撃にも悪影響を及ぼすようだ。
それでもシーズンが終わってみれば、打率.278、41本塁打、93打点で2年ぶりに本塁打王のタイトルを奪回。多少の珍プレーは大目に見るべきかもしれない?
文=久保田龍雄(くぼた・たつお)
あまりに無念すぎる“三振ゲッツー”
打席で14球も粘った末に、まさかの三振ゲッツーを喫してしまったのが、4月1日の中日戦だ。
2-0とリードの8回裏、巨人は先頭の吉川尚輝が中前安打で出塁。丸佳浩が右飛に倒れたあと、一死一塁で4番・岡本に打順が回ってきた。岡本は初球から6球連続ファウルと粘り、1ボール後も2球連続ファウル。さらに2球連続ボールでフルカウントになると、2球続けてランエンドヒットでいずれもファウルになった。
だが、山本拓実の14球目、外角寄りの121キロカーブを見逃し、三振に倒れた。この時点で一塁走者・吉川がスタートしていたが、直後、何とも間の悪いハプニングが起きる。
なんと、一塁ベンチに戻ろうと歩きかけた岡本が、本塁付近で二塁に送球しようとした捕手・木下拓哉と交錯し、送球できなくなったため、守備妨害をとられてしまったのだ。
想定外の三振ゲッツーで追加点を挙げることができなかった巨人だが、そのまま2-0で逃げ切ったのは何よりだった。
まさかの「ライトゴロ」
フェンス直撃のライトゴロの珍事が起きたのが、4月28日の広島戦だ。
2回に1点を先行された巨人はその裏、先頭の岡本が右前安打を放ち、反撃の狼煙を上げる。一死後、大城卓三の当たりは右翼フェンス直撃の長打コース。チャンスが広がったかに見えたが、フェンス際でジャンプしたライト・野間峻祥が直接捕球したように見えたことが、思わぬ珍プレーを誘発する。実は、打球は野間のグラブに入る前にフェンスに当たっていた。
ところが、一・二塁間で打球の行方を見守っていた一塁走者・岡本は、直接捕球かどうか判断がつかず、立ち往生。インプレーと知ると、慌てて二塁に向かい、ヘッドスライディングしたものの、時すでに遅し。野間からセカンドに送球され、二封アウトになってしまった……。
その後、坂本勇人の安打で二死一・二塁としたものの、結局、無得点に終わり、ベンチの原辰徳監督も苦虫を噛み潰したような表情だった。それでも、試合は終わってみれば、5-4で巨人の勝利だった。
ブリンソンと“ダブル珍プレー”
“珍プレーの帝王”ルイス・ブリンソンと掛け合い漫才よろしくダブル珍プレーを演じたのが、5月5日の中日戦だ。
初回に広岡大志の先頭打者弾となる左越えソロで1点を先制した巨人は、4回にも小笠原慎之介の制球の乱れに乗じ、岡本、丸の連続四球で無死一・二塁と追加点のチャンス。
だが、次打者・ブリンソンはカウント1-1から送りバントを試み、後方に小飛球を打ち上げてしまう。最初からバントの構えをしていたのに、バットから目線が離れており、これではバントを決めろと言うのが無理というもの。捕手・木下拓哉が素早く反応し、ジャンピングキャッチ、一死となった。
ところが、二塁走者・岡本は、バントの瞬間からスタートを切っており、すでに二・三塁間の中間地点まで達していた。木下が直接捕球したのに気づくと、慌てて戻ろうとしたが、当然間に合わない。ダブルプレーになり、二死一塁から中山礼都も遊飛に倒れて無得点。試合も3-8と逆転負けした。
ネット上では、不器用なブリンソンにあえてバントを命じた原采配に疑問を呈する声が相次ぎ、野球解説者で元中日監督の谷繁元信氏も「走塁ミスも重なって、おまけにダブルプレーも取れた。相手からすると打ちに来たほうが嫌だったと思います」とバント失敗に端を発したダブルミスに首をかしげていた。
そのブリンソンに守備中の岡本が注意を受ける珍風景が見られたのが、5月25日のDeNA戦だ。
中田翔の負傷離脱により、2019年8月9日のヤクルト戦以来、1385日ぶりにレフトを守った岡本だったが、長いブランクの影響と思われる不可解なプレーが見られたのが、1-1の同点で迎えた2回の守備だった。
先発・山崎伊織がソトのソロで1点を勝ち越され、なおも一死二塁のピンチで、岡本は山本祐大の左中間への大飛球をキャッチ。ここまでは良かったが、まだ二死なのにすぐに内野に送球する構えを見せることなく、モタモタしていた。アウトカウントを間違えていたのかもしれない。
直後、センターのブリンソンに注意されて、慌ててショート・坂本勇人に送球したが、この“ロスタイム”の隙をついて、二塁走者・京田陽太は余裕で三塁へ。注意深く打球の行方を追っていた京田は、岡本が送球態勢を取らないのを見て、すぐさまタッチアップしていた。記録には残らないが、これはボーンヘッドと言われても仕方がない。
こんなときは得てして流れが悪くなるもの。二死三塁から山崎は、投手の東克樹に右前タイムリーを許し、3点目を失ってしまった。
試合は5-4で勝ったものの、岡本は4打数無安打1三振に終わり、5月21日の中日戦から記録していた連続試合本塁打も「3」でストップ。不慣れなポジションでの“うっかり”は、打撃にも悪影響を及ぼすようだ。
それでもシーズンが終わってみれば、打率.278、41本塁打、93打点で2年ぶりに本塁打王のタイトルを奪回。多少の珍プレーは大目に見るべきかもしれない?
文=久保田龍雄(くぼた・たつお)