期待の即戦力ルーキー2人が始動
中日の守備の核となる二遊間レギュラーの候補生が動きだした。
チームは1月9日、新人合同自主トレを始めた。立浪和義監督が視察する中、ドラフト2位の津田啓史(三菱重工East)と3位の辻本倫太郎(仙台大)の両内野手がノックで軽快な動きをみせた。
指揮官は遊撃定位置でノックを受ける姿を確認して、足さばき、グラブ裁き、捕球姿勢の三要素ともに納得顔を浮かべた。
「まだ少し見ただけなので何とも言えませんが、この時期に動けるだけで十分。即戦力として獲とっていますし、期待はしています。いいものは持っていると映っています。内野手であれば足さばき、グラブさばき、捕球姿勢を見ています。キャッチボールひとつとっても、何となしに雰囲気は分かりますよね」
ドラフト会議前に、球団との戦力分析に時間を割いた立浪監督は、上位指名間違いなしを確認した。センターラインを担う二遊間を固定したい。
中堅の筆頭は岡林で、秋のキャンプでは右翼にも回った。適正を判断している最中で、右翼の場合はドラ1入団して3年目に突入したブライト健太、2年目の濱将乃介、ソフトバンクから加入した上林誠知の名前が挙がる。
捕手は木下拓哉が最右翼。ここに勝負強い打撃が持ち味の宇佐見真吾、昨秋に日本代表を経験した石橋康太が追う展開となる。二遊間はというと……。
レギュラー不在の二遊間で頭角を現すのは…
頭角を現すのは誰か。二遊間の候補者は4年目の龍空、2年目の福永裕基と村松開人、右肩脱臼の癒えた田中幹也がいる。外国人ではカリステも控える。
昨季、龍空は打率.187で、福永は.241、村松は.207。走攻守、三拍子そろったプレーヤーの台頭が待ち望まれ、シーズン終盤は助っ人カリステの力を借りながら戦う布陣を強いられた。
指揮官は昨秋のドラフト会議をこう振り返る。
「また内野手を指名して、という声も聞かれましたが」
これがチームにとって紛れもない現実。
今後、何年も二遊間のレギュラーを張る人材がいないとみたから。津田、辻本ともにスタメン出場できる力を見せられたのらば、立浪監督は起用するのは間違いない。
明るい未来を想像する、現段階では苦しい台所事情。その状況はルーキーにとっては大チャンス。
首脳陣の前でのプレーに津田は「(首脳陣の)視線は感じました。いい緊張感の中で、自分としてはリラックスしてできたのかな、と思います」とコメント。
辻本は「土のグラウンドは4年間プレーしていないので、人工芝慣れしていました。捕球する位置を確認しました。いいように見せようとするとだめなタイプなので、気持ちを抑えながら、というのは意識しました」と話した。
2024年は辰(たつ)年。球団は同じ干支の1988年、リーグ制覇した。
そのシーズンに彗星のごとく現れたのが立浪和義。高卒ルーキーで開幕遊撃を守った。時代が流れ、指揮官となったミスタードラゴンズ。
強い球団の再興をうながす春季キャンプはもうすぐそこ。センターラインを固め、戦う集団として団結して、リーグ台風の目になる準備を進めていく。
文=川本光憲(中日スポーツ・ドラゴンズ担当)