東京では常に上位進出を果たしているものの、選抜は8年ぶりの出場となった関東一。昨年秋の東京都大会では、東海大菅生や早稲田実、創価といったライバル校を破って優勝を果たし、明治神宮大会では3連覇を狙った大阪桐蔭に競り勝ち、ベスト4に進出した。関東一の投手陣を牽引する“右のエース”が、坂井遼である。
▼ 坂井遼(関東一)
・投手
・178センチ/78キロ
・右投右打
<2023年秋季大会成績>
11試(50回) 防御率2.88
奪三振47 被安打44 失点18(自責点16) 与四死14
奪三振率8.46 被安打率7.92 四死球率2.52
<主な球種と球速帯>
ストレート:136~145キロ
カーブ:105~108キロ
スライダー:124~127キロ
チェンジアップ:118~123キロ
<クイックモーションでの投球タイム>
1.20秒
坂井は千葉県の出身で、中学時代は「江戸川南ボーイズ」でプレー。当時は外野手であり、決して評判の選手ではなかったという。高校進学後、投手に転向したが、同じ学年で左のエースである畠中鉄心らと比べれば、実力不足は明らかだった。スピードはありながら、制球に苦しむ日々が続く。ようやく、2年になってから才能が開花し始めた。フォームを改良して、不安定だったコントロールが改善されたのだ。昨年夏の東東京大会では背番号10を背負い、3試合に登板。秋の新チームからは、完全に右のエースへと成長を遂げた。
選抜出場に向けての大一番となったのが、10月29日に行われた東京都大会の準々決勝、対東海大菅生戦だ。坂井は1点を追う7回から登板。立ち上がりに2本のツーベースを浴びて2点は失ったものの、8回からの2イニングは無失点に抑え、チームの逆転勝ちに貢献した。ストレートの最速は141キロ(筆者のスピードガンによる計測)をマーク。投じた65球中42球がストライクと、制球力も安定していた。
そして、坂井は、さらなる成長を見せる。昨年11月に開かれた明治神宮大会。初戦の熊本国府戦では、5回からリリーフし、5イニングを2失点、6奪三振と好投。ストレートの最速は144キロをマークしている。続く大阪桐蔭戦はリリーフで登板し、3回1/3を投げて5失点だったものの、強力打線を相手に真っ向勝負を挑み、3個の三振を奪っている。
フォームは、コンパクトなテイクバックが特徴的だ。高校入学後、このスタイルにしたというが、打者からはボールの出所が見づらい。また、腕の振りも体から近く縦に触れるため、上背以上にボールの角度が感じられる。
変化球は、スライダーが素晴らしい。スピードは125キロ前後と、そこまで速さがあるわけではないが、ストレートと変わらない軌道から横に鋭く変化して、空振りを奪うことができる。これに加えて、対になる変化のチェンジアップも操れる。緩急をつけるカーブでもう少し腕が振れるようになれば、ストレートとスライダーがもっと生きてくるだろう。
明治神宮大会では3試合全てがリリーフだったように、絶対的なエースというわけではないが、前述したように高校入学後の成長は著しい。今後の成長次第では、ドラフト戦線を賑わす存在になる可能性は高いだろう。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
▼ 坂井遼(関東一)
・投手
<2023年秋季大会成績>
11試(50回) 防御率2.88
奪三振47 被安打44 失点18(自責点16) 与四死14
奪三振率8.46 被安打率7.92 四死球率2.52
<主な球種と球速帯>
ストレート:136~145キロ
カーブ:105~108キロ
スライダー:124~127キロ
チェンジアップ:118~123キロ
<クイックモーションでの投球タイム>
1.20秒
制球力が向上し、右のエースに成長
坂井は千葉県の出身で、中学時代は「江戸川南ボーイズ」でプレー。当時は外野手であり、決して評判の選手ではなかったという。高校進学後、投手に転向したが、同じ学年で左のエースである畠中鉄心らと比べれば、実力不足は明らかだった。スピードはありながら、制球に苦しむ日々が続く。ようやく、2年になってから才能が開花し始めた。フォームを改良して、不安定だったコントロールが改善されたのだ。昨年夏の東東京大会では背番号10を背負い、3試合に登板。秋の新チームからは、完全に右のエースへと成長を遂げた。
選抜出場に向けての大一番となったのが、10月29日に行われた東京都大会の準々決勝、対東海大菅生戦だ。坂井は1点を追う7回から登板。立ち上がりに2本のツーベースを浴びて2点は失ったものの、8回からの2イニングは無失点に抑え、チームの逆転勝ちに貢献した。ストレートの最速は141キロ(筆者のスピードガンによる計測)をマーク。投じた65球中42球がストライクと、制球力も安定していた。
キレのあるスライダーが武器
そして、坂井は、さらなる成長を見せる。昨年11月に開かれた明治神宮大会。初戦の熊本国府戦では、5回からリリーフし、5イニングを2失点、6奪三振と好投。ストレートの最速は144キロをマークしている。続く大阪桐蔭戦はリリーフで登板し、3回1/3を投げて5失点だったものの、強力打線を相手に真っ向勝負を挑み、3個の三振を奪っている。
フォームは、コンパクトなテイクバックが特徴的だ。高校入学後、このスタイルにしたというが、打者からはボールの出所が見づらい。また、腕の振りも体から近く縦に触れるため、上背以上にボールの角度が感じられる。
変化球は、スライダーが素晴らしい。スピードは125キロ前後と、そこまで速さがあるわけではないが、ストレートと変わらない軌道から横に鋭く変化して、空振りを奪うことができる。これに加えて、対になる変化のチェンジアップも操れる。緩急をつけるカーブでもう少し腕が振れるようになれば、ストレートとスライダーがもっと生きてくるだろう。
明治神宮大会では3試合全てがリリーフだったように、絶対的なエースというわけではないが、前述したように高校入学後の成長は著しい。今後の成長次第では、ドラフト戦線を賑わす存在になる可能性は高いだろう。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所