プロ19年目…開幕へ「いい準備のままいける」
プロ19年目となるヤクルトの川端慎吾は、今年もチームにとって欠かせない存在だ。オープン戦は5試合に出場して打率.333、3打点の成績を残し、3月29日の開幕に向けて順調に仕上げてきた。
春季キャンプは例年通り二軍の宮崎・西都で調整してきた36歳は、「今年に関しては腰が痛いということはほとんど言っていない。(腰を)手術して、年を追うごとに馴染んできているというか、慣れてきている部分があると思います」と、コンディションの良さを口にしていた。
2月の西都キャンプでは「東京に帰ってから、何試合か打席に立たせてもらって、早く試合感覚を取り戻せるようにやっていくだけです」と話していたが、3月の実戦に入ると、ファームでは2試合で打率.375、2打点と格の違いを見せつけた。
一軍に合流後、20日の日本ハムとのオープン戦では早いカウントから積極的にバットを出していく姿勢で、2安打2打点の活躍を見せた。
髙津臣吾監督も「初球からスイングを仕掛けていくのはなかなかできない。さすがの一言。それを芯で捉えるわけですから。素晴らしいと思います」と、手放しで褒め称えた。
川端は開幕が近づく中で「これから徐々に気持ちも高ぶってくるんじゃないかと思います」と心境を語ると、「(腰の状態も)今のところ順調にここまできている。開幕もいい準備のままいけるかなと思っています」と、頼もしい言葉を残した。
川端が万全な状態でいてくれること。それは、チームの勝利に大きく影響してくる。その優れた打撃技術を生かして無類の勝負強さを誇ってきた。印象的だったのは、2021年のオリックスとの日本シリーズ第6戦。延長12回に代打で登場し、チームを日本一に導く決勝打を放った。
川端は「仕事としては代打になると思うので、やっぱりここ一番のいいところで結果を残せるように頑張りたい。勝利打点というのをひとつでも多く稼げるように」と、決意をにじませる。
「143試合の中で打てば勝ったのになぁという試合がいくつもあった。そういうのをひとつでも勝ちを拾えるようにできたら、チームの順位も変わってくると思うので、ひとつでも勝ちに貢献できるように頑張りたい」
ヤクルトは昨季リーグ5位からの巻き返しを図る。チームの命運を握る「代打の神様」はその言葉通り、2年ぶりのリーグ優勝、その先の日本一奪回に向けて、勝負所で果敢にバットを振る。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)