4月4日から3日間、U18侍ジャパン候補の強化合宿が行われた。この合宿は2019年にスタートしたもの。2020年から2022年までは新型コロナウイルス感染拡大の影響で実施が見送られていたが、昨年から再開された。全国から精鋭が揃い、ドラフト候補が多いため、プロ野球のスカウト陣が多く視察に訪れている。そんな中で特に目立った投手をレポートしたい。学年はすべて3年生。
合宿2日目に行われた紅白戦。投手は1イニングの表裏を連続で投げる「変則形式」で行われた。選抜で決勝に進出した間木歩と今朝丸裕喜(いずれも報徳学園)は疲労を考慮して登板がなかった。また、西尾海純(長崎日大)は春の県大会の日程が変更となり、合宿への参加を見送った。
見事な投球を見せたのが、選抜でも好投した吉岡暖(阿南光)と高尾響(広陵)だ。
吉岡は、打者6人をパーフェクトに抑え、4奪三振を記録。ストレートの最速は139キロと抑えめだったが、カーブ、スライダー、カットボール、フォークのコンビネーションで打者を寄せ付けなかった。
今年からのルール変更で解禁された二段モーションで、上手く軸足に体重を乗せてからステップすることができている。高い位置から縦に腕が振れるためボールの角度も素晴らしい。選抜では最速145キロ(スカウト陣のスピードガンによる計測)を出した吉岡。もう少し出力が上がってくれば、一気に評価が上がる可能性が高そうだ。
一方の高尾は、打者6人をパーフェクト、2奪三振の快投を見せた。ストレートの最速は全投手の中でトップタイとなる147キロをマーク。短いイニングでの登板ということもあってか、選抜と比べて、明らかにボールの勢いがあり、球威で打者を圧倒していた。
バッテリーを組んだキャッチャーの箱山遥人(健大高崎)は、高尾について「真っすぐの伸びが今まで見たことがないもので、構えたところに糸を引くようなボールが来たので、イニング間の投球練習の1球目で驚きました」と語っている。
ボールの力で大きくアピールしたのが、大阪桐蔭のエース、平嶋桂知だ。長いリーチを生かした豪快な腕の振りから繰り出すストレートは威力十分で、最速はトップタイとなる147キロをマークした。
打者の手元で鋭く変化するカットボールとスプリットも、高校生でトップクラスのボールだ。選抜では、敗れた報徳学園戦の立ち上がりに制球を乱して失点したことが命取りとなった。まだ、コントロールに不安が残るものの、スケールの大きさは申し分ない。夏の大会に向けて、いかに安定感をアップできるかが重要になりそうだ。
一方、左投手で最も強いインパクトを残したのが、高橋幸佑(北照)だ。一般入試で神奈川から北照に進学した高橋は、入学当初、体が細く、ストレートの最速は120キロ程度だったという。しかし、チームを指導する上林弘樹監督も驚くほどの成長を遂げ、今回の合宿に召集された。
紅白戦では少しボールが先行する場面もあったが、最速146キロをマークしたストレートを武器に2回を無失点、3奪三振と好投した。
特に、右打者の内角に投げ込むクロスファイヤは、ボールの勢い、角度ともに素晴らしい。U18侍ジャパンの小倉全由監督は、紅白戦後の取材で、そのボールについて触れたほどだった。さらに、制球力が向上すれば、楽しみな存在となりそうだ。
左投手でもう1人、金渕光希(八戸工大一)がスカウト陣の高い注目を集めていた。旧チームからエースとして活躍しており、昨年夏の青森大会では決勝で八戸学院光星に延長タイブレークの末に敗れたものの、10回を一人で投げ抜き3失点(自責点2)と好投を見せた。
今回の合宿では、2イニング目に連打を浴びて4失点(自責点3)を喫したものの、最速142キロをマークしたストレートはまだまだ速くなりそうな雰囲気があった。また、カーブ、スライダー、チェンジアップの変化球は非常に質が高いものだった。
同じ青森県内には洗平比呂(八戸学院光星)、関浩一郎(青森山田)ら好投手が多く、彼らとの投げ合いにはスカウトが集結することになりそうだ。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
合宿2日目に行われた紅白戦。投手は1イニングの表裏を連続で投げる「変則形式」で行われた。選抜で決勝に進出した間木歩と今朝丸裕喜(いずれも報徳学園)は疲労を考慮して登板がなかった。また、西尾海純(長崎日大)は春の県大会の日程が変更となり、合宿への参加を見送った。
吉岡暖と高尾響がパーフェクト
吉岡は、打者6人をパーフェクトに抑え、4奪三振を記録。ストレートの最速は139キロと抑えめだったが、カーブ、スライダー、カットボール、フォークのコンビネーションで打者を寄せ付けなかった。
今年からのルール変更で解禁された二段モーションで、上手く軸足に体重を乗せてからステップすることができている。高い位置から縦に腕が振れるためボールの角度も素晴らしい。選抜では最速145キロ(スカウト陣のスピードガンによる計測)を出した吉岡。もう少し出力が上がってくれば、一気に評価が上がる可能性が高そうだ。
一方の高尾は、打者6人をパーフェクト、2奪三振の快投を見せた。ストレートの最速は全投手の中でトップタイとなる147キロをマーク。短いイニングでの登板ということもあってか、選抜と比べて、明らかにボールの勢いがあり、球威で打者を圧倒していた。
バッテリーを組んだキャッチャーの箱山遥人(健大高崎)は、高尾について「真っすぐの伸びが今まで見たことがないもので、構えたところに糸を引くようなボールが来たので、イニング間の投球練習の1球目で驚きました」と語っている。
ボールの力で大きくアピールしたのが、大阪桐蔭のエース、平嶋桂知だ。長いリーチを生かした豪快な腕の振りから繰り出すストレートは威力十分で、最速はトップタイとなる147キロをマークした。
打者の手元で鋭く変化するカットボールとスプリットも、高校生でトップクラスのボールだ。選抜では、敗れた報徳学園戦の立ち上がりに制球を乱して失点したことが命取りとなった。まだ、コントロールに不安が残るものの、スケールの大きさは申し分ない。夏の大会に向けて、いかに安定感をアップできるかが重要になりそうだ。
サウスポーで好投した投手は…!?
一方、左投手で最も強いインパクトを残したのが、高橋幸佑(北照)だ。一般入試で神奈川から北照に進学した高橋は、入学当初、体が細く、ストレートの最速は120キロ程度だったという。しかし、チームを指導する上林弘樹監督も驚くほどの成長を遂げ、今回の合宿に召集された。
紅白戦では少しボールが先行する場面もあったが、最速146キロをマークしたストレートを武器に2回を無失点、3奪三振と好投した。
特に、右打者の内角に投げ込むクロスファイヤは、ボールの勢い、角度ともに素晴らしい。U18侍ジャパンの小倉全由監督は、紅白戦後の取材で、そのボールについて触れたほどだった。さらに、制球力が向上すれば、楽しみな存在となりそうだ。
左投手でもう1人、金渕光希(八戸工大一)がスカウト陣の高い注目を集めていた。旧チームからエースとして活躍しており、昨年夏の青森大会では決勝で八戸学院光星に延長タイブレークの末に敗れたものの、10回を一人で投げ抜き3失点(自責点2)と好投を見せた。
今回の合宿では、2イニング目に連打を浴びて4失点(自責点3)を喫したものの、最速142キロをマークしたストレートはまだまだ速くなりそうな雰囲気があった。また、カーブ、スライダー、チェンジアップの変化球は非常に質が高いものだった。
同じ青森県内には洗平比呂(八戸学院光星)、関浩一郎(青森山田)ら好投手が多く、彼らとの投げ合いにはスカウトが集結することになりそうだ。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所