大学野球のリーグ戦も中盤を迎え、全国各地で熱戦が続いている。ドラフト指名を目指す4年生にとってはこの春のプレーぶりで、スカウト陣の評価がある程度固まることになる。今回は、“投手の目玉”としてドラフト1位が有力視されている関西大の金丸夢斗を取り上げてみたい
▼ 金丸夢斗(関西大)
・投手
・177センチ/77キロ
・左投左打
・神港橘
<2024年春季リーグ戦成績>(4月22日終了時点)
3試(20回)1勝1敗 防御率0.00
奪三振24 被安打7 失点0(自責点0)与四死1(0四球・1死球)
奪三振率10.80 被安打率3.15 四死球率0.45 WHIP0.35
<主な球種と球速帯>
ストレート:145~154キロ
カーブ:110~115キロ
スライダー:125~128キロ
カットボール:130~133キロ
チェンジアップ:118~120キロ
スプリット:130~135キロ
<クイックモーションでの投球タイム>
1.28秒
高校時代はコロナ禍で3年時に公式戦がなかった影響もあり、全国的に無名の存在だった金丸。関西大に入学すると、1年秋から先発の一角に定着。2年春には防御率1位をマークするなど、早くも関西学生野球を代表する投手に成長し、昨秋のリーグ戦までに通算19勝2敗と驚異的な成績を残している。今年3月に行われた侍ジャパンの強化試合の第2戦で先発を務め、2回を投げてパーフェクト、4奪三振という圧巻の投球を見せた。
今春のリーグ戦では、開幕戦で京都大を相手に0対1で敗れてリーグ戦の連勝は18でストップしたが、失点は味方のエラーによるもので、自責点0で完投している。そんな金丸の状態を確かめるべく、4月20日にほっともっとフィールド神戸で行われた立命館大との試合に足を運んだ。
開幕週で京都大に連敗した関西大にとって、優勝へ負けられない一戦だったこともあってか、立ち上がりは少し慎重な投球に見え、2回まで奪三振はなかった。だが、3回以降は徐々にギアを上げて三振を量産。終わってみれば、被安打3、10奪三振で無四球完封勝利を飾っている。
何度見ても素晴らしいのが、ストレートのコントロールだ。いわゆる“逆球”は皆無と言え、左右を投げ間違えることがない。特に、見応えがあったのが、春のオープン戦で5本塁打を放っている立命館大の4番、竹内翔汰(4年・創志学園)の対戦だ。
最初の2打席は内角いっぱいのストレートで力のないフライに打ちとり、最後の第3打席は外角低めのストレートでセカンドゴロに打ち取った。
プロでも左打者の内角に速いボールを狙って投げられる左投手は非常に少ない。侍ジャパンの井端弘和監督は、初めて金丸の投球を見た時に、試合開始の初球に左打者の胸元に149キロのストレートを投げ込んでいたことに驚かされたと話していた。
雨で1日空いた翌々日の立命館大戦でも、リリーフで3回をパーフェクト、3奪三振の好投でチームを勝利に導いている。4月22日終了時点で、20回を投げていまだに自責点、与四球ともに0となっている。
関西学生野球出身で、プロで活躍しているサウスポーと言えば、東克樹(DeNA・立命館大出身)が挙げられる。大学時代の東と比較して、スピード、コントロール、変化球、投球術など全ての面で、金丸が上回っている印象を受ける。
強いて足りない部分と言えば、全国大会や国際大会での実績だけではないだろうか。昨年春はリーグ戦終盤に膝を痛めて、大学日本代表に選出されなかった。今年は怪我さえなければ、選出は確実視されている。国際大会でアピールする場もありそうだ。
総合力をみると、昨年注目を集めた東都大学野球からドラフト1位でプロ入りした7人投手を上回っていると評価するスカウト陣も多い。今後の公式戦や国際大会で、それを証明するピッチングを見せてくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
▼ 金丸夢斗(関西大)
・投手
・神港橘
<2024年春季リーグ戦成績>(4月22日終了時点)
3試(20回)1勝1敗 防御率0.00
奪三振24 被安打7 失点0(自責点0)与四死1(0四球・1死球)
奪三振率10.80 被安打率3.15 四死球率0.45 WHIP0.35
<主な球種と球速帯>
ストレート:145~154キロ
カーブ:110~115キロ
スライダー:125~128キロ
カットボール:130~133キロ
チェンジアップ:118~120キロ
スプリット:130~135キロ
<クイックモーションでの投球タイム>
1.28秒
高校時代はコロナ禍で3年時に公式戦がなかった影響もあり、全国的に無名の存在だった金丸。関西大に入学すると、1年秋から先発の一角に定着。2年春には防御率1位をマークするなど、早くも関西学生野球を代表する投手に成長し、昨秋のリーグ戦までに通算19勝2敗と驚異的な成績を残している。今年3月に行われた侍ジャパンの強化試合の第2戦で先発を務め、2回を投げてパーフェクト、4奪三振という圧巻の投球を見せた。
連勝記録は18でストップしたが…
今春のリーグ戦では、開幕戦で京都大を相手に0対1で敗れてリーグ戦の連勝は18でストップしたが、失点は味方のエラーによるもので、自責点0で完投している。そんな金丸の状態を確かめるべく、4月20日にほっともっとフィールド神戸で行われた立命館大との試合に足を運んだ。
開幕週で京都大に連敗した関西大にとって、優勝へ負けられない一戦だったこともあってか、立ち上がりは少し慎重な投球に見え、2回まで奪三振はなかった。だが、3回以降は徐々にギアを上げて三振を量産。終わってみれば、被安打3、10奪三振で無四球完封勝利を飾っている。
何度見ても素晴らしいのが、ストレートのコントロールだ。いわゆる“逆球”は皆無と言え、左右を投げ間違えることがない。特に、見応えがあったのが、春のオープン戦で5本塁打を放っている立命館大の4番、竹内翔汰(4年・創志学園)の対戦だ。
最初の2打席は内角いっぱいのストレートで力のないフライに打ちとり、最後の第3打席は外角低めのストレートでセカンドゴロに打ち取った。
プロでも左打者の内角に速いボールを狙って投げられる左投手は非常に少ない。侍ジャパンの井端弘和監督は、初めて金丸の投球を見た時に、試合開始の初球に左打者の胸元に149キロのストレートを投げ込んでいたことに驚かされたと話していた。
雨で1日空いた翌々日の立命館大戦でも、リリーフで3回をパーフェクト、3奪三振の好投でチームを勝利に導いている。4月22日終了時点で、20回を投げていまだに自責点、与四球ともに0となっている。
関西学生野球出身で、プロで活躍しているサウスポーと言えば、東克樹(DeNA・立命館大出身)が挙げられる。大学時代の東と比較して、スピード、コントロール、変化球、投球術など全ての面で、金丸が上回っている印象を受ける。
強いて足りない部分と言えば、全国大会や国際大会での実績だけではないだろうか。昨年春はリーグ戦終盤に膝を痛めて、大学日本代表に選出されなかった。今年は怪我さえなければ、選出は確実視されている。国際大会でアピールする場もありそうだ。
総合力をみると、昨年注目を集めた東都大学野球からドラフト1位でプロ入りした7人投手を上回っていると評価するスカウト陣も多い。今後の公式戦や国際大会で、それを証明するピッチングを見せてくれることを期待したい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所