コラム 2024.05.28. 07:15

白鴎大足利のエース、昆野太晴が最速150キロに到達! 関東の高校球界で屈指の急成長 ドラフト戦線に浮上へ

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白鴎大足利・昆野太晴選手【写真提供・プロアマ野球研究所】 
 高校野球の春季大会が佳境を迎えており、この冬の成長を感じさせるプレーを見せている選手は少なくない。関東の高校球界では、192センチの大型右腕、清水大暉(前橋商)や「江川二世」と呼ばれる小川哲平(作新学院)らが注目を集めている一方で、白鴎大足利のエース、昆野太晴が、彼らを上回る成長を見せている。

▼ 昆野太晴(白鴎大足利) 
・投手 
・180センチ/80キロ 
・右投右打

<主な球種と球速帯>
ストレート:142~150キロ
カーブ:113~116キロ
スライダー:125~128キロ
チェンジアップ:110~120キロ
カットボール:135~138キロ

<クイックモーションでの投球タイム>
1.14秒

 昆野は宮城県の出身。中学時代は七ヶ浜リトルシニア(現・仙台伊達リトルシニア)でプレーし、全国大会にも出場している。昨年夏の栃木大会では外野手としてプレーしており、敗れた作新学院との試合でも2安打を放つ活躍を見せた。

 昨秋に結成された新チームからはエースとなり、チームを関東大会出場に導いている。初めてプレーを見たのは、昨秋の県大会準決勝の文星芸大付戦で、筆者のスピードガンによる計測で最速146キロをマーク。完封勝利をおさめている。ただ、投球フォームは粗さが残り、4番を打つバッティングの方が好印象だった。その後の関東大会では、初戦で中央学院に打ち込まれて、選抜出場を逃している。

 今春からは投手に専念しているとのことで、その成長ぶりを楽しみにしていた。筆者がプレーを見ることができた試合は、4月29日に行われた春の県大会準々決勝の対佐野日大戦だった。

 8番、ピッチャーで出場すると、立ち上がりから140キロ台後半のストレートを連発し、2回には大台に到達する150キロをマーク。6回以降は疲れもあってか少し制球を乱してピンチを招く場面が増えたが、要所を締めて8回を被安打2、11奪三振で無失点の好投で、チームを勝利に導いた。

 昨秋と比べて大きく成長したのが下半身の使い方だ。軸足一本できれいに立ち、しっかりタメを作ってからスムーズに体重移動することができている。踏み出した左足の着地が安定しており、下半身と上半身の連動性も良くなっているように見えた。


11個の奪三振が全て空振り!


 一方、課題は上半身の使い方だ。特に、力むと早く腕を振ろうとして体の右側が早く出てきて、腕の振りが体から遠くなり、リリースでボールを抑え込むことができずに抜けるケースも目立った。

 グラブを持つ左手の抱え込みが甘い点も気になるところだ。もう少し体の正面が長く三塁方向を向いたまま体重移動できるようになれば、馬力がより生きてくるだろう。

 それでも、腕の振りは力強く、縦にしっかり振れるためボールの勢いは申し分ない。変化球もスライダー、カットボールは打者の手元で鋭く横に変化し、勝負球として使えるボールだった。

 この日奪った11個の三振が全て空振りだったというところにもボールの質の良さが表れている。また、走者を背負っても球威が落ちることなく、ピンチでギアを上げることができる。

 冒頭で触れた小川哲平に加えて、昨年夏の甲子園に出場した文星芸大付の堀江正太郎らも注目を集めているが、ストレートの勢いは、昆野の方が上という印象だ。夏に向けて、さらに安定感が増してくれば、高校からのプロ入りの可能性が高くなる。

文=西尾典文(にしお・のりふみ)
☆記事提供:プロアマ野球研究所
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