今春の出遅れを取り戻す快投を披露
今春、絶望を味わった助っ人右腕が「無双」の言葉を地でいくような快投を続けている。
タイガースの来日2年目右腕、ジェレミー・ビーズリーは甲子園球場で行われた25日のジャイアンツ戦で今季2勝目を挙げた。
「(初登板だった)前回よりは緊張してなかったので、そういう意味では初回から落ち着いて自分の投球に集中できたし、ボールもちょっと悪かったけど、悪い中でピッチングできたのは良かった」
序盤からテンポ良くアウトを積み重ね、今季最長6回を投げて3安打7奪三振無失点。2軍の実戦と合わせて計40イニング連続無失点とまさに「無双」のパフォーマンスを披露している。
「自分の持っているどの球種よりも大きい変化」
生命線に挙げるのは、昨季から磨きをかけてきたメジャーでは「スイーパー」と呼ばれている曲がりの大きなスライダーだ。鋭く曲がるカットボールも持ち球で、打者は途中までスイーパーとの判別がつかず、なかなか捉えることができない。
この日もカットボールでカウントを稼ぎ、スイーパーで仕留める“必殺”パターンでジャイアンツ打線に最後まで得点を与えなかった。
データの少ない交流戦で無双する可能性も
昇格を果たしたのは約2週間前。今春キャンプは1軍スタートも右肩の故障で第4クールから2軍に合流した。
1軍を離れる際はチームメートが声をかけるのを控えたほど落胆。地道にリハビリを続け、ファームで29イニング連続無失点と文句なしの結果を残し、岡田彰布監督も5月に入った時点で「ビーズリーもええからな。ほとんど(1軍ローテで)いけるような状態」と早くから期待を寄せていた。
昨年8月1日に妻・ブルックさんとの間に長男・ウエスリー君が誕生。愛息は昨秋の日本シリーズも観戦したそうだが、今季初登板初勝利を挙げた18日のスワローズ戦後にビーズリーは「最初に見に来たゲームが日本シリーズとかだったのでたぶん(息子の)記憶にない。そういう意味でこうやって初めて息子がいる前でしっかり投げたのは、父親として嬉しい」とパパとしての“初登板”での好投に胸を張っていた。
昇格後2戦2勝でローテーションの座も実力で奪取。ここからチームは交流戦に突入し、昨季もほとんど対戦せずデータの少ないビーズリーがパ・リーグの打者をなぎ倒していく可能性は十分にある。
「(40イニング無失点の)理由は分からないけど、いつも同じルーティン、いつも通りを心がけて同じことをやってうまくいっているからこういう結果につながったのかなと思うね」
ビーズリーがマウンドに上がれば勝つ――。猛虎の新ルーティンとなるか。
文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)