打撃低迷の西武の救世主に
18日の阪神-日本ハムをもって今年度の交流戦が終了。21日からリーグ戦が再開する。
13勝5敗の成績で初優勝を飾ったのは楽天だった。球団創設から20年の節目で見事な戦いぶりを見せ、8個あった借金を3週間で完済。21日の日本ハム戦からは、文字通りゼロからの再出発となる。
そんな楽天とは対照的に交流戦で最下位に沈んだのが西武だった。
交流戦直前に松井稼頭央前監督が休養に入り、渡辺久信GMが監督代行の職に就いた。ショック療法ともいえる方法で巻き返しを図った西武だったが、交流戦で4勝14敗と低迷。巻き返すどころかチーム状況は悪化の一途を辿ったといえるだろう。
特に深刻なのが交流戦18試合で25得点に終わった打線だ。現在のチーム打率は.202で、スタメンに打率.200前後の打者がズラリと並ぶ光景は、相手チームのファンも同情するほど。チーム打率1割台への陥落も現実味を帯びている。
ただ交流戦が終わったことで、あの打者の打棒が復活するかもしれない。不惑40歳の中村剛也である。
現役最多の通算478本塁打を誇る長距離砲は、今季開幕を5番で迎えたが、新外国人アギラーの不振などもあって、4月下旬から3~4番を務める機会が増えていった。
しかし、交流戦に入ってからはセ・リーグの本拠地でスタメンを外れることも増えリズムを崩したか、今月に入ってからは打率.125、0本塁打と低迷している。
それでも今季ここまで放った本塁打数はチーム最多の7本。柵越えは即得点を意味するだけに、「投高打低」が顕著なシーズンにおいて、中村は相手投手にとって怖い存在といえるだろう。
また、過去6度本塁打王に輝いた中村が、3度目のタイトルを獲得した2011年も思い出される。
その年はプロ野球で“極端に飛ばない”統一球が導入された1年目だった。両リーグで本塁打数は前年から激減したが、そんな中、一人気を吐いたのが中村だった。
同年に中村は48本塁打を放ち、2年ぶりの本塁打王に輝いたが、リーグ2位松田宣浩(当時ソフトバンク)の25本塁打にほぼダブルスコアの大差をつける戴冠だった。
そんな2011年に並ぶ「投高打低」のシーズンとなっている今季のプロ野球。40歳になったとはいえ、そのパワーはまだまだ健在だ。4日間の休養でしっかりリフレッシュを図り、リーグ戦再開とともに量産態勢に突入となるか。中村のバットがチーム浮沈のカギを握る。
文=八木遊(やぎ・ゆう)