コラム 2024.06.25. 06:30

楽天の“21失点”はまだまし…!? 本当にあった驚くべき「大量失点」を振り返る!

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ダイエーのパ・リーグ新記録となる29得点を示すスコアボード (C)Kyodo News
 楽天が5月21日のソフトバンク戦で21失点を記録した。球団にとっては、創設1年目の2005年の開幕2戦目、3月27日のロッテ戦での26失点以来19年ぶりとなるワースト2位の大量失点だった。そして、そのロッテも6月4日の巨人戦で、2011年9月10日のソフトバンク戦以来13年ぶりとなる今季ワースト18失点の大惨敗を喫した。だが、世の中上には上がある。今季の楽天やロッテを上回る大量失点記録を振り返ってみよう。


 NPB史上最多失点は、1940年5月6日に南海が阪急戦で記録した「32」だ。

 南海の先発・劉瀬章は初回、4安打1四球で一死も取れずにKO。2番手・平野正太郎も2回はゼロに抑えたものの、3回から6回まで毎回の計11失点と傷口を広げ、2-15と一方的な展開となった。

 さらに3番手・深尾文彦も、7回からの3イニングで計17失点と炎上し、終わってみれば、2‐32の大敗。南海投手陣はなかなかストライクが入らず、たまにストライクが入ると痛打されるの繰り返し。3番手・深尾は3回で12与四死球の大乱調だったが、翌日のライオン戦に登板予定の投手を温存しなければならず、どんなに点を取られても、続投させるしかなかった。得点差「30」の記録は、今後も破られることはないだろう。

 同年の南海は、主将の鶴岡一人はじめ主力の多くが兵役で抜け、大幅戦力ダウン。戦局悪化に伴い、“敵性語”のカタカナも追放され、9月にイーグルスが大和軍、大阪タイガースが阪神、東京セネタースが翼軍に改称するなど、次第に戦時色が強まっていく。


 歴代2位は、2003年8月1日にオリックスがダイエー戦で記録した「29」だ。

 オリックスの先発・マック鈴木は初回、先頭の村松有人に初球を右越え二塁打されると、2番・川崎宗則にも送りバントの構えからバスターで右前タイムリーを打たれ、たった4球で1点を失った。

 さらに井口資仁に死球を与え、無死一、二塁とピンチを広げると、4番・松中信彦の初球に重盗を決められ、松中の中前タイムリーでさらに2失点。5番・城島健司にもカウント3-0から直球でストライクを取りにいったところを2ランされ、0-5と早くも試合が決まってしまう。そして、ペドロ・バルデス、フリオ・ズレータに連続四球を許したところで、一死も取れず降板した。

 2番手・嘉勢敏弘も柴原洋の二塁打と川崎の犠飛で2点を献上し、初回だけで計7点を失った。

 勢いづいたホークス打線は猛攻の手を緩めることなく、2回にズレータの2ラン、松中の3ランなどで8点、3回にも井口のソロ、ズレータの2ランなどで8点と3イニング連続の打者一巡を記録。3回終了時点で0-23という大惨状になった。

 序盤の3イニングだけで20点を超える大量点は、もちろんNPB史上初だ。4回からは4番手・本柳和也が8回まで2失点と踏ん張ったが、9回にズレータのこの日3発目となる右越え3ランを被弾するなど、一挙4点を失い、計29失点となった。


シーズン4度の20失点以上という“屈辱”


 9回裏、オリックスは代打・副島孔太のタイムリーでようやく1点を返し、完封負けこそ阻止したが、反撃もそこまで。パ・リーグ新の28点差、1‐29で大敗した。

 オリックスは5日前の7月27日にもダイエーに7‐26と大敗し、1946年のゴールドスター(7月15日の近鉄戦で0‐26)と中部日本(8月30日の巨人戦で2‐26)、1948年の太陽(10月16日の巨人戦で5‐26)と並ぶパ・リーグ史上最多失点を記録したばかり(その後、前出のとおり、2005年の楽天も26失点を記録し、現在はNPB歴代4位タイ)。

 1週間足らずで2度にわたる歴史的大惨敗に、レオン・リー監督は「何も言うことはないね。投手はもっとプライドを持たなければいけない。(ユウキ、大久保勝信、山口和男ら)故障者が多く、(1軍)レベルに達していない人も使わざるを得ないのも問題だ」と沈痛な面持ちだった。

 ちなみに同年のオリックスは、6月17日にも11-21、9月14日にも11-20といずれも“天敵”ダイエーに大敗しており、シーズン4度の20失点以上という不名誉な記録も作っている。


 南海、オリックスに次ぐ歴代3位は、2リーグ制開始初年度の1950年に中日が10月17日の大洋戦で記録した「28」だ。

 先発・宮下信明が初回に3失点、2番手・三富恒雄も2回に2点を失ったが、その裏、中日は杉浦清のソロなどで2点を返し、3回からすでに24勝を挙げていた入団2年目のエース・杉下茂が登板。これで落ち着いたかに見えたが、その杉下が4回に4失点KOされたことから、試合は一方的になった。

 5回以降も中日のリリーフ陣はピリッとせず、5回に7点、8回には9点を失うなど、3本塁打を放った打線の援護も焼け石に水。5‐28と大敗した。

 同年の中日は4月29日の巨人戦でも21失点を記録したものの、チーム防御率はリーグ3位の3.72と意外に安定し、優勝した松竹に9ゲーム差の2位と健闘。同年は3月16日の東急対西鉄で、両チームの合計得点がNPB史上最多の「35」(西鉄21‐14)が記録されるなど、1リーグ制8チームから2リーグ制15チームに倍増し、選手が分散された結果、大味な試合も少なくなかった。

 1試合で20点も30点も入ったら、プレーする選手はもとより、観戦するファンも疲れてしまうだろう。

文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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