直近2試合で成績悪化…ヤンキース戦で復調できるか?
ア・リーグ東地区は、オリオールズとヤンキースの熾烈な争いが続いている。現地27日(日本時間28日)にはオリオールズがレンジャーズ相手に快勝。一方のヤンキースはブルージェイズに完敗を喫したため、両者のゲーム差はゼロとなり、勝率の差でオリオールズが首位に浮上した。
4連敗を喫したヤンキースは、約1か月半ぶりとなる2位に転落。28日に行われるブルージェイズとの4連戦2戦目で何とか連敗を止めたいところだろう。
そんなヤンキースに立ちはだかるのは、メジャー6年目を迎えた左腕の菊池雄星である。
今季の登板を振り返ると、4月の初登板は5回を持たず降板。いきなり敗戦投手となったものの、2度目の登板で6回途中を無失点で切り抜け、その後は安定した投球を続けていた。
防御率も5月下旬まで2点台を維持。6月に入ってから3点台に悪化したものの、前々回の登板前の時点で3.26と、地区最下位と低迷するチームにあってエース級の働きを見せていた。
ところが直近の2試合は、4回5失点、2回4失点と早期降板が続き、防御率は4.00まで悪化している。菊池にとってヤンキース戦のマウンドは、背水の陣で迎えることになるだろう。
ヤンキースにはアーロン・ジャッジとフアン・ソトという2人の長距離砲が在籍しているが、直近の2試合で合計4得点と、打線自体はやや元気を欠いている。
菊池にとってもヤンキースは相性のいいチームの一つだ。マリナーズ時代も含めて、ヤンキース戦はこれまで14試合に登板(先発12試合、救援2試合)。5勝3敗、防御率3.05という上々の成績を残している。
5勝はレイズ、オリオールズと並び対戦チーム別で最多、防御率も通算4試合以上に登板している15チームの中では最も低い。強力打線とはいえ、菊池にとっては与しやすい相手と言えるかもしれない。
また、今後のためにも特に今回のヤンキース戦は重要となりそう。菊池が所属するブルージェイズは、ハイレベルのア・リーグ東地区においてほぼ“一人負け状態”で、オリオールズとヤンキースに13.5ゲームの差をつけられている。
最近は、ウラジーミル・ゲレロJr.やボー・ビシェットといった中心選手のトレード話も活発化。チームは解体の危機を迎えている。
菊池にとっても他人事ではなく、現地メディアの中にはトレード要因として名前が挙がることも……。移籍先の候補として、ヤンキースやレッドソックスといった具体的なチーム名も出ているほどだ。
菊池にとってヤンキースはいつ味方になってもおかしくない相手。今回は絶好のアピールの場となるかもしれない。好調なブルージェイズ打線の勢いも借りて、今季5勝目はなるか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)