現役時代に日本ハムで3シーズンプレーした新庄剛志 (C) Kyodo news

◆ 伝説のホームスチールから20年

 日本ハムが苦しんでいる。6月4日に今季最多となる9個の貯金があったが、交流戦で7勝10敗1分と負け越すと、リーグ戦再開後は3勝9敗2分と失速。Aクラス争いには留まっているものの、なかなか投打がかみ合わない。

 9日の西武戦を4-1で勝利し連敗を4で止めたが、週末には首位を走るソフトバンクとの3連戦が待っている。オールスター休みまで2週間を切り、ここから“ミドルスパート”をかけていきたいところだろう。

 今年のオールスターは日本ハムの地元・エスコンフィールドで第1戦、東京に移動して神宮球場で第2戦が行われる。

 地元・北海道だけではなく全国のファンの後押しもあって、日本ハムからは総勢9人が選出。もちろんこれは球団別の最多だ。

 日本ハムを指揮する新庄剛志監督は、ファン投票の結果に「ここまで選ばれるとは本当に思ってない」と驚きを隠さなかった一方で、「何か、爪痕を残してほしい」と、若手中心の“新庄チルドレン”にエールを送った。

 新庄監督自身も20年前の2004年、その年のオールスターでしっかりと爪痕を残していた。

 2004年といえば、プロ野球の再編騒動が勃発した年。オールスターの約1か月前には、近鉄とオリックスが合併構想の事実を認めるなど、10球団による1リーグ制への動きが加速していた。

 当時のプロ野球は交流戦がなく、メディア露出も限られていたパ・リーグ各球団は集客に苦労していた。一方のセ・リーグも全国区の人気を誇る巨人頼みという状況だった。

 そこに現れたのが前年のオフにメジャーから国内復帰を果たした「SHINJO」(当時の登録名)こと新庄剛志である。

 新天地に選んだのは、古巣・阪神ではなく、北海道への移転1年目を迎える日本ハムだった。スター性を備える“元メジャーリーガー”の加入に北海道は大盛り上がり。当然の如く、ファンはオールスター投票でパ・リーグ外野手部門1位に支持した。

 迎えた7月11日、第2戦が行われたのは長野オリンピックスタジアム。その日はSHINJOの躍動で、他のスター選手もかすんで見えるほどだった。

 第1打席で、右手人さし指を外野スタンドへ向けてホームラン予告!からのセーフティーバントを仕掛けるも、これは失敗に終わる。

 続く第2打席は二塁打で出塁後、三塁へと進み、チャンスを演出した。そこでSHINJOはこの試合で2度目となる奇襲を仕掛ける。それが一瞬のスキを突いたホームスチールだった。捕手が投手へ返球する瞬間、三塁走者のSHINJOはスタート。本塁へ頭から滑り込むと、いち早く指先がホームベースに触れ、パ・リーグに先制点をもたらした。

 フル出場を果たしたこの日のSHINJOは4打数2安打2得点の活躍。史上3人目となる両リーグでオールスターMVPを獲得し、お立ち台に上った。

 そこで生まれたのがあの名言である。

「これからはパ・リーグです」

 SHINJOはオールスター後も、北海道を、パ・リーグを、そしてプロ野球を盛り上げた。06年に現役を引退後は球界から距離を置いていたが、22年に「BIGBOSS」として復帰。今季は勝負の3年目を迎えている。

 伝説の本盗から20年。形を変えつつも、12球団による2リーグ制は存続し、交流戦や日本シリーズでは、パがセを圧倒する時代が続いている。

 人気の面でも、パ・リーグの開催試合で閑古鳥が鳴くかつてのような景色は見られなくなった。あの年、SHINJOがメジャーに留まっていたら、阪神に復帰していたら、今とは少し違ったプロ野球界があったかもしれない。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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