セ・リーグの盗塁数の少なさが際立つ
プロ野球は23日と24日のオールスターゲーム2試合を終えると、26日には後半戦が始まる。
セ・リーグは首位の巨人から4位の阪神まで3.5ゲーム差、最下位のヤクルトまで9.5ゲーム差と、10ゲーム差以内に6球団がひしめき合う大混戦となっている。
「投高打低」が顕著な今季は3割打者の少なさ(セ3人、パ1人)が頻繁に話題に上っているが、盗塁の少なさもまた際立っている。といってもパ・リーグはソフトバンクの周東佑京が32個の盗塁を決めており、2020年にマークした自己ベストの50個を上回るペースでトップを快走中。2位小深田大翔(21個)と、3位小郷裕哉(20個)の楽天勢2人も快調に盗塁を重ねている。
一方のセ・リーグはというと、2桁盗塁を決めているのが近本光司(阪神)だけという状況。過去4回盗塁王に輝いている虎の韋駄天ですら、前半戦を終えた時点で盗塁11個にとどまっている。
近本を追う2位が牧秀悟(DeNA)と矢野雅哉(広島)の2人で9個、さらに小園海斗と羽月隆太郎の広島勢が8個で続く。パ・リーグに比べると、どんぐりの背比べになっている感は否めない。
投手戦になることが多い今季のプロ野球で、セ・リーグの盗塁数の少なさは試合を盛り上げる意味でも致命的だ。「投高打低」のシーズンだからこそ、多少のリスクを負ってでも次の塁を狙う盗塁は重宝されるべきではないか。スピードの面ではパ・リーグの試合の方がファンには魅力的に映っているかもしれない。
ちなみにセ・リーグトップの近本が今のペースでいくと、シーズン17盗塁に達する計算だが、これは2リーグ制後の盗塁王としては最少となる。
セ・リーグの盗塁王で過去最も少なかったのは1993年の24個。この年は緒方耕一(巨人)と石井琢朗(横浜)が同数で戴冠した。
一方のパ・リーグも24個が最少。こちらは2021年に源田壮亮(西武)ら4選手がタイトルを分け合った。
1度の打席で1本しか記録できない本塁打とは違い、盗塁は1度の出塁で二盗、三盗と一気に数字を伸ばすことも可能。タイトルのためにただ盗塁の数を増やせばいいというものでもないが、何とか史上ワーストの24個は上回ってほしいところだ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)