コラム 2024.07.26. 06:40

9点差を追いついたのに“サヨナラ負け” 世の中は甘くなかった…驚くべき「どんでん返し劇」

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1994年9月19日オリックス-西武 (C)Kyodo News

エース・渡辺久信を中4日で投入も…


 「セーフティリードは存在しない」といわれるように、何点リードしていても、野球は最後の最後までどうなるかわからない。8-0からまさかの大逆転負けを喫したばかりでなく、優勝まで逃してしまったのが、1989年の西武だ。

10月5日のダイエー戦、2位・オリックスに0.5ゲーム差に迫られた西武・森祇晶監督は、必勝を期してエース・渡辺久信を中4日で投入した。

2回に吉竹春樹のタイムリー二塁打で1点を先制した西武は、3回にも6長短打を集中し、8-0と大きくリードした。渡辺も8回までに9安打5失点と不出来だったものの、8回を終わって10-5。勝負あったかに思われた。

ところが、9回に大きな落とし穴が待ち受けていた。渡辺が一死から4連続長短打を浴びKO。ワンポイントの小田真也も、4番・山本和範に中前タイムリーを浴び、2点差に迫られたあと、3連投の石井丈裕も岸川勝也に同点2点タイムリー二塁打を打たれてしまう。

そして、佐々木誠を敬遠し、一死一、二塁、藤本博史に対し、スライダーが真ん中に入ったところをバックスクリーン左に痛恨の決勝3ランを浴びた。

その裏、西武も2点を返し、なおも二死一、三塁のチャンスに、4番・清原和博がセカンドの正面をつくライナーに倒れ、12-13でゲームセット。この結果、西武は2位に転落し、オリックスにマジック「8」が点灯した。

森監督は「長いこと野球をやっているが、こんなバカげた試合は初めてだ。相手にマジックが出たといっても、そんなものは消すことができる」と逆転Vに自信をのぞかせた。

しかし、10月12日の近鉄とのダブルヘッダーで、ラルフ・ブライアントに2試合にまたがる4打数連続弾を食らったのが致命傷となり、優勝した近鉄に0.5ゲーム差、オリックスに勝率1厘差の3位でシーズンを終えた。結果的にダイエー戦で九分九厘手中にしていた白星を逃したことが、明暗を分けたと言って良いだろう。


ダイエー対オリックス、2年連続の“大乱戦”


 4点リードが最終回のまさかの大量失点でひっくり返ってしまったのが、1999年5月3日のダイエー対オリックスだ。

ダイエーは先発・若田部健一が7回途中まで3安打2失点に抑え、8回を終わって6-2とリードしていた。

だが、あと3人で勝利の9回にとんでもない“大どんでん返し”が起きる。

9回、オリックスは先頭の三輪隆が、ダイエーの抑え・山田勉から右前安打。一死後、松元秀一郎四球で一、二塁としたあと、谷佳知、小川博文、イチロー、ハービー・プリアムの4連打で一挙同点に。

ここで王貞治監督は篠原貴行を投入し、藤井康雄を三振に打ち取ったが、二死一、三塁から5番手・長冨浩志が田口壮に二塁頭上を抜く勝ち越しタイムリーを打たれてしまう。

さらに三輪の遊撃内野安打と五十嵐章人、松元の連続押し出し四球で一死も取れずに降板。そして、ロドニー・ペドラザも、谷に右前2点タイムリーを浴び、計9失点とボロボロになった。

 敗色濃厚の窮地から一転11-6の快勝に、仰木彬監督は「9回だけは強かったなあ。(試合途中から)代わって出た選手(三輪、松元、小川)がよくやってくれたよ」とご機嫌だった。

 一方、リリーフ陣が崩れ、思いもよらぬ大逆転負けを喫した王監督は、この日が4月30日に急死した根本陸夫球団社長のお通夜とあって、「信じられないことが起きたなあ。今日は勝たないといけない試合だった。また、皺が1本増えたよ」と勝利の報告ができなくなったことに苦悩の色を深めていた。

くしくもダイエーとオリックスは、翌2000年にも「セーフティリードは存在しない」を地でいくような大乱戦を演じている。

同年5月27日の同一カード、オリックスは先発、テリー・ブロウズが2回9失点の大乱調で、序盤にして0-9と大きくリードされた。
だが、ここから大逆襲の狼煙を上げる。3回に先発・若田部、2番手・渡辺正和から6長短打と3四球で7点を返すと、5回に田口のタイムリーで1点差に迫ったあと、7回に藤井の右越えソロが飛び出し、ついに9-9の同点になった。

こうなれば追う者の強み。前年同様、オリックスが奇跡の大逆転劇を演じると思われたが、皮肉にも最終回に自業自得とも言うべき悪夢が待っていた。

9回裏、5番手・杉本友が先頭の秋山幸二に死球を与えたのが、すべての始まりだった。次打者・小久保裕紀を併殺コースの三ゴロに打ち取ったまでは良かったが、セカンド・大島公一の一塁悪送球で、小久保の二進を許してしまう。

ここから杉本は踏ん張り、8番・坊西浩嗣を左飛、9番・井口忠仁も三振。「さあ、これで延長戦」と思われたが、直後、なんと、ボールがワンバウンドして、まさかの振り逃げをプレゼント。そして、二死一、三塁から柴原洋に痛恨の左前安打を許し、無念のサヨナラ負けを喫する羽目に……。

せっかく9点差を追いついたのに、つまらないミスを重ねて自滅したとあって、仰木監督も「9点差をひっくり返したら、罰が当たる」とやけくそ気味のコメント。

一方、敵失に救われる形で勝ちを拾った王監督も「2回まで9点を取って負けたんじゃ、どうしようもない。説明がつかん。疲れたのひとことだよ」と複雑な表情だった。

文=久保田龍雄(くぼた・たつお)

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