メジャーで最も相性の悪い投手の一人と対決
ドジャース大谷翔平の打撃が再び上昇気流に乗ってきた。
現地22日(日本時間23日)に始まったジャイアンツとの4連戦は、3戦目までに8三振を喫するなど、大谷のバットはやや湿りがちだった。ところが、25日の最終戦で今季31号を含む2本の長打をマーク。打率を前日から2厘上げて、再びナ・リーグ首位打者に浮上した。
26日からは敵地ミニッツメイド・パークでアストロズとの3連戦が控えている。ワールドシリーズで対戦する可能性のあるチーム同士だけに、大谷としてもしっかり結果を残しておきたいところだろう。
ただ、大谷にとって初戦の対戦投手は少々厄介な相手となりそうだ。
ア・リーグ西地区で首位に立つアストロズが初戦のマウンドに送り込むのは、技巧派左腕のフラムバー・バルデス。2022年にリーグ2位の17勝をマークするなど、先発に完全転向した2020年からアストロズの強力なローテーションで重要な役割を担っている。
今季は防御率こそ3.63と、過去5シーズンで最も悪いが、すでに8勝をマーク。持ち前のゴロを打たせて取る投球術は健在だ。
また、エンゼルス時代の大谷とは同地区だったこともあり、対戦する機会が多かった。
実際に打者・大谷がメジャーで最も対戦打席数が多いのが、同じ18年にメジャーデビューを果たした“同期”のバルデスである。これまで41回対戦し、34打数4安打(打率.118)、1本塁打、2打点、6四球という数字が残っている。特に昨季は9打席で8打数無安打4三振に抑え込まれるなど、大谷にとってメジャーで最も相性の悪い投手の一人といえるだろう。
さらに、投手・大谷にとってもバルデスは幾度となく立ちはだかってきた。
これまで両者は5度投げ合っているが、試合は全てバルデスのアストロズに軍配が上がっている。それぞれの成績も、バルデスの4勝0敗、防御率1.36に対して、大谷は0勝4敗、防御率6.35。大谷にとって、バルデスは“顔も見たくない相手”といえるかもしれない。
ただ、今後も長くメジャーで活躍していくためには、バルデスは超えなくてはいけない壁。近い将来に2人がワールドシリーズで対峙する可能性も決してゼロではないはずだ。
最後の対戦となった昨年の7月15日から1年。天敵を相手に大谷のバットが火を噴けば、これまでにない上昇気流に乗っていくことができるだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)