低迷が続くエンゼルスにとって希望の光
ドジャースの大谷翔平が2年連続自身3度目の40本塁打に王手をかけた。
現地18日(日本時間19日)、大谷は敵地ブッシュ・スタジアムでのカージナルス戦に1番指名打者(DH)で出場。5回に今季39号となる先制弾を放ち、チームの勝利に貢献した。
すでに盗塁の数を37個としている大谷。史上6人目となる「40-40」(40本塁打&40盗塁)の達成は時間の問題だろう。残り37試合で、「50-50」も夢ではなくなってきた。
そんな大谷の陰でブレイク中の元同僚がエンゼルスの遊撃手ザック・ネトだ。
18日現在、ネトはチーム最多の120試合に出場し、打率.261、17本塁打、61打点、22盗塁の好成績をマーク。開幕当初は9番を打っていたが、徐々に打順を上げ、今月上旬からは2番に固定されている。18個の借金を抱え、今季も低迷が続くエンゼルスにとって、希望の光と呼べる存在である。
2022年のドラフトでエンゼルスから1巡目(全体13位)指名を受けたネト。23年4月に同期の中で最速となるメジャーデビューを果たすと、夏場に2度の負傷者リスト(IL)入りはあったが、そのままエンゼルスのレギュラー遊撃手に定着した。
ただ、1年目は打率.225とメジャーの洗礼を浴びた形で終了。それでも9本塁打を放ち、守備面でも遊撃手として広い守備範囲と強肩を見せつけ、ファンに期待を抱かせた。
昨季終盤にはベンチ内で大谷から打撃アドバイスを受けるネトの姿もあり、それも今季のブレイクに一役買っているのかもしれない。
そんなネトのセールスポイントの一つが左打者に強いことだろう。昨季は左投手に対して打率.237。対右投手の.222と大きな差はなかったが、今季は.400(80打数32安打)とサウスポー相手に結果を残している。
メジャー全体で見ても、規定打席に到達している140人の打者の中で対左投手の打率は堂々の1位。打率.228の右投手への対応ができるようになれば、将来的に打率3割超えも見えてくるだろう。
エンゼルスは大谷が抜け、“メジャー最強打者”のマイク・トラウトもケガに悩まされるシーズンが続いている。2~3年後にはネトがチームの顔として君臨していてもおかしくないだろう。「暗黒時代」真っ只中のエンゼルス。その窮地を救うのはネトをおいて他にはいない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)