コラム 2024.08.22. 17:10

投打に「圧倒」京都国際か、本領発揮は「中盤以降」関東第一か【夏の甲子園 決勝見どころ】

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『第106回全国高等学校野球選手権大会』 (C)Kyodo News

決勝は23日午前10時にプレイボール


 21日に行われた夏の甲子園準決勝2試合は、ともに最終回まで手に汗握る展開となった。勝ち名乗りを上げたのは、関東第一(東東京)と京都国際(京都)。この2チームが死闘を制し、22日の決勝に駒を進めた。

 ここ数年の決勝を振り返ると、ワンサイドの試合になることが多い。過去7試合のうち履正社が星稜を5-3で下した2019年以外の6試合で6点以上の大差がついている。

 果たして今年の決勝戦も一方的な展開となるのか、それとも準決勝のような白熱した争いとなるのか。幾つかの見どころをあげながらこの夏最後の一戦を展望していきたい。

 まずどちらかが総合力で抜けているということはなさそうだ。今大会の両チームの合計得失点数を見ると、京都国際は5試合で22得点、5失点。関東第一は4試合で14得点、5失点。一見すると京都国際の打撃力が上にも見えるが、1回戦の札幌日大(南北海道)で挙げた7得点が大きい。2回戦以降は4試合で15得点なので、得点力という意味では互角といえるだろう。

 続いて両チームの得失点を試合序盤(1~3回)、中盤(4~6回)、終盤(7回以降)に分けて見ておきたい。

 京都国際の得失点数は序盤から7-2、9-1、6-2。準決勝こそ追いかける展開だったが、投打のレベルが高く、基本的には序盤から試合を支配する力がある。

 一方で、関東第一の得失点数は序盤から順番に3-3、6-1、5-1。どちらかというと、投打ともに中盤から終盤にかけて本領を発揮するタイプといえるだろう。序盤を最少失点で抑えて中盤以降にペースをつかみたい。

 両チームの投手力も拮抗している。試合数は違うが、失点数は5で同じ。失策数は京都国際が5試合で5個、関東第一が4試合で3個と、ともに守り勝つ野球が浸透している。

 ただ、投手の起用法は全く異なる。

 京都国際は中崎琉生と西村一毅の両サウスポーが1回戦から交互に先発。準々決勝まではそれぞれ完投勝ちを収めていた。準決勝の青森山田戦は、先発した中崎が4回を2失点で切り抜けると、西村が5回以降をピシャリと抑える好リリーフを見せた。

 11番を背負う西村は2年生ながら23回を投げていまだ無失点。丁寧な投球で相手打者を翻弄している。決勝は継投になる可能性が高いが、失点ゼロを継続できるか。

 左腕2人が立ちはだかる京都国際に対して、関東第一は左右2人ずつの4人が甲子園のマウンドに上がっている。いずれも堂々たる投球を見せているが、やはり大黒柱はエースの坂井遼。これまで全4試合にリリーフ登板すると最後まで投げ切り、無失点を続けている。

 両チーム投手陣の投球回数を見ると、京都国際の2人はともに20イニング超え。一方で関東第一は最も多い坂井が15回2/3なので、疲労度という点では関東第一の投手陣に一日の長があるかもしれない。

 また、1回戦から登場し、日中の気温が高い時間帯の試合が多かった京都国際に比べて、2回戦から登場した関東第一は準々決勝と準決勝が午前8時開始と日程にも恵まれた。1日の休養を挟むとはいえ、この差は決して小さくないはずだ。

 実際に2015年以降、1回戦から登場したチームと2回戦から登場したチームが決勝で対峙した3試合は全て後者が勝利を収めている。

 最後に試合のカギを握る選手を一人挙げておこう。

 ずばり、関東第一の二塁手・小島想生だ。今大会は主に6番を打っているが、打率.154とバットはやや湿りがち。地方大会では.364のハイアベレージを残した好打者だけに決勝戦での打棒復活に期待が懸かる。

 すぐ前を打つ5番の越後駿祐が打率.667と絶好調なだけに、チャンスで打順が回ってくる場面もあるはずだ。最後に勝利の女神がほほ笑むのは京都国際か、それとも関東第一か。注目の決勝は23日午前10時に甲子園球場で行われる。

文=八木遊(やぎ・ゆう)
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