目下4連敗中の鬼門で、ライバル勢との差を広げられるか
25日、阪神との3連戦最終戦に臨んだ広島は終盤に必死の反撃を見せるも実らず。7-5で敗れ、約1か月ぶりとなる同一カード負け越しを喫した。
これで3位阪神とのゲーム差は4に、2位巨人との差も1に縮まり、上位3チームは再接近。残り試合数の多い広島が優位な状況に変わりはないが、セ・リーグのペナント争いは最終盤までもつれる可能性も出てきた。
26日の移動日を挟んで、広島は中日と、巨人はヤクルトと、そして阪神はDeNAと、それぞれ敵地へ乗り込んでの3連戦が待っている。台風10号の進路次第で中止の可能性があるものの、予定通り試合が開催されれば、上位3チームにとって取りこぼし厳禁の3日間となるだろう。
今月上旬から首位の座を守り続けている広島は、5位中日との3連戦。日曜の巨人戦で零封負けを喫した相手だけに、3連勝を飾って追いすがる2チームとの差を少しでも広げておきたいところだろう。
ただ、広島にとってバンテリンドームは鬼門と呼べる場所。油断は禁物だ。
広島は今季、マツダスタジアムで32勝18敗3分と大きく勝ち越し。本拠地では絶対的な自信を持っている。
一方で、ロードゲームでは27勝28敗2分と1つ負け越している。中でも苦戦を強いられているのが他でもないバンテリンドームである。
今季の広島はバンテリンドームで目下4連敗中。シーズンを通じて見ても、2勝5敗1分である。投手陣は8試合で14失点と仕事を果たしているものの、打線は計12得点とサッパリ打てず。投手戦をことごとく落としている。
実は広島がバンテリンドームで苦しんでいるのは今季に限ったことではない。昨季は5勝6敗1分、2年前の22年も4勝8敗と、どちらもリーグ最下位に低迷した中日に負け越している。
ただ、中日が与田剛監督政権下だった20年は8勝4敗、21年は7勝6敗とどちらも広島が勝ち越していた。バンテリンドームが広島の鬼門と化したのは立浪和義監督にバトンが渡ってからということになる。
新井貴浩監督が就任して2年目を迎えた広島。昨季は予想を上回る快進撃で2位に躍進した。今季は開幕でやや躓いたものの、立て直しに成功。阪神、巨人との三つ巴に持ち込んでいる。
8月に入ってから13勝6敗1分の好成績を残しているが、なかなかライバル勢との差を広げきれない歯がゆい状況が続いている。6年ぶりのセ・リーグ制覇に向けて、鬼門バンテリンドームでの3連戦が一つの試金石となるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)