逆転優勝へスパートをかけるべく救援陣のフル回転を決断
タイガースにとって9月は球団史を塗り替えられるかの大事な1カ月となる。
甲子園球場で行われた1日のジィアンツ戦は1-3で敗れて首位・カープとは今季最大となるゲーム差5.5まで広がってしまい、まさに崖っぷち。カープだけでなく、上にいる2位のジャィアンツをも上回る白星を量産していくことが球団史上初のシーズン連覇への条件となる。
いかに目の前の1勝をもぎ取っていくのか。武器である投手力を生かしていく上でキーマンとなりそうな男たちがブルペンにいる。石井大智と桐敷拓馬。
守護神の岩崎優につなぐ勝ちパターンを担う2人の起用法に関して先日、岡田彰布監督が言及した。
「3連投ぐらい、別にどうってことない。(今まであまり)3連投をさせんかったけどな。そんなに無理しても(仕方ない)って思ってたけど」
逆転優勝へスパートをかけるべく、チームトップの58試合登板の桐敷、43試合登板の石井の“リミッター”を解除することを宣言した。
ともに今季は投手コーチが運用に配慮したこともあり3連投は1度ずつ。今季の目標である50試合登板をすでにクリアしている桐敷は「僕は言われたところで投げるだけなんで。そこでしっかり流れを持ってこれるようにゼロで抑えるだけだと思っています」と望むところだ。
桐敷は開幕から、石井は5月から1軍で腕を振り続けてきただけに勤続疲労も心配されるが、岡田監督は「空けたらあかん」と2人は登板間隔を空ければ力を発揮できないタイプと見ている。
実際、1日のジィアンツ戦では劣勢の展開にもかかわらず1-3の7回一死一・二塁で桐敷を投入すると二死一・三塁からは石井を送り込む1人1殺で起用。ともに前夜に続く登板で、きっちりと仕事を果たしている。
8月下旬に2試合連続で3失点していた石井はジィアンツ戦の後「2試合連続3失点して使ってもらえないんじゃないかと思っていた。ありがたいし、意気に感じて結果を出したい」と桐敷同様、どんな状況であろうと名前がコールされたマウンドで結果を残す姿勢を示した。
優勢の展開なら確実に勝利のバトンを後続に引き継ぎ、僅差の劣勢ならば攻撃陣に流れを呼び込むパフォーマンスが求められる。それは指揮官から、難しい“1人2役”の投球ができると信頼されている証でもあるのだろう。
そんな2人と勝利の方程式を形成する岩崎はもちろん、他の救援陣もラストスパートへフル回転は必至。虎のブルペンの底力が試される勝負の秋だ。
文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)