“ウィル・スミス”という名前も追い風に…?
現地16日(日本時間17日)に行われたナ・リーグ優勝決定シリーズの第3戦は、投打にメッツを圧倒したドジャースが8-0で完勝。シリーズ成績を2勝1敗として、ワールドシリーズ進出に一歩前進した。
1番指名打者(DH)で先発した注目の大谷翔平は、4打席目まで快音は聞かれなかったが、8回表の5打席目にライト2階席の中段へ特大アーチを放ちダメを押した。
大谷の他にも9回にソロ本塁打を放ったマックス・マンシーや、メッツを封じた投手陣の奮闘もあったが、この日の真の主役として名前を挙げたいのは、7番捕手で先発したウィル・スミスだ。
スミスは第3戦の試合前の時点で今ポストシーズンは7試合に出場し、23打数2安打(打率.087)、1本塁打、2打点と低調だった。
ところがこの日は、最初の打席で投手強襲安打を放ち先制点を叩き出すと、4打席目に四球を選び大谷のスリーランで生還。5打席目は得点にこそつながらなかったが、この日の自身2本目となる安打をレフトへ運んだ。
またスミスは捕手としても投手陣を引っ張った。先発を務めたウォーカー・ビューラーはこの日も制球が定まらない不安定な投球を見せていたが、スミスの我慢強いリードもあり、4回を何とか無失点で切り抜けた。
大谷を筆頭にスター選手がそろうドジャースにあってスミスは決して目立つ存在ではない。ただ、今年3月に10年総額1億4000万ドル(当時のレートで約210億円)の大型契約を結んでおり、チームには欠かせない存在。今季はナ・リーグ屈指の打てる捕手として、打率.248、20本塁打、75打点の成績を残した。
また、ドジャースが最後に頂点に立った2020年の優勝メンバーの一人でもあるが、同年はコロナ禍で60試合制の短縮シーズンだった。フルシーズンでの世界一を味わいたという思いは人一倍強いはずだ。
そして、“ウィル・スミス”という名前も追い風となるかもしれない。
というのも、2021年以降も毎年“ウィル・スミス”がチャンピオンリングを手にしているからだ。ただし、21年から23年にリングを手中に収めたのは、今季ロイヤルズでプレーした救援左腕のウィル・スミス。年齢もポジションも違うが、登録名が同じ2人の選手が目下4年連続で世界一に輝いていることになる。
ちなみに救援左腕のウィル・スミスは21年ブレーブス、22年アストロズ、23年レンジャーズと異なるチームでの戴冠だった。今季はロイヤルズで4年連続の世界一を狙っていたが、故障のため登録外。チームも地区シリーズでヤンキースに敗れている。
2020年から続く“ウィル・スミス”による世界一は5年に伸びるのか。引き続き捕手スミスの活躍にも注目したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)