3連敗からの逆転制覇は過去にゼロ…
ドジャースが4年ぶり8度目のワールドシリーズ制覇に王手をかけた。
ドジャースの2勝0敗で迎えたワールドシリーズ第3戦は、地元ヤンキースファンの声援が球場に響き渡る中、ドジャースが1回表に2点を先制。3回と6回に1点ずつ追加し、9回裏のヤンキースの反撃を2点に抑えて、3勝0敗とした。
左肩のケガを押して先発出場したドジャースの大谷翔平は、初回の第1打席に四球で出塁すると、フレディ・フリーマンの2ランで先制のホームイン。その後は3打席凡退したが、第5打席に死球で出塁し、フル出場を果たした。
大谷のワールドシリーズの打率は.090(11打数1安打)に低下したが、第4戦での巻き返しに期待がかかる。
そんな大谷以上に深刻なスランプに陥っているのが、ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジだ。ワールドシリーズ3試合の打率は大谷よりも低い.083(12打数1安打)。レギュラーシーズンで58本塁打を記録したパワフルな打撃は、ポストシーズンに入ってから完全に影を潜めている。打線もそれと連動するように沈黙しており、3試合で合計7得点と、ドジャース投手陣を攻略する糸口をつかめないでいる。
ジャッジの前後を打つフアン・ソトとジャンカルロ・スタントンの状態は悪くないだけに、主砲の完全復活が待たれる。ただ、たとえジャッジが第4戦で調子を取り戻したとしても、すでに手遅れかもしれない。
ヤンキースが逆転で世界一に輝くには残り4試合を全勝する必要があるが、これまでのワールドシリーズで、3連敗から4連勝したチームは皆無。それどころか、3連敗から2連勝したチームすらいない(引き分けはカウントしない)。
1903年に始まったワールドシリーズは、今年で120回目。過去119回のうち3連勝(3連敗)でシリーズが始まったのは24回を数えるが、そのうち21回はストレート決着となっている。他の3回も、4勝1敗で終えており、第6戦までもつれ込んだケースは一度もなかった。つまり、ヤンキースが逆転で世界一に輝く確率は0%、一矢報いる確率も12.5%ということになる。
ちなみに日本シリーズでは、3連敗→4連勝で日本一に輝いたケースは過去3回(1958年西鉄、1986年西武、1989年巨人)と少なくない。この辺はお国柄も影響しているのかもしれない。
ドジャースがすんなり世界一に輝くのか、それともヤンキースが意地を見せるのか。いずれにしても、第4戦は手に汗握る好勝負を期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)