プロデビューから代打で2打席連続安打の快挙
甲子園で春夏連覇、そして高校通算41本塁打のパンチ力を引っさげて西武にドラフトで1位入団した捕手・森友哉。7月30日のオリックス戦でついに一軍デビューし、9回に代打出場。榊原諒が投じた2球目の真っ直ぐを振り抜くと、打球はライトフェンス直撃のヒット。記念すべきプロ初打席を、豪快な一振りで決めてみせた。
それにしても、猛烈なスイング、猛烈な打球。この初安打、大阪桐蔭高校の先輩でもある中村剛也が目を丸くしたほどだ。
どっしりとした構えから、体を開かずにまったくブレない軸回転で振れること自体も凄いが、アウトコースのボール球を1球見送った後の2球目を躊躇なくいける精神力が素晴らしかった。オリックスのバッテリーも、2球とも真っ直ぐを投げてきたということは、「お手並み拝見」という意識もあったと思う。でも、1球で球筋を見極めて、ストライクゾーンに来たら、次にそれをしっかりと打ちにいけるあたりに打者として非凡なものがある。
続く7月31日のオリックス戦も8回に代打で出場。東明大貴が投じた初球のスライダーをいきなりスイング。打球に勢いがなかったものの、センター前に落ちる2ベースヒットを記録した。これもまたストライクゾーンに来た球を、一振りで仕留めたものだ。
高校時代から変わらぬ打撃スタイルで一流打者の道をゆく
高校時代の森は、とにかく積極的な打者という印象が強かった。
甲子園は4大会連続で出場し、通算打率は.473で歴代4位タイの5本塁打を記録している。特に印象深いのは2013年夏の甲子園、1回戦・日本文理高校戦。この試合、森は2打席連続本塁打を放つのだが、最初の1本目は変化球を2球見逃した後の1-1からの3球目・真っ直ぐをレフトスタンドへ。2本目は、ボール球を2球見送った2-0から、真っ直ぐをライトスタンドへ運んだ。
この試合を観ていて感じたのは、打つ球種がストライクゾーンに来たら迷わずに振りにいくということと、そして実際にそのボールを的確に捉えてスタンドインさせる技術があるということ。森を見ていて感心するのは、何よりも打席に入った瞬間に、いつでも打てる体勢が整っている点にある。主軸を打つ打者だけにマークされるのは当然だし、相手バッテリーも簡単には勝負してくれない。普通であれば少し球筋を見たくなりそうなものだが、彼にはそんな思いはまるでなく、打席に入ったら“好球必打”という強い信念が見て取れる。
とてもルーキーとは思えない強靭な下半身とブレないスイング。そして、打てる球はそのブレないスイングで強く振るという確固たるスタイル。高校時代から何ら変わらない、“ブレない一振り”がある限り、森は大打者への道を確実に歩むと思う。
文=岩川悟(いわかわ・さとる)