コラム

メジャー全球団制覇間近の黒田博樹 大記録へ向け、モデルチェンジで進化を続ける

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次回は現地時間8月17日に登板が予定されているヤンキース黒田博樹投手 [Getty Images]
黒田博樹,


過去メジャーではたったの13人 日本人では初の大記録!


 ヤンキースの黒田博樹が、メジャー30球団勝利にあと1球団まで迫っている。

 メジャー7年目を迎えている黒田は、ドジャース時代に18球団、ヤンキースで11球団と、これまでにメジャー29球団から勝利をあげた。これは野茂英雄氏(元ドジャーズほか)と並ぶ日本人タイ記録。全30球団から勝利をあげている投手は、メジャー全体でも過去に13人しかいない。残るはデトロイトタイガースだけだが、8月5日(日本時間6日)の対戦で先発し7回3失点ながら勝利投手にはなれず、記録達成は惜しくもならなかった。

 先日、先発予定だった試合が雨天中止となり、次回の先発は17日(日本時間18日)に変更。今月26日(同27日)から今季最後のタイガース3連戦が組まれているが、現状では今季中の記録達成は難しいのかもしれない。

 黒田のメジャーでの球団別勝敗は以下の通り。

Nパドレス      14試合 8勝4敗
Aブルージェイズ   10試合 6勝3敗
Nパイレーツ     8試合 6勝1敗
Aレッドソックス  13試合 4勝5敗
Aアストロズ  9試合 4勝1敗
Nジャイアンツ  10試合 4勝3敗
Aオリオールズ  9試合 3勝3敗
Aエンゼルス  8試合 3勝3敗
Nレッズ  6試合 3勝2敗
Nブルワーズ  4試合 3勝0敗
Aレイズ  7試合 2勝4敗
Aホワイトソックス  6試合 2勝2敗
Aインディアンス  4試合 2勝2敗
Aツインズ  3試合 2勝1敗
Aマリナーズ  6試合 2勝4敗
Aレンジャーズ  6試合 2勝3敗
Nブレーブス  7試合 2勝5敗
Nメッツ  10試合 2勝5敗
Nフィリーズ  6試合 2勝2敗
Nカブス  3試合 2勝1敗
Nカージナルス   6試合 2勝2敗
Nダイヤモンドバックス 11試合 2勝5敗
Aヤンキース  1試合 1勝0敗
Aロイヤルズ  4試合 1勝3敗
Aアスレチックス  6試合 1勝3敗
Nマーリンズ  6試合 1勝2敗
Nナショナルズ  4試合 1勝2敗
Nロッキーズ  11試合 1勝6敗
Nドジャース  2試合 1勝0敗
Aタイガース  4試合 0勝1敗
*Aはアメリカンリーグ、Nはナショナルリーグ所属


7年目に見られた変化 スプリットの割合が増加した


 ところで、今季の黒田はピッチングスタイルに変化が見られる。

 昨季までは速球系を軸にスライダー、シンカーで組み立てていたが、今季はスプリットの割合が増加しているのだ。メジャーリーグ全球団の本拠地に設置されている、球速や投球軌道を測定するPITCHf/Xによれば、黒田の投球割合は以下の通りだ。
 

速球    2013年  8.1% →  4.2% 2014年
 シンカー  2013年  41.1% →  43.3% 2014年
 スライダー 2013年  29.0% →  22.2% 2014年
 カーブ   2013年  3.9% →  3.7% 2014年
 スプリット 2013年  17.7% →  26.3% 2014年
 

 速球とスライダーの割合が減り、その分スプリットを投げる割合が増えている。メジャー初年度の2008年は、スプリットの割合が5.5%だったことを考えるとこれは大きな変化だととらえることができるし、これからの投手人生にも大きく関わるモデルチェンジだといっていいだろう。本人の意図的なものである可能性もあるが、右ヒジのケガで離脱している田中将大もスプリットを多投していた。そういった側面から見ると、今季からヤンキースに加入した正捕手ブライアン・マッキャンの意向もあるかもしれない。

 ゴロとフライの割合(GO/AO)は昨季の1.49から1.45、奪三振の割合も昨季の18.2%から16.3%と投球の結果に大きな変化は見られないが、新たなピッチングスタイルを見せる黒田に注目しつつ、30球団から勝ち星をあげる日を楽しみに待ちたい。
派手さはなくとも堅実に勝ち星を重ねるベテラン右腕は、まさに日本の誇りである。

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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