取材依頼:選手プロデュースグルメってどうやってできるの?
選手プロデュースのメニュー、弁当がどのようにして決められるのかが知りたいです。
ゴリさん
取材結果:選手にアンケート→発売する選手とメニューの決定→お店選定&交渉→試作→完成→発売
基本的な流れはこのような感じ。ただ、選手によってそのでき方は一様ではないみたい。
今回は埼玉西武ライオンズの選手プロデュースグルメができるまでに迫ってみました。
編集部:加藤晃子
[写真提供=埼玉西武ライオンズ]
今回、取材にご協力いただいたのは、埼玉西武ライオンズ事業部の荒木浩基さん、玉井悠野さん。プロデュースグルメを発売するまでの過程や、裏話などを詳しく教えてくださいました。
埼玉西武ライオンズでは現在、13選手(監督)17品の選手プロデュースグルメが販売されていますが、これらができるまでは
1.選手にアンケート
2.発売する選手とメニューの決定
3.お店選定&交渉
4.試作
5.完成
6.発売
という流れで進んで行きます。
1.選手にアンケート→2.発売する選手とメニューの決定
まず行うのは選手へのアンケート調査。でもこのアンケート、発売する選手が決定してから行うのではないのです。
シーズンオフ、選手に「好きなもの」「出身地のグルメ」「思い出の食べ物」などのアンケート&ヒアリングを実施。発売する選手が決まったら、そのアンケートを基に、どのようなメニューにするのか考えていきます。
3.お店選定&交渉
発売する選手とメニューが決まったら、扱っている食材などを踏まえながら、球場内のどの店舗で販売できるかを選定します。そして、そのお店とメニュー内容、価格などを交渉していきます。
4.試作→5.完成
販売する店舗が決まったら、早速試作に移ります。そしてプロデュースした選手が試食し、要望などを聞き、微調整。それを繰り返し、完成となります。
6.発売
商品が完成したらすぐに発売、というわけにはいきません。ノベルティの用意や、商品撮影、発売のリリース配信などを行った上で、晴れて発売となります。
基本的にはこのような流れで進んで行きます。ただ、選手によってその流れは少し異なるとのこと。そこで今回は、辻発彦監督、栗山巧選手、森友哉選手のプロデュースグルメについて詳しく見ていきたいと思います。
今季から指揮官に就任した辻発彦監督がプロデュースする『獅子リアンライス』は、4月7日からメットライフドームに登場しました。
きっかけは辻監督就任直後の秋季キャンプ中。辻監督と、埼玉西武の担当記者の何気ない会話の最中、辻監督の出身地佐賀の名物「シシリアンライス」の話になったそうです。そこから「プロデュースしてみては?」という流れになり、早速、グルメ担当者に提案、企画スタートとなりました。
まず、監督と球団の担当者が打合せ。その後、担当者が都内の佐賀料理店に足を運んで「シシリアンライス」を実食し、入っている食材などを調査しました。
続いて、使われている食材などを踏まえながらどこが一番おいしく提供できるか、球場内から販売するお店を選定します。『獅子リアンライス』の場合、レタスなど野菜を使用しているメニューだったため、野菜を取り扱っている店舗が少なく、選定が難しかったそうです。
そして次は試食。ここでは辻監督から自身の好物であるきのこを入れたり、「球場でも食べやすいように」と、お皿型の容器から丼ぶりとスプーンに変更するなど、細かい点も話し合いました。
その後、辻監督の意見を取り入れた試作を経て、いよいよ販売となります。
実はこの『獅子リアンライス』、企画から発売まで約3カ月。担当者が「最速かも」という程のスピード感で商品化されたそうです。
栗山選手プロデュースの『巧御膳』。2010年に登場して以降の人気商品ですが、2017年、その『巧御膳』がリニューアルしました。
2010年の発売当初は、ガッツリしたメニューの多い球場グルメの中では珍しく、「和食」をメインとしたお弁当。しかし、珍しいのはそれだけではないんです。実は今年から栗山選手&栗山選手のお母さんによるプロデュースとなりました。
2016年のリニューアル時に栗山選手のお母さんの味を2、3品を追加。さらに2017年のリニューアルでは球団の担当者と栗山選手のお母さんが直接連絡を取り、栗山母プロデュースの新しい『巧御膳』ができあがりました。
栗山選手のお母さんとの電話は数十分。おなじみの「栗」はもちろん、栗山選手のお母さん考案の高野豆腐、パプリカ入りきんぴらごぼう、レンコンマヨネーズに、栗山選手の大好物であるかぼちゃ、ちくわの磯辺揚げ、ごま塩ご飯が追加されました。さらに、栄養のバランスにもこだわり「20品目以上」とのリクエストも。栗山選手を育てた“栗山家の献立”を楽しめる新しい『巧御膳』に生まれ変わりました。
森選手の『フルスイング弁当』が登場したのは、2015年9月。2年目ながらホームランを量産、 オールスターゲームのファン投票で両リーグ最多の53万6267票を獲得するなど大活躍していた森選手の「誕生日(8月8日)に森選手の弁当を出そう」と担当者が提案。そこから企画が始まりました。
なかなか時間の取れない中、試合終了後など合間を縫って森選手と担当者の打合せが始まりました。
森選手のお弁当のコンセプトは『自分の食べたいもの&ファンが喜んでくれるもの』。「自分のお弁当をプロデュースしたかった」という森選手は、お弁当のカタログを見ながら真剣に頭を悩ませていたそうです。
また、先輩たちとメニューがかぶらないようにと他の選手のプロデュースグルメを抜かりなくチェック。森選手の気遣いも見えました。
さらに森選手は、おかずの配置まで自ら考えるほどのこだわりよう。スケッチブックに手書きでレイアウトしながら、ああでもない、こうでもないと何度も書き直しました。
残念ながら森選手の誕生日に発売は間に合いませんでしたが、できあがった『フルスイング弁当』は森選手の“大好き”がいっぱい詰まったお弁当になりました。
とても充実している埼玉西武ライオンズのプロデュースグルメ。そこには、球場でおいしく食べてもらう以外にもたくさんの想いが込められていました。
ライオンズのプロデュースグルメは、選手と担当者がしっかりとコミュニケーションをとって、一つひとつ作り上げています。そこには、好きなもの、出身地のこと、思い出などなど、選手のプレー以外の面も知ってもらいたいという担当者の想いが込められていました。
また、ライオンズのプロデュースグルメにはポストカードやステッカーなど、ノベルティがついていることをご存知でしょうか。それも、一つのプロモーションとして、担当者が力を入れていることです。例えば、子どもがそのステッカーを貼ったものを学校に持っていく。そして周りの子どもたちにも知ってもらうというように、“ライオンズの輪”が広がっていってほしいという想いから、ノベルティをつけ続けているそうです。
そして、一番重要なのが、「ファンが求めているもの」を出すこと。今までは、ファンの求めているものとの乖離が少なからずあったと言います。しかし、最近は様々な調査によってファンの声を聞き、発売する選手を決めているそうです。
プロデュースグルメができあがるまでには、苦労もたくさんあります。「プロデュースを作るにあたって、選手の思いをメニューに落としこみ、ファンに伝わるようにするのが大変なところです。そのために、選手とのコミュニケーションは大事なところですね」と玉井さん。「プロデュースグルメは僕たち担当者だけでなく、選手や選手の家族、球場の店舗、協力会社など、いろいろな人の協力がないとできません。感謝しながらやっています」と話していました。
「最近は選手にもプロデュースグルメの意図を理解してもらって、すごく協力いただいています」。また、選手だけでなく、選手の家族とともに、確実にグルメを通じて“ライオンズの輪”は広がっているように感じられます。
さらに、「まだ、ファンの皆さんが絡んだものがないので、今後はそういうものもできたら」との構想も。進化し続ける埼玉西武ライオンズのプロデュースグルメから今後も目が離せません!
※辻は1点しんにょう
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今回、取材にご協力いただいたのは、埼玉西武ライオンズ事業部の荒木浩基さん、玉井悠野さん。プロデュースグルメを発売するまでの過程や、裏話などを詳しく教えてくださいました。
埼玉西武ライオンズでは現在、13選手(監督)17品の選手プロデュースグルメが販売されていますが、これらができるまでは
1.選手にアンケート
3.お店選定&交渉
4.試作
5.完成
6.発売
という流れで進んで行きます。
1.選手にアンケート→2.発売する選手とメニューの決定
まず行うのは選手へのアンケート調査。でもこのアンケート、発売する選手が決定してから行うのではないのです。
シーズンオフ、選手に「好きなもの」「出身地のグルメ」「思い出の食べ物」などのアンケート&ヒアリングを実施。発売する選手が決まったら、そのアンケートを基に、どのようなメニューにするのか考えていきます。
3.お店選定&交渉
発売する選手とメニューが決まったら、扱っている食材などを踏まえながら、球場内のどの店舗で販売できるかを選定します。そして、そのお店とメニュー内容、価格などを交渉していきます。
4.試作→5.完成
販売する店舗が決まったら、早速試作に移ります。そしてプロデュースした選手が試食し、要望などを聞き、微調整。それを繰り返し、完成となります。
6.発売
商品が完成したらすぐに発売、というわけにはいきません。ノベルティの用意や、商品撮影、発売のリリース配信などを行った上で、晴れて発売となります。
基本的にはこのような流れで進んで行きます。ただ、選手によってその流れは少し異なるとのこと。そこで今回は、辻発彦監督、栗山巧選手、森友哉選手のプロデュースグルメについて詳しく見ていきたいと思います。
Case 1:辻発彦監督プロデュース『獅子リアンライス』の場合
今季から指揮官に就任した辻発彦監督がプロデュースする『獅子リアンライス』は、4月7日からメットライフドームに登場しました。
きっかけは辻監督就任直後の秋季キャンプ中。辻監督と、埼玉西武の担当記者の何気ない会話の最中、辻監督の出身地佐賀の名物「シシリアンライス」の話になったそうです。そこから「プロデュースしてみては?」という流れになり、早速、グルメ担当者に提案、企画スタートとなりました。
まず、監督と球団の担当者が打合せ。その後、担当者が都内の佐賀料理店に足を運んで「シシリアンライス」を実食し、入っている食材などを調査しました。
続いて、使われている食材などを踏まえながらどこが一番おいしく提供できるか、球場内から販売するお店を選定します。『獅子リアンライス』の場合、レタスなど野菜を使用しているメニューだったため、野菜を取り扱っている店舗が少なく、選定が難しかったそうです。
そして次は試食。ここでは辻監督から自身の好物であるきのこを入れたり、「球場でも食べやすいように」と、お皿型の容器から丼ぶりとスプーンに変更するなど、細かい点も話し合いました。
その後、辻監督の意見を取り入れた試作を経て、いよいよ販売となります。
実はこの『獅子リアンライス』、企画から発売まで約3カ月。担当者が「最速かも」という程のスピード感で商品化されたそうです。
<ちょこっと裏話1>
『獅子リアンライス』の“獅子”は、打合せの翌日、辻監督がベンチにいた球団職員に「『シシリアンライス』の“シシ”はもちろん“獅子”だよな」とポロッと言ったことがきっかけだそうです。
『獅子リアンライス』の“獅子”は、打合せの翌日、辻監督がベンチにいた球団職員に「『シシリアンライス』の“シシ”はもちろん“獅子”だよな」とポロッと言ったことがきっかけだそうです。
Case 2:栗山巧選手プロデュース『巧御膳』の場合
栗山選手プロデュースの『巧御膳』。2010年に登場して以降の人気商品ですが、2017年、その『巧御膳』がリニューアルしました。
2010年の発売当初は、ガッツリしたメニューの多い球場グルメの中では珍しく、「和食」をメインとしたお弁当。しかし、珍しいのはそれだけではないんです。実は今年から栗山選手&栗山選手のお母さんによるプロデュースとなりました。
2016年のリニューアル時に栗山選手のお母さんの味を2、3品を追加。さらに2017年のリニューアルでは球団の担当者と栗山選手のお母さんが直接連絡を取り、栗山母プロデュースの新しい『巧御膳』ができあがりました。
栗山選手のお母さんとの電話は数十分。おなじみの「栗」はもちろん、栗山選手のお母さん考案の高野豆腐、パプリカ入りきんぴらごぼう、レンコンマヨネーズに、栗山選手の大好物であるかぼちゃ、ちくわの磯辺揚げ、ごま塩ご飯が追加されました。さらに、栄養のバランスにもこだわり「20品目以上」とのリクエストも。栗山選手を育てた“栗山家の献立”を楽しめる新しい『巧御膳』に生まれ変わりました。
<ちょこっと裏話2>
栗山選手の大好物「ちくわの磯辺揚げ」は、栗山選手が友人を自宅に呼んだ時などに振る舞われていたそうです。
栗山選手の大好物「ちくわの磯辺揚げ」は、栗山選手が友人を自宅に呼んだ時などに振る舞われていたそうです。
<ちょこっと裏話3>
『栗山家の食卓』というプロデュース弁当を出そうかという話があったとか、なかったとか...
『栗山家の食卓』というプロデュース弁当を出そうかという話があったとか、なかったとか...
Case 3:森友哉選手プロデュース『フルスイング弁当』の場合
森選手の『フルスイング弁当』が登場したのは、2015年9月。2年目ながらホームランを量産、 オールスターゲームのファン投票で両リーグ最多の53万6267票を獲得するなど大活躍していた森選手の「誕生日(8月8日)に森選手の弁当を出そう」と担当者が提案。そこから企画が始まりました。
なかなか時間の取れない中、試合終了後など合間を縫って森選手と担当者の打合せが始まりました。
森選手のお弁当のコンセプトは『自分の食べたいもの&ファンが喜んでくれるもの』。「自分のお弁当をプロデュースしたかった」という森選手は、お弁当のカタログを見ながら真剣に頭を悩ませていたそうです。
また、先輩たちとメニューがかぶらないようにと他の選手のプロデュースグルメを抜かりなくチェック。森選手の気遣いも見えました。
さらに森選手は、おかずの配置まで自ら考えるほどのこだわりよう。スケッチブックに手書きでレイアウトしながら、ああでもない、こうでもないと何度も書き直しました。
残念ながら森選手の誕生日に発売は間に合いませんでしたが、できあがった『フルスイング弁当』は森選手の“大好き”がいっぱい詰まったお弁当になりました。
<ちょこっと裏話4>
森選手、数ある好きな食べ物の中でも、ジャガイモが大好物だそうです!
森選手、数ある好きな食べ物の中でも、ジャガイモが大好物だそうです!
進化し続けるライオンズのプロデュースグルメ
とても充実している埼玉西武ライオンズのプロデュースグルメ。そこには、球場でおいしく食べてもらう以外にもたくさんの想いが込められていました。
ライオンズのプロデュースグルメは、選手と担当者がしっかりとコミュニケーションをとって、一つひとつ作り上げています。そこには、好きなもの、出身地のこと、思い出などなど、選手のプレー以外の面も知ってもらいたいという担当者の想いが込められていました。
また、ライオンズのプロデュースグルメにはポストカードやステッカーなど、ノベルティがついていることをご存知でしょうか。それも、一つのプロモーションとして、担当者が力を入れていることです。例えば、子どもがそのステッカーを貼ったものを学校に持っていく。そして周りの子どもたちにも知ってもらうというように、“ライオンズの輪”が広がっていってほしいという想いから、ノベルティをつけ続けているそうです。
そして、一番重要なのが、「ファンが求めているもの」を出すこと。今までは、ファンの求めているものとの乖離が少なからずあったと言います。しかし、最近は様々な調査によってファンの声を聞き、発売する選手を決めているそうです。
プロデュースグルメができあがるまでには、苦労もたくさんあります。「プロデュースを作るにあたって、選手の思いをメニューに落としこみ、ファンに伝わるようにするのが大変なところです。そのために、選手とのコミュニケーションは大事なところですね」と玉井さん。「プロデュースグルメは僕たち担当者だけでなく、選手や選手の家族、球場の店舗、協力会社など、いろいろな人の協力がないとできません。感謝しながらやっています」と話していました。
「最近は選手にもプロデュースグルメの意図を理解してもらって、すごく協力いただいています」。また、選手だけでなく、選手の家族とともに、確実にグルメを通じて“ライオンズの輪”は広がっているように感じられます。
さらに、「まだ、ファンの皆さんが絡んだものがないので、今後はそういうものもできたら」との構想も。進化し続ける埼玉西武ライオンズのプロデュースグルメから今後も目が離せません!
<ちょこっと裏話5>
なかには「こんなプロデュースグルメを出したい!」と自ら売り込んでくる選手もいるそうです!今後、実現するかも!?
なかには「こんなプロデュースグルメを出したい!」と自ら売り込んでくる選手もいるそうです!今後、実現するかも!?
※辻は1点しんにょう
ベースボールキングでは、ユーザー皆さんの「知りたいこと」を調査します。
検索してもわからない、野球のことを気軽に聞いてみてください。
例えば
・好きなチーム、選手のこと
・野球業界に関する素朴な疑問
・あの選手は今、何しているの?
など、どんな質問でもOK!
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さあ、どんどんリクエストしましょう!