―― 幸子さんは「アスリートフードマイスター」の資格をお持ちだと伺いました。
はい、以前から興味があり、数年前に取得しました。アスリートに特化したカリキュラムで、栄養はただ摂ればいいのではなく、摂り方や組み合わせが重要だということを知りました。より知識が深まって、目的に合わせた食材選びや、栄養を摂るタイミングをについて、自然と意識できるようになりましたね。それから、この方法しかないと思っていたことが別のモノで代用できたり、ダメと思っていたものがOKだったり、目からウロコの知識もありました。それまでは徹底して手作りにしていたのですが、夏場の腐敗を考えると時には市販品を活用することも大事だったり。全部手作りにする必要はないのかと、少し肩の荷が下りました。
―― 日々の献立に変化はありましたか?
品数が増え、より彩り豊かになりました!元々一回の食事の品数は多い方でしたが、組み合わせ方やバランス、栄養種類を更に考えるようになりました。例えば骨を強くするには、カルシウムが必要です、カルシウムの吸収を良くするにはビタミンDなども摂らなくてはなりませんし、コラーゲンなども必要になりますよね。
身体を作るという意味では、複数の栄養素を摂る、これが大切ですね。
―― アスリートフードマイスターでは栄養について学び、それをレシピに落とし込むのは生徒さんご自身なんですよね。
計算式があって、体重と身長、活動量、年齢などから最初に総摂取カロリーを算出して、そこに必要な栄養素や彩りを当てはめていきます。主食のほかに肉や魚、野菜、豆類、ひじきなどの黒い物などをざっくりリストアップして、それをよく見直して、カロリーやバランスを調整していく。たとえば今日は筋肉を増強したい、疲れを取り除きたいというときに、パッと思い浮かんだ食材がうなぎだとしますね。一番簡単なのはメインをうなぎにすることだけど、ちょっと違うな、だったら鰻巻きにしようとか、きゅうりとわかめと一緒に和えてみようとか、うなぎを使うなら副菜にはこのビタミンが必要だよねとか、そんな風に足し引きしながらメニューを決めています。
―― ご主人の体調に合わせて急遽メニューを変更されることもあるとか。
そうなんです。普段の食事は、息子と私が同じで主人だけ別メニュー。1日3回×2パターン作ります。毎朝リクエストを聞いてから作るようにはしているのですが、メインのお肉だけ決めていて、あとから「がっつりニンニク風味よりもさっぱりおろしがいいな」って言われて、息子が寝ている間にスーパーまで大根を買いに走ったことも。
―― ある食材で間に合わせるのではなく、体調や食べたいものを優先するのですね。毎回対応するのは大変じゃないですか?
そうですね、体調や食べたいものをある程度確認して優先はさせますが、もちろん、冷蔵庫にあるもので、作れないかをまずは考えます。
料理が好きなので苦になりませんが、結婚当初は主人の偏食に悩まされました(笑)。子どもの頃からプロ入りするまでずっと野球漬けで、お菓子なども食べたことがなかったようで、その反動もあったかと思います。それが今は主人も好き嫌いがほぼなくなり、遠征先で外食するときには必ず「今日の体調はこうなんだけど、何を食べたらいい?」って確認してきます。
―― 1回の食事を大事にされるようになったんですね。
自分で意識はしてくれるようになりましたね。
なかなか、たくさんの野菜なども一度に摂取するのは難しいですし、好き嫌いがあれば尚更ですよね。
息子が幼稚園ぐらいから、主人にも、好き嫌いを子供の前では見せないよう工夫してもらったり、『教育上食べるふりでもいいから(笑)』なんてお願いしたこともありました。
―― 子どもの食事やお弁当作りを負担に感じているお母さんもいらっしゃるようですが、楽しんで続けられるコツは何でしょうか?
“自分で手を掛けた食事で家族が健康でいられる”ということに、やりがいを感じられるといいですね。すぐに結果が現れなくても、自分の食事で家族が元気でいられるなら、それだけで私はがんばれちゃう。食卓は自分も幸せになれる場所で、食べてくれる人がいるから作り手になれる。子どもがいて母になれますし、旦那さまがいて妻になれる。すべてをプラスに考えるようにしています。
―― 最後に、これから夏本番を迎えて、食欲が落ちる時期におすすめのメニューがあったら教えてください。
スプーンでサッと食べられて、具材たっぷりの丼物やワンプレートごはんを頻繁によく作ります。(豚キムチ丼、大根おろしステーキ丼など)具沢山スープご飯などは、具を細かくし、サッと食べれるように。あまり噛まなくていいように野菜を米粒大くらいに刻んで入れ、卵を加えて食べさせています。胃が疲れているときは食べやすく、栄養が摂れ、薬味や香辛料を上手に取り入れ、食欲増進となるものを作ります。それから酢飯。お酢には食欲増進効果があって傷みにくいですし、お弁当ならおにぎりにして、保冷剤を入れて持たせています。
お米がのどを通らないときは麺類。ツルッと食べやすいので、あまりご飯が喉を通らない時は、ネバネバ納豆オクラ冷やしうどんや蕎麦も!本当は火の通った温かいものを食べて欲しいのですが、食が進むのであればひやむぎや冷製スープなどもいいかなと。
おかずには冷やおでんもおすすめで、具の練り物で魚も摂れますよ。
あと、近年の暑さは命の危険を感じますよね。
暑さ対策は、少年野球の子供達は、無理をしない活動、水分補給や冷やタオルなど工夫をこらしながら活動をして欲しいなと思います。
▼プロフィール
今江幸子(いまえさちこ)さん
東北楽天ゴールデンイーグルス・今江年晶選手の妻。1児の母。2004年に今江選手と結婚、プロ入り3年目から食事を支え続け、2014年にはアスリートフードマイスター3級を取得。小学生の息子さんも軟式少年野球チームに所属、プロ野球選手の奥さまとして、また成長期のお子様を持つ母としての知識や経験を活かし、食事術セミナーなどの講師も務める。
はい、以前から興味があり、数年前に取得しました。アスリートに特化したカリキュラムで、栄養はただ摂ればいいのではなく、摂り方や組み合わせが重要だということを知りました。より知識が深まって、目的に合わせた食材選びや、栄養を摂るタイミングをについて、自然と意識できるようになりましたね。それから、この方法しかないと思っていたことが別のモノで代用できたり、ダメと思っていたものがOKだったり、目からウロコの知識もありました。それまでは徹底して手作りにしていたのですが、夏場の腐敗を考えると時には市販品を活用することも大事だったり。全部手作りにする必要はないのかと、少し肩の荷が下りました。
―― 日々の献立に変化はありましたか?
品数が増え、より彩り豊かになりました!元々一回の食事の品数は多い方でしたが、組み合わせ方やバランス、栄養種類を更に考えるようになりました。例えば骨を強くするには、カルシウムが必要です、カルシウムの吸収を良くするにはビタミンDなども摂らなくてはなりませんし、コラーゲンなども必要になりますよね。
身体を作るという意味では、複数の栄養素を摂る、これが大切ですね。
―― アスリートフードマイスターでは栄養について学び、それをレシピに落とし込むのは生徒さんご自身なんですよね。
計算式があって、体重と身長、活動量、年齢などから最初に総摂取カロリーを算出して、そこに必要な栄養素や彩りを当てはめていきます。主食のほかに肉や魚、野菜、豆類、ひじきなどの黒い物などをざっくりリストアップして、それをよく見直して、カロリーやバランスを調整していく。たとえば今日は筋肉を増強したい、疲れを取り除きたいというときに、パッと思い浮かんだ食材がうなぎだとしますね。一番簡単なのはメインをうなぎにすることだけど、ちょっと違うな、だったら鰻巻きにしようとか、きゅうりとわかめと一緒に和えてみようとか、うなぎを使うなら副菜にはこのビタミンが必要だよねとか、そんな風に足し引きしながらメニューを決めています。
―― ご主人の体調に合わせて急遽メニューを変更されることもあるとか。
そうなんです。普段の食事は、息子と私が同じで主人だけ別メニュー。1日3回×2パターン作ります。毎朝リクエストを聞いてから作るようにはしているのですが、メインのお肉だけ決めていて、あとから「がっつりニンニク風味よりもさっぱりおろしがいいな」って言われて、息子が寝ている間にスーパーまで大根を買いに走ったことも。
―― ある食材で間に合わせるのではなく、体調や食べたいものを優先するのですね。毎回対応するのは大変じゃないですか?
そうですね、体調や食べたいものをある程度確認して優先はさせますが、もちろん、冷蔵庫にあるもので、作れないかをまずは考えます。
料理が好きなので苦になりませんが、結婚当初は主人の偏食に悩まされました(笑)。子どもの頃からプロ入りするまでずっと野球漬けで、お菓子なども食べたことがなかったようで、その反動もあったかと思います。それが今は主人も好き嫌いがほぼなくなり、遠征先で外食するときには必ず「今日の体調はこうなんだけど、何を食べたらいい?」って確認してきます。
―― 1回の食事を大事にされるようになったんですね。
自分で意識はしてくれるようになりましたね。
なかなか、たくさんの野菜なども一度に摂取するのは難しいですし、好き嫌いがあれば尚更ですよね。
息子が幼稚園ぐらいから、主人にも、好き嫌いを子供の前では見せないよう工夫してもらったり、『教育上食べるふりでもいいから(笑)』なんてお願いしたこともありました。
―― 子どもの食事やお弁当作りを負担に感じているお母さんもいらっしゃるようですが、楽しんで続けられるコツは何でしょうか?
“自分で手を掛けた食事で家族が健康でいられる”ということに、やりがいを感じられるといいですね。すぐに結果が現れなくても、自分の食事で家族が元気でいられるなら、それだけで私はがんばれちゃう。食卓は自分も幸せになれる場所で、食べてくれる人がいるから作り手になれる。子どもがいて母になれますし、旦那さまがいて妻になれる。すべてをプラスに考えるようにしています。
―― 最後に、これから夏本番を迎えて、食欲が落ちる時期におすすめのメニューがあったら教えてください。
スプーンでサッと食べられて、具材たっぷりの丼物やワンプレートごはんを頻繁によく作ります。(豚キムチ丼、大根おろしステーキ丼など)具沢山スープご飯などは、具を細かくし、サッと食べれるように。あまり噛まなくていいように野菜を米粒大くらいに刻んで入れ、卵を加えて食べさせています。胃が疲れているときは食べやすく、栄養が摂れ、薬味や香辛料を上手に取り入れ、食欲増進となるものを作ります。それから酢飯。お酢には食欲増進効果があって傷みにくいですし、お弁当ならおにぎりにして、保冷剤を入れて持たせています。
お米がのどを通らないときは麺類。ツルッと食べやすいので、あまりご飯が喉を通らない時は、ネバネバ納豆オクラ冷やしうどんや蕎麦も!本当は火の通った温かいものを食べて欲しいのですが、食が進むのであればひやむぎや冷製スープなどもいいかなと。
おかずには冷やおでんもおすすめで、具の練り物で魚も摂れますよ。
あと、近年の暑さは命の危険を感じますよね。
暑さ対策は、少年野球の子供達は、無理をしない活動、水分補給や冷やタオルなど工夫をこらしながら活動をして欲しいなと思います。
(取材・江原裕子)
【お知らせ】
アスリートフード勉強会「野球のための食事術」
ゲスト講師 東北楽天イーグルス 今江年晶選手の奥様 今江幸子さん
▼プロフィール
今江幸子(いまえさちこ)さん
東北楽天ゴールデンイーグルス・今江年晶選手の妻。1児の母。2004年に今江選手と結婚、プロ入り3年目から食事を支え続け、2014年にはアスリートフードマイスター3級を取得。小学生の息子さんも軟式少年野球チームに所属、プロ野球選手の奥さまとして、また成長期のお子様を持つ母としての知識や経験を活かし、食事術セミナーなどの講師も務める。