「成長が早いからと言って一概に凄いとはならない。ただ、突然やってくる『変化のきっかけ』だけは見逃してはならない」と今宮監督は言う。
たったひとつのフライ捕球が、子どもたちを変えてしまうことがある。
何球も繰り返し行なっているティー打撃の最中に、ふと“ボールを捉える”という感覚を掴むことがある。
指導者がここに気づき、さらに磨いていくことで、子どもはどこまでも伸びていく。
逆に、子どものそうした瞬間を見逃している指導者も多いのではないか。今宮監督を含め大人のスタッフ5人が必ず練習に参加している点は、大平山ならではの強みと言っていいだろう。
たしかに「子どもを見守る大人の目」は多ければ多いほどいいのかもしれない。風通しの良いチームを標榜する今宮監督は「監督、コーチ、保護者の関係性を乱さないのであれば、保護者がグラウンドに来ることは大歓迎」なのだという。
その一方で、保護者への負担は極力減らすべきだとも言う。今年、ある県大会の組み合わせ抽選会で、県の理事がこんなことを言っていたそうだ。
「この大分県では10年前より50チームも減少している。たとえ子どもが野球をやりたいと言っても“野球は親の負担が大きい”と言って、その親が二の足を踏むケースも少なくないのです」
野球部に子どもを入部させた親の多くは、送迎はもちろんだが、審判へのお茶出しのために“なぜか”保護者が試合中のベンチ入りを義務付けられている地域や大会も多く、指導者のお弁当当番に至るまで多くの雑務をこなさねばならない。道具一式を揃えるだけでも金銭的に大変なのに、入った後の方が心身のストレスはかさむ。これではさすがに子どもが「野球をやりたい」と言いだしても、親は簡単にOKを出せないだろう。
(ところが、ベンチに入った親がやることといえば、実際には冷えたタオルで顔を拭ってあげたり水分補給のケアをすると称して我が子を間近で見つめているケースがほとんどなのだが……)
これらの点は今宮監督も危惧するところであり、義務付けられていない大会や練習試合などでは当番制の雑務はあえて取り入れていないのだそうだ。
子どもたちの野球の上達を願いつつ、父兄の負担についても考えを巡らせる。ここにもやはり今宮家と地域との根強い「野球の輪」を感じることができる。(取材・撮影:加来慶祐)
たったひとつのフライ捕球が、子どもたちを変えてしまうことがある。
何球も繰り返し行なっているティー打撃の最中に、ふと“ボールを捉える”という感覚を掴むことがある。
指導者がここに気づき、さらに磨いていくことで、子どもはどこまでも伸びていく。
逆に、子どものそうした瞬間を見逃している指導者も多いのではないか。今宮監督を含め大人のスタッフ5人が必ず練習に参加している点は、大平山ならではの強みと言っていいだろう。
たしかに「子どもを見守る大人の目」は多ければ多いほどいいのかもしれない。風通しの良いチームを標榜する今宮監督は「監督、コーチ、保護者の関係性を乱さないのであれば、保護者がグラウンドに来ることは大歓迎」なのだという。
その一方で、保護者への負担は極力減らすべきだとも言う。今年、ある県大会の組み合わせ抽選会で、県の理事がこんなことを言っていたそうだ。
「この大分県では10年前より50チームも減少している。たとえ子どもが野球をやりたいと言っても“野球は親の負担が大きい”と言って、その親が二の足を踏むケースも少なくないのです」
野球部に子どもを入部させた親の多くは、送迎はもちろんだが、審判へのお茶出しのために“なぜか”保護者が試合中のベンチ入りを義務付けられている地域や大会も多く、指導者のお弁当当番に至るまで多くの雑務をこなさねばならない。道具一式を揃えるだけでも金銭的に大変なのに、入った後の方が心身のストレスはかさむ。これではさすがに子どもが「野球をやりたい」と言いだしても、親は簡単にOKを出せないだろう。
(ところが、ベンチに入った親がやることといえば、実際には冷えたタオルで顔を拭ってあげたり水分補給のケアをすると称して我が子を間近で見つめているケースがほとんどなのだが……)
これらの点は今宮監督も危惧するところであり、義務付けられていない大会や練習試合などでは当番制の雑務はあえて取り入れていないのだそうだ。
子どもたちの野球の上達を願いつつ、父兄の負担についても考えを巡らせる。ここにもやはり今宮家と地域との根強い「野球の輪」を感じることができる。(取材・撮影:加来慶祐)