ただ名門として知られる八尾フレンドだが、2010年を過ぎた頃から5年ほどは子どもたちが練習中にダラダラする、挨拶もしないなど雰囲気の乱れる期間があったという。そんなチームを立て直すために白羽の矢が立ったのが大浦監督。2016年春からコーチとして指導に当たり、昨年から監督に。緩んでいたチームは厳しさを取り戻した。
前キャプテンで初めて大浦監督の指導を3年間受けた世代の浅田優生は「ものすごく厳しい方だなと思いました」というのが最初の印象だった。それが今では「自分達を変えてくださった監督さんを日本一にしたいと思ってやっていたんですが・・・それが心残りです」と感謝の念を抱いている。
名将として名高いPL学園・中村順司元監督の教えである「球道即人道」と並んで大浦監督が座右の銘としているのが「至誠」これは吉田松陰が残した言葉で、精一杯の誠意で接すれば心の動かない人はいないという意味。何度も怒られたはずの相手にも大浦監督の熱意は伝わっており、保護者会会長の北橋成夫さんも「練習の雰囲気を見てここに決めました。選手がピリッとしている。見学に行った他のチームは練習中に笑顔を見せていました。大浦監督は細かいところまで指導してくれて、選手をよく見てくれている。うちの子は八尾フレンドに入ってからいろいろ自分からするようになりました。自主的に走りに行ったり自覚が出てきてます」と話すなど保護者からの信頼も厚い。
新チーム始動日に行なった最初のミーティングで大浦監督はどんなチームにしたいか、選手に問いかけた。「楽しくやりたいって言うんやったらそれでもええで」とも投げかけた。それでも返ってきた答えは「勝ちたい」「負けたくない」というものだった。現在のチームは負けないチーム、点を取られないチームを目指してスタートした。だからそれにそぐわないプレーに対しては大浦監督の厳しい声が飛ぶ。ミスに対して頭ごなしに怒鳴るのではない。声を荒げるのはプレーの意図がズレていた時や次の動きの準備が出来ていなかった時。
練習は土日だけというチームも多いが八尾フレンドは平日も行う。日頃からこういう野球に触れているから、普通の人には同じに見えるプレーでも良し悪しの違いが判断出来る。これが野球の奥深さであり、面白さだ。
「『楽しい』じゃなくて野球は『面白い』だと思うんですよ。楽しいというのはただ自分だけが打ったり投げたりしているというところが楽しいだと思うんですよ。負けたらみんな悔しいでしょうし、絶対勝ちたいと思う。勝たなくていい、脱勝利至上主義というのはどこのスポーツにおいてもないと思うんです」
『楽しい』と『面白い』は違う、そんな大浦監督の言葉を異口同音に唱えたのが大浦監督の父である大浦泰弘総監督だ。大浦総監督は18歳でコーチ、20歳で監督となり指導者歴は40年近い。
「うちは楽しくやった事は1回もないです。野球が楽しいと思った事はないです。面白いですけどね、面白いからずっと続いてるんですけど。楽しい野球はおっさん野球の世界ですと僕は思っているんですけどね。子どもたちにも楽しくやったらあかん、やるんやったら必死になって勝ちにいかなあかんと言ってますね。勝ち負けがなくなったら何を目的に一生懸命やるのかなと思うんですよ。勝負の世界やから勝つ負けるがあるから面白いんですよね。個人なりチームが勝つことに努力するから面白みが出てくるんであって、楽しくやるというのはちょっとニュアンスが違うんじゃないかなと僕は思いますね」
根本にあるのは勝利を追求する姿勢と、その過程で野球を通じた人間形成。楽しさよりも面白さを学んだ選手達は今日も白球を追う。(取材・撮影:小中翔太)
前キャプテンで初めて大浦監督の指導を3年間受けた世代の浅田優生は「ものすごく厳しい方だなと思いました」というのが最初の印象だった。それが今では「自分達を変えてくださった監督さんを日本一にしたいと思ってやっていたんですが・・・それが心残りです」と感謝の念を抱いている。
名将として名高いPL学園・中村順司元監督の教えである「球道即人道」と並んで大浦監督が座右の銘としているのが「至誠」これは吉田松陰が残した言葉で、精一杯の誠意で接すれば心の動かない人はいないという意味。何度も怒られたはずの相手にも大浦監督の熱意は伝わっており、保護者会会長の北橋成夫さんも「練習の雰囲気を見てここに決めました。選手がピリッとしている。見学に行った他のチームは練習中に笑顔を見せていました。大浦監督は細かいところまで指導してくれて、選手をよく見てくれている。うちの子は八尾フレンドに入ってからいろいろ自分からするようになりました。自主的に走りに行ったり自覚が出てきてます」と話すなど保護者からの信頼も厚い。
新チーム始動日に行なった最初のミーティングで大浦監督はどんなチームにしたいか、選手に問いかけた。「楽しくやりたいって言うんやったらそれでもええで」とも投げかけた。それでも返ってきた答えは「勝ちたい」「負けたくない」というものだった。現在のチームは負けないチーム、点を取られないチームを目指してスタートした。だからそれにそぐわないプレーに対しては大浦監督の厳しい声が飛ぶ。ミスに対して頭ごなしに怒鳴るのではない。声を荒げるのはプレーの意図がズレていた時や次の動きの準備が出来ていなかった時。
練習は土日だけというチームも多いが八尾フレンドは平日も行う。日頃からこういう野球に触れているから、普通の人には同じに見えるプレーでも良し悪しの違いが判断出来る。これが野球の奥深さであり、面白さだ。
「『楽しい』じゃなくて野球は『面白い』だと思うんですよ。楽しいというのはただ自分だけが打ったり投げたりしているというところが楽しいだと思うんですよ。負けたらみんな悔しいでしょうし、絶対勝ちたいと思う。勝たなくていい、脱勝利至上主義というのはどこのスポーツにおいてもないと思うんです」
『楽しい』と『面白い』は違う、そんな大浦監督の言葉を異口同音に唱えたのが大浦監督の父である大浦泰弘総監督だ。大浦総監督は18歳でコーチ、20歳で監督となり指導者歴は40年近い。
「うちは楽しくやった事は1回もないです。野球が楽しいと思った事はないです。面白いですけどね、面白いからずっと続いてるんですけど。楽しい野球はおっさん野球の世界ですと僕は思っているんですけどね。子どもたちにも楽しくやったらあかん、やるんやったら必死になって勝ちにいかなあかんと言ってますね。勝ち負けがなくなったら何を目的に一生懸命やるのかなと思うんですよ。勝負の世界やから勝つ負けるがあるから面白いんですよね。個人なりチームが勝つことに努力するから面白みが出てくるんであって、楽しくやるというのはちょっとニュアンスが違うんじゃないかなと僕は思いますね」
根本にあるのは勝利を追求する姿勢と、その過程で野球を通じた人間形成。楽しさよりも面白さを学んだ選手達は今日も白球を追う。(取材・撮影:小中翔太)