はじめて野球に触れた園児たち
梅の実保育園の佐藤悟郎副園長は、「三島市では最近、地域の保育園や幼稚園、小学校、中学校、高校のつながりを深めていこうという声が広がっています。この教室は三島南高校さんからお声をかけていただいたのですが、そうした取り組みの一環としてお受けすることにしました。
保育園は女性の先生が多いので、子どもたちが野球に触れる機会はほとんどありません。それに最近は母子家庭のお子さんも多いんです。家に帰っても野球に接する機会が全くない子供が多いんです。
だから、野球に触れるのはほとんどの子にとって、初めての体験でした。お兄さんたちが、すごいスピードでボールを投げるのを見て、子どもたちが生き生きとしてきました。今までにない表情を見せる子がたくさんいて、驚いています。
子どもはどんなきっかけで目覚めの機会が訪れるか、わかりません。これからも野球だけでなく、いろいろなスポーツに触れる機会を与えたいですね」
と語った。
卒園生の部員も目を輝かせて
三島南高校の選手の中には、梅の実保育園の卒園生がいた。もう卒園したのは10年も前だが、先生方はよく覚えていて「わあ、こんなに大きくなって」と感嘆の声が上がっていた。卒園生の嘉屋太士君(2年生、一塁手)は、
「僕は兄がソフトボールをしていたので、一緒にやるうちに野球が好きになりました。
最近サッカーの方が人口が増えているといいますが、今日は、みんな野球を楽しんでくださって、これがきっかけで野球の競技人口が増えていったらいいなあと思います。
こういう教室も息抜きになっていいと思います。普及に役立つのであれば、またやりたいと思います」
と話してくれた。
小さな取り組みではあるが、こうした地道な努力の積み重ねが、「野球離れ」を食い止めることにつながる。そして地域の結びつきを深めることで、高校野球そのものへの理解も深まるだろう。今後も注目していきたい。(取材・撮影:広尾晃)