10月1日、川崎市の富士通スタジアム川崎で、新規開講する横浜DeNAベイスターズベースボールスクール「川崎富士見校」の体験会が行われた。この地は旧川崎球場。横浜DeNAベイスターズの前身である大洋ホエールズの本拠地だった。横浜市以外で初めて開講されるベースベールスクールでもある。
午後4時、受付に就学前の幼児と父母が集まった。第1部は就学前児童の体験会。約20人の幼児を前に、コーチ陣が丁寧に指導をする。
バッティング練習では、鈴木尚典コーチがお手本を披露する。スタンドで見守るお父さん、お母さんが一斉にスマホを向ける。子どもたちはコーチがトスするボールを打っていく。
次にストラックアウト、今、子どもの投擲能力が急速に衰えているといわれている。投げ方がわからないレベルの子もいるが、コーチは根気よく教える。そして的に当たったら必ず褒めている。
さらに5つのパイロンにボールを置いていくフィールディングドリル、バレーボールを持ってリレーをするマーカー走リレーとプログラムは進んだ。幼児には結構な運動量だ。適宜水分補給をしながらの60分のプログラム。子供たちは十分に満足したようだった。
母親に話を聞くと「サッカーか野球かどちらかをさせたいと思っている。これだけ運動量があるのなら、野球もいいかもしれない」とのことだった。
午後5時20分からの第2部は小学校1、2年生を対象にした体験会。こちらは約50人が集まった。照明が点灯し、ナイターとなる。
ストレッチの後、ミニハードル、ラダー、マーカーを走り抜けるサーキットトレーニングが行われる。コーチがお手本を示す。ものすごいスピードで走り抜けるコーチに親から感嘆の声が出る。
続いてバッティング練習。ここでも鈴木尚典コーチがお手本を見せる。小学校低学年でも、ボールをジャストミートする子供が結構いる。
さらに利き腕と反対の腕でボールを押してパイロンを回って帰ってくるトレーニング。子供たちが慣れてくると、最後はチーム対抗でのゲームで締めくくった。
幼児コースに比べると小学生コースは運動量がかなり増えている。コーチは「少し大変でも、頑張ってやってみよう」と子供たちを励ましていた。
スタンドでは事業を推進する會澤裕頼野球振興・スクール事業部長は、父母に対して
野球の技術だけでなくスポーツ全般の動きを習得できるので、体力や運動能力を高めることもできると説明していた。
これは重要なポイントだろう。先ほどの母親の話にもあったが、一部に「野球は運動量が少ない」という見方がある。試合はともかく、トレーニングの運動量は決して少なくはないが、多彩なスポーツの動きを取り入れて運動量をアピールするのは重要だ。
今、プロ、アマで未就学児、低学年児童への野球教室は全国で行われるようになっている。それは喜ばしいことだが、そういう形で野球の楽しさに振れた子供が本格的に野球を学ぶ「受け皿」が乏しい。小学校の野球クラブはたくさんあるが、旧来のスパルタ式の指導や子どもの発達段階を考慮しない指導をするクラブも多い。
横浜DeNAベイスターズは、「野球を好きになってもらう」ことを第一に事業を推進している。学ぶべきことが多いのではないだろうか。(文・写真:広尾晃)