ニュース 2018.10.30. 17:03

投手育成の名伯楽、高知商谷脇一夫元監督の「投手を大切に育てる野球」

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私は基本的に技術はよう教えん、教えられるものじゃないと考えています。でも、野球は教えられる。こうやった方が勝つ確率が高いよ、とはいいます。
就任当初は、社会人の野球のやり方を導入して、ディレードスチールや捕手からサインを出して投手がけん制をしました。これが面白いようにうまくいきました。まだ当時の高校野球にはそういう技術はなかったんです。
松田昇先生も「守りの野球」でしたが、私もそうでした。
よく試合前に「今日は5点勝負、7点勝負の打撃戦だな」という監督がいますが、これは良くないと思います。そういう発言を監督がすると、選手も打撃戦だと思ってバットを振り回します。そして取れないと焦ってしまいます。二番手の投手でもいいピッチングをされると打てません。
やはり1-0、2-1の勝負を目指すべきでしょう。その上で結果的に5点取れればいいですが。
高校野球は投手を中心にした「守りの野球」が基本だと思います。

「投げ込み」は故障につながる


当時から、高校球界には、いい投手を作るには300球を1週間続けて投げさせないといけないという考えがありました。
でも、私はそういう練習はさせませんでした。一番怖いのは故障です。高校生に300球も投げさせたらまず8割は故障するのではないですか。
当時、最強と言われたPL学園でもそんな投げ込みはさせていなかったと思います。桑田真澄投手もそんなに投げていないはずです。
他校の監督からも「投げ込みをさせないといけない」と言われましたが、練習の中で100球以上投げさせることはありませんでした。
公立高校には、私立のように良いピッチャーが3人も4人も来ることはありません。1人良い投手が来てくれたら、その子を故障しないように大事に育てなければなりません。
トーナメント大会は上に行くと3連投4連投になります。高校生くらいの頃は、完投しても一晩寝れば元気になったものです。私はその点は心配していませんでしたが、それも日ごろ無理な投げ込みをさせていなかったからかもしれません。

ただ、私は普段でもエース投手には毎日、少ない球数でも必ず投げさせるようにはしていました。例えば前日試合で完投した投手は、翌日は、打撃投手として1か所で16球(エンドラン2打席分)とか短い球数を投げさせるようにしました。
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